【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
28条


 こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 行政書士本試験も終わり、ほっと一息しているところだと思います。
 ただし、少し休んだら、試験に落ちたつもりで、学習は再開しましょう。

 さて、昨日11月27日に、入管法の改正に絡む衆議院法務委員会において、野党が反発する中、自公与党による強行採決が行われました。
 外国人技能実習制度における資料のデータ改ざん問題などが出てきて、実際の問題点があきらかとなってくる中で、外国人労働者の受け入れを拡大する法改正です。
 最低賃金を下回る賃金しかもらっていないことや、失踪の問題がいままさに現在進行形です。それにもかかわらず、それに対する対処方法についても十分な議論がなされないまま(委員会での審議は17時間)の強行採決には、ある意味、与党の改正案による改正ありきの、形ばかりのテキトウな議論で終わらせてしまう。そんな悪意までも感じざるを得ません。

 そもそも、民主主義というのは「多数派が勝つ」というような「数の大小」ですべてのものが決まる、というシステムではありませんし、少数派を否定する仕組みでもありません。

 なぜなら、この社会では、多数派だろうが、少数派だろうが、個人一人一人が至上価値ですから、その一人一人、みんなが幸せに暮らすことができる社会を実現するにはどうしたらいいか。多数派も少数派も、みんなで議論に議論を重ねて、みんなが納得できる政策を作り上げていく作業が民主主義だからです。ただし、議論を尽くしても、妥協案が見つからないかもしれない。そういう時には、最後の手段として多数決で決めるということになります。

 つまり、採決というのは、「議論」が十分に尽くされていることが大前提ということになります。
 ところが、議論を十分尽くしたとはとてもいいがたい状況で、委員会で強行採決をし、さらには、衆議院本会議、参議院でも強行採決がなされてしまうということは、民主主義を踏みにじる暴挙ともいえるわけです。

 これから日本に来る外国人が、日本を愛してくれるようになるためにも、日本人自身が、自国を誇ることができるようになるためにも、入管法の改正は、とことん議論を尽くし、かつ慎重にすすめていただきたいと思うばかりです。



それでは、今回は、労働基本権に関する28条を読んでいきましょう。例のごとく、まずは条文確認です。

【28条】

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。


 労使関係においては、どうしても、使用者側が力を持ちます。そのために、労働者は、苛酷な労働条件を強いられることになってしまいます。そこで、28条では、使用者と労働者との関係を自由・平等にするために、①団結権、②団体交渉権、③団体行動権(争議権)の3つを保障しています。

 まずは、使用者と労働者との立場を対等にすべく、個々の労働者を組織化して、使用者に対抗できるだけの力を持つことが必要です。そこで、労働者が団結して、組織的に使用者と対等の立場にたつことができる「団結権」を保障しました。すすんで、団結権の下、労働組合が結成されることになります。

 労働組合を結成して、交渉することができなければ、労使が同等の立場にあるといっても、それは絵にかいた餅になります。そこで、交渉することも、「団体交渉権」として保障されています。

 さらに、交渉をしても、会社側が、話し合いの条件を受け入れることを一切拒否すれば、やはり労働者は苛酷な状況に置かれてしまいます。会社は、労働者とは比べ物にならないぐらいの資産を持っているでしょうから、労働者の足元を見てくるということもあるわけです。そんな労働者が、使用者に対して、ストライキなど、実力行使をすることができる権利も、「団体行動権(争議権)」として保障されています。

 これら労働三権が保障されることで、労働者は、使用者に抑圧され、苛酷な労働条件の下で働かさせられることがなくなり、安心して仕事ができるようになります。


 次回は、引き続き、財産権に関する29条を読んでいきます。
 お楽しみに。

 以上




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