【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
38条②


 みなさんこんにちは。
 TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 3.11 東日本大震災。
 とてつもなく巨大な地震に、今までに経験のないほどの大津波。また、福島第一原発の大事故。流れてくるニュース映像をみて、その悲惨さに、思わず顔を覆ってしまいました。多くの方々が犠牲になり、また、避難を余儀なくされ、今でも故郷に帰ることのできない方が多くいらっしゃいます。
 私自身は、東京にいました。震災後、電車はすべて運休し、中には自宅まで何時間もかけて帰宅しました。物資は不足し、コンビニやスーパーの棚も空っぽ。余震は続き、そのたびに恐怖を覚える。そんな不安な日々を送ったのを覚えてます。

 そして、震災から8年。
 大地震はいつ来るか分かりません。東日本大震災での犠牲を無駄にしないためにも、そこで得た教訓を、今後にどう生かしていくか、私たちは深く深く考えていかなければなりません。
 まずは、地震が起こらないことを祈りつつも、もし起こってしまった場合の方策を、いま一度、十分に吟味していかなければなりません。

 あらためて、大震災でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致します。


 それでは、今回も、刑事被告人の権利について定めた38条を読んでいきます。
今回は「自白」に関して規定している38条2項です。


【38条】

第2項 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。


「強制」「拷問」「脅迫」「不当に長く抑留もしくは拘禁」された後の「自白」を証拠とすることはできません。

「自白」とは、自分にとって不利益になることを認めること、具体的には、自分の犯罪を認めることを言います。

かつては、「自白」は、その証拠価値が高いとされ、裁判でも重要な証拠として扱われていました。なぜなら、自分に不利益になることを、わざわざ自分で言うなんて、本当のことだからだろう。本当じゃなければ、自分に不利益なことなんて言わないはずだから。という論理です。
証拠価値が高いことから、捜査機関は、とにかく「自白」を得ようと必死になりました。そこで、拷問や脅迫という手段を用いて、自白を取りにいくということがなされたわけです。そこで、多くの人権侵害が行われました。

しかし、近時においても、冤罪が問題となるように、そのような形で取得された自白は、実は、本心から述べているものではなく、自白の証拠能力は非常に危ういものであると認識されることになります。

そこで、自白によって、冤罪が生み出されることのないように、この38条2項が定められました。
繰り返しになりますが、「強制」「拷問」「脅迫」「不当に長く抑留もしくは拘禁」された後の「自白」を証拠とすることはできません。つまり、このような手段によって自白を得ても、本人の真意に基づいて行われていない「自白」である場合には、裁判手続から排除されます。裁判上は、そのような自白はなかったのと同じように扱われるということです。
そうすることによって、捜査機関も、そのような手段をつかって、無理矢理、自白を得ようとはしなくなり、私たちの人権は守られ、冤罪を防ぐことにもつながるわけです。

現在は、一歩進んで、そのような捜査が行われないようにすることを担保するため、「取り調べの録音・録画」することによって、私たちに見える形を取らせる、いわゆる「取り調べの可視化」をすべきだという議論もあります。実際に、そのようなシステムを取り入れている国もあります。
冤罪は決してあってはいけないこと。捜査機関が捜査をしやすくすることも大切ですが、私たちの人権が間違って侵害されることは決してあってはいけないことです。そのために、38条2項の果たす役割は非常に大きいといえます。

次回は、38条3条について読んでいきます。お楽しみに。

 以上




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