【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
25条


 こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 近年まれにみる大型の台風24号が到来しました。死者も出るほどの台風で、被害も大きかったです。かつて伊勢湾台風(昭和34年の大型台風)が到来したときは、甚大な被害を出しました。当時は、テレビなどの普及もまだまだで、情報を得ることがかなり厳しく、その対策をすることもままならない中で、大きな被害を生み出したと思われます。
伊勢湾台風に比べれば、現代では気象衛星もあり、台風の動きや、勢力がつぶさに察知することができますから、台風が来る前に、さまざまな対策を打つことができます。
 私が住む東京では、JR東日本が、まだ台風が来る前に、午後8時以降の運転を見合わせる異例の決定を行いました。その時間には、まだまだ天気は穏やかで、台風が来るなんて感じが全然ありませんでした。ところが、台風が来てみると、それはそれは暴風吹き荒れる巨大台風で、そのまま通常通り運行を続けていたら、どんなことになっていたのかとおもうと、ぞっとします。この選択は賢明だったと思いました。

 夜中には、暴風と豪雨で、自宅も揺れるぐらいでした。このまま家が倒壊してしまうのではないかと思いました。冷や汗です。台風でこんな冷や汗をかいたのは初めてです。停電なども起こっていたようですし、あの台風の中、暗闇で過ごさなければならなかった方々は、さらに恐怖だったと思います。

 そしてまた、台風25号が発生し、猛烈な勢いをもって北上を始めました。こんどの連休中に到来すると天気予報では言っています。少しでも、被害を出さないように、打てるべき対策は打っておきたいですね。

 それでは、今回は、生存権に関する25条を読んでいきましょう。
 条文は以下の通りです。

【25条】

1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


 この条文に規定されている権利に代表される、国家の積極的な働きを要求する権利を、一般に「社会権」と呼びます。

 社会権は、20世紀になって、社会的・経済的弱者を守るために保障されるに至った人権です。国に対して一定の行為を要求する権利です。
 そもそも、このような社会権が生まれた経緯を今回は紐解いてみましょう。

 まず、私たちの社会は、立憲主義に基づく憲法の下にあります。そこでは、私たち一人一人が至上価値とされています。そして私たちには、さまざまな「自由」が保障されています。国家から様々な制約をさせることなく、「自由に」生きていくことができます。
 そのような社会の中で、私たちの自由を制限することができるのは、自由同志が衝突したときに、それを調整するためだけです。自由を制限することができるのは、必要最小限でなければなりません。その中で、国家が果たすべき役割は、人と人とが衝突したときにその紛争を収めるという治安維持に特化されることになります。このような国家を「消極国家」「夜警国家」と呼んだりします。

 確かに、このような自由な社会は、私たちの社会生活を政治的にも経済的にも豊かなものにしました。しかし、その発展とともに、社会に大きなひずみも生まれてくることになります。例えば、貧富の差が拡大してきました。資本家と労働者の間では、資本家の立場が圧倒的に強く、労働力を安く買いたたくことを始めたわけです。そのため、ごくわずかな富める者は、どんどん富むことになりますが、多くの貧しき者はますます貧困に陥っていくことになります。しかし、多くの貧困層が生まれてしまうことは、私たちの社会を疲弊させてしまうことになり、私たちが幸せに生きることができなくなってしまいます。

 そこで、このような場合には、国家が、私たちの生活の中に入ってきて、社会に生じたひずみを積極的に解消し、社会的な弱者を救済する役割が求められるようになりました。私たちの社会にひずみがある場合に、私たちが国家に対して、そのひずみを解消するよう求め、弱者救済をしていく権利。それが「社会権」ということになります。

 社会権が保障されている国家では、弱者救済のために、国家が積極的に活動していきます。そこで、このような国家を「社会国家」とか「積極国家」とも言ったりします。

 社会権の中でも、とりわけ需要なのが25条の生存権です。

 1項では、国民が人間的な生活を送ることができることを権利として宣言しています。
 2項は、国に、生存権を具体化する努力義務を課しています。

 次回は、生存権の具体的な内容について、もう少し理解を深めていきましょう。

 お楽しみに。

 以上




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