【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
20条③


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

今週は、こんなニュースがありました。
アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦で、日大の選手が関学大の選手に悪質なタックルをし、負傷させたニュースです。

19日には、日大の監督が、被害を受けた関学大の選手や父に謝罪をし、辞意を表明しました。

悪質なタックルの映像をみましたが、これはアメフットのルールを知らなくても、明らかに悪質というのが分かります。選手が勝手にやったことなのか、監督の指示が出ていたのかということも問題となっていますが、監督の指示なく、このようなことをするとすれば、チームスポーツとして、監督のいうことを無視して勝手に反則を繰り返す無法者がいる集団ということになるし、指示が出ていたとしたなら、集団で反則をする集団ということになるし。

スポーツは、ルールに従ってやるから、試合として成立します。そのルールが無視されて、それが注意だけで許されるとしたなら、それはスポーツとして成立しないどころか、もはやスポーツに名を借りた暴行傷害事件を黙認することにもなりかねません。

加害者は、真実がどこなるのかを明確にし、それに対する法的な責任を取らなければなりません。チーム自体の存亡も含めて、厳しい対処をしないと、この後も同じようなことが繰り返されることになるでしょう。

ほんとうに、被害者やアメフットにかかわる人や、私たちが納得できるような形で騒動が収まることを希望します。

それでは、今回も、20条を読んでいきましょう。

【20条】

1項 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3項 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


今回は、3項についてです。
3項では、国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない、という規定です。

このように、国等が、宗教的活動をしないという原則を、「政教分離の原則」といいます。

国政と宗教が結びつくと、当然、国は、特定の宗教に利益になるように国政を行っていくことになるでしょう。反対に、特定の宗教以外は、ひどい場合には、迫害されていくこともあります。これは歴史的な事実です。しかし、現在の私たちの社会においては、私たちがどのような考え方を持っていたとしても、国は、私たちを平等に扱わなければなりません。
そこで、憲法上、国と特定の宗教が結びつかないように、政教分離原則を規定したわけです。


ただし、国と宗教が結ぶつかないようにしたといっても、一切のかかわりあいを持たないことは事実上不可能です。
では、その線引きがどこにあるのでしょうか。どこまで国が宗教にかかわることができるのか、もしくは、できないのか。

この点について、前々回のブログで述べたように、津地鎮祭事件(最大判昭52.7.13)が、次のように述べています。


【事案の概要】
津市が、市の体育館の起工にあたって、神道式の地鎮祭を行い、その費用を公金から支出したことが、政教分離原則に反するのではないかが争われた事件。



【判旨】
国家と宗教との完全な分離を実現することは、実際上不可能に近いものであるから、政教分離原則は、国家が宗教とのかかわりをもつことを全く許さないとするものではなく、行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合い相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さない、とするもの


さらに、具体的に、3項で禁止される「宗教的活動」のついても定義づけしています。



【判旨】
宗教的活動とは、……当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為



としています。これを「目的効果基準」と呼びます。

この基準にしたがって、国と宗教とのかかわりが、憲法に違反する宗教的活動といえるか、そうでないのかを検討していくわけです。

実際のこの事件では、地鎮祭は、神道の儀式ではありますが、宗教的な意味合いは薄れてしまっていて、工事の無事安全を祈るというような、世俗的な行為だから、宗教的活動とは言えない、と判断しました。


それに対して、「神社のお祭りに出す『玉ぐし料』の奉納」や、「神社の敷地として市有地の無償貸与」は、そのかかわりが、相当な限度を超えるものとして違憲判決が出されています。

次回はいよいよ、精神的自由権の中でも、最も重要な「表現の自由」に関する21条を読んでいきます。お楽しみに

以上




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