【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
年始のご挨拶~32条


 あけましておめでとうございます!
 TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 2019年が始まりました\(^O^)/
 今年は亥年です。行政書士試験合格に向けて猪突猛進!がんばっていきましょう!

 さて、このブログも2017年7月から連載を開始してから約1年半になります。あっという間ですね。といいつつ、まだ31条です。

 今回は32条を読んでいきます。春先までは、人身の自由がメインとなりますが、そのあとは、統治機構がメインとなっていきます。
 国会の形骸化が叫ばれる昨今ですが、憲法が決めている、国会、内閣、裁判所が担うべき働きをしっかりとらえて、私たちの幸せのための国家機関について考えていきたいと思います。

 それでは、今回は、裁判を受ける権利を定める32条を読んでいきましょう。まずは条文確認から。

【32条】

何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。


 私たちには、裁判を受ける権利が保障されています。それはどういうことかといえば、何か争いごとが起こった場合には、裁判所が裁判を通じてその紛争を解決してくれるということです。そして、私たちが裁判所を頼りにしたときには、裁判所は裁判をしないという選択をすることはできません。
 これが私たちに保障される「裁判を受ける権利」です。

 裁判には、大きなものとして、民事裁判と刑事裁判があります。

 まず、民事裁判は、ごくごく簡単に言えば、私たち同士の間で起こったお金や財産に関する争いです。

 具体的には
 「売買代金を払え!」だとか、
 「貸したお金を返せ!」だとか、
 「注文したものを作ってくれ!」だとか。

 これを私たちが、裁判所を使わずに解決しようとすると、どうなるか。法的に正しいかどうかではなく、単に力の強いものが勝ってしまうということにもなりかねません。それでは、いくら、ルールを法律で定めても、意味がありません。弱肉強食の世界が待っているだけです。
 だからこそ、国家権力である裁判所が、紛争解決にあたることで、法的なルールが守られて、私たちの住みやすい世の中が生まれることになるわけです。

 また、刑事事件とは、犯罪を犯したと疑われ起訴された者(被告人)が、犯罪を犯したかどうかを判断して、犯したと判断した場合には刑罰を科するための裁判です。治安維持や犯罪を撲滅するのが行政の役割ですが、そのために行政権に与えられた権力は、警察権力をはじめ絶大です。いったん暴走を始めると、犯罪を犯していない人が、刑罰を科せられることになるとも限りません。そこで、行政権ではない裁判所が、国家権力の偏らない、公平・中立な立場から刑事事件を判断することにしているわけです。そして、行政権は、行政権だけの判断で被告人を処罰することはできず、必ず裁判経なければ処罰されることはありません。

 このように、民事裁判、刑事裁判をはじめ、行政の行為などに対する不服や争いを裁く行政事件などもあります。
私たちが一般社会で日常生活を営んでいくなかで、さまざまな紛争が起こりえます。争いごとは、精神的にも体力的にも、私たちに負担を強いることになります。ですから、裁判所によって争いごとを解決してもらえるという裁判制度は、私たちにとってなくてはならない必要不可欠な制度ということになります。

 ただ、裁判制度を使えるかというと、これがなかなか難しいわけです。

平成29年度の裁判新受事件の件数(全裁判所)

全事件民事・行政刑事家事少年
3,613,952件1,529,383件959,545件1,050,269件74,755件


最高裁判所ホームページ・司法統計より

 基本的に裁判は慎重に裁判を進めていきますので、相当の時間がかかります。もちろん、公判前整理手続きなど、訴訟にかかる時間を短縮しようとする努力は続けられています。
 また、弁護士費用などの訴訟にかかる費用も高額になります。これに対しては、法テラス(日本司法支援センター)が設立されて、あまり収入が多くない人の裁判費用を立て替えることで、実質的にも裁判制度を支え、私たち国民の裁判を受ける権利を保障していこうとする動きです。


 このような動きはありますが、私たちがもっと身近に、公平・公開・迅速な裁判制度を利用できるようなシステムをこれからも構築していく必要があるといえるでしょう。

 次回は、33条を読んでいきます。

 それでは、今年もよろしくお願い申し上げます。

 以上




【お知らせ】
TAC行政書士講座では、各校舎でガイダンスや講義を行っています。
また開講日は予約不要・無料で実際の講義(基本講義)を受ける事ができます。
ご興味がありましたら、ぜひお気軽にTAC各校舎やカスタマーセンターまでお問い合わせください。

TAC行政書士講座のホームページはこちら