【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
21条⑤


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

今回は、21条2項の前段「検閲の禁止」についてみてみましょう。

【21条】

2項前段 検閲は、これをしてはならない。


憲法原理からすれば、私たちには表現をする自由があります。その方法如何を問わず、自由に自分の言いたいことを発言することができますし、それが「国家」や「政府」を批判するような発言であったとしても、国家権力から抑圧されることはないのが原則となります。

このことを端的に表す言葉としてこのような言葉があります。
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

ヴォルテール(フランスの哲学者)の言葉とされています(が、実際はそうではないようです)。

しかし、国家権力は、自分の権力を維持したいがために、国家権力を批判するような発言を抑圧しようとするのが世の常です。それは歴史が示しています。そこで、そのようなことが起こらないように、国家権力による表現の自由の規制を徹底的に排除しようとします。

特に、表現の自由に対して圧力をかけてくるのが現政府たる行政権です。その行政からの圧力から表現の自由を守ろうとしたのが、21条2項の「検閲の禁止」です。

では、この「検閲」とは何なのでしょうか。
具体的に「検閲」を定義した判例があるので、見てみましょう。
有名な「税関検査事件(最大判昭59.12.12)」です。

【事案の概要】
性的行為を撮影した映画等を外国から輸入しようとしたXは、税関支署長Y1から関税定率法の定める輸入禁制品に該当する旨の通知を受けました。そこで、Xは、これに異議の申出をしましたが、棄却されたため、当該通知および棄却決定の取消しを求めて提訴した事件。


【争点1】
検閲とは何か。
【判旨1】
憲法21条2項の検閲禁止規定を憲法が21条1項とは別に設けたのは、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨を明らかにしたもので、検閲の絶対的禁止を宣言したものと解される。
憲法21条2項にいう『
検閲』とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。

【争点2】
税関検査は検閲にあたるか。
【判旨2】
関税定率法21条1項3号に基づく税関検査は、検閲に当たらない。……輸入が禁止される表現物は、一般に、国外においては既に発表済みのものであり、その輸入禁止は、当該表現物につき、事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。


まとめると
「検閲」というのは
① (主体)行政権
② (目的)発表の禁止
③ (時期)発表前に
④ (対象)思想内容等の表現物
⑤ (方法)網羅的・一般的
のようなものを指し、これは絶対的に禁止されることになります。

もちろん、行政権によらなければ、表現に対する抑制が許されるわけではありません。国会や裁判所による表現の自由も原則としては許されないことになりますが、行政権が行うよりは、例外的に許される場合もあります。

次回は、21条2項後段、「通信の秘密」について、みていきましょう。

お楽しみに。

以上




【お知らせ】
TAC行政書士講座では、各校舎でガイダンスや講義を行っています。
また開講日は予約不要・無料で実際の講義(基本講義)を受ける事ができます。
ご興味がありましたら、ぜひお気軽にTAC各校舎やカスタマーセンターまでお問い合わせください。

TAC行政書士講座のホームページはこちら