【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
37条②


 みなさんこんにちは。
 TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 それでは、前回に引き続き、刑事被告人の権利について定めた37条を読んでいきます。今回は2項と3項です。


【37条2項】

刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。


 刑事被告人は、まず、証人に対して審問する権利、「証人審問権」が与えられます。例えば、検察側が手配した証人に対して、被告人が審問できないとすると、検察側が、被告人に不利になるように、証言を引き出すように組み立てて、被告人に有利になるような証言はしないようにすることが可能となってしまいます。検察側の審問に対して、被告人が疑問に感じたりした場合には、被告人側からも審問できるようにしておかなければ、公平な裁判とは言えません。また、真実を発見することに最大の重きを置く刑事訴訟において、より多くの証拠を収集することは必要です。したがって、さまざまな角度からの審問をすることで、より多くの証言・証拠を収集することにもつながります。
 これは、冤罪を防止し、事実に基づいて裁判をするために必要不可欠ということになります。

 また、自己のための証人を、強制的手続で求める権利があります。これを「証人喚問権」といいます。証人を呼び寄せることにはお金がかかります。そうすると、強制的に証人を喚問することができるとして、その経費を支払えなければ、実質的には証人を喚問できないということになってしまいます。お金を持っている被告人は、証人を呼べますが、そうでない被告人は、証人を呼べないということになります。これに対して、検察側は、国家権力ですから、ある意味、検察側が証人を求めることについては金銭的なことを考えることなくできることになります。
 これでは、捜査能力において圧倒的な力を有している検察側が、裁判を有利に進めることができるようになるとも言えます。

 しかし、それでは、やはり公平な裁判が行われなくなる可能性があります。そこで、証人喚問を「公費」で行うことができるとされているわけです。


【37条3項】

刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。


 さらに、37条3項では、どんな場合でも、資格を有する弁護人を依頼することができます。これを「弁護人依頼権」といいます。
 刑事事件は、検察側と被告人という対立構造を持ちます。上記でも述べたように、検察側は国家権力ですから、マンパワー的にも圧倒的に大きいのに対して、被告人の力は大きくはありません。また、被告人は法律の専門家ではありませんので、自己の主張を法的に構成することも難しいといえます。そこで、この両者のバランスを図るという意味でも、公平な裁判を実現するという意味でも、法律のエキスパートである弁護士を依頼することができるとされています。
 さらに、ここでも、被告人にお金がないという事態も考えられます。その場合に、弁護人をつけることができないとなると、公正な裁判の実現が難しくなることもあります。そこで、そのような場合には、国が弁護人をつけてくれます。これを「国選弁護」といいます。
 これらの制度によって、被告人が、不公平な裁判によって裁かれないように、公平な裁判を受けることができるようにされているわけです。

 次回は、引き続き38条について読んでいきます。お楽しみに。

 以上




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