【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
40条


みなさんこんにちは。
TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

4月15日、フランスにある世界遺産ノートルダム大聖堂で大規模火災がありました。建物の大部分が無事ということですが、大きな寺院ですし、観光名所でもあることから、けが人が出ていないか心配です。いないことを願っています。

ノートルダム大聖堂は、初期ゴシック様式の建築物。1163年に建造が始まったキリスト教の寺院です。1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
いまだ、ヨーロッパに行ったことがない私ですが、もし、この先、ヨーロッパに行くことがあれば、一度は訪れてみたいと思っていたノートルダム大聖堂。元の姿に戻ることも願ってます。


それでは、今回は、「第三章 国民の権利及び義務」の最後の条文、刑事補償制度について定めた40条を読んでいきます。

【40条】

何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。


刑事補償請求とは、この規定にあるように、抑留・拘禁された後、裁判によって無罪判決が確定した場合には、裁判をすることによって生じた損失の穴埋めをしてもらう権利です。

つまり、犯罪が起こった場合、捜査が開始されます。犯罪を疑われた被疑者は、のちに裁判所に起訴されると被告人となります。

この場合、刑事裁判においては、「無罪推定」が働きますので、有罪判決が出るまでは、被告人は無罪であると推定されます。したがって、無罪が推定されている被告人を抑留・拘禁することは、本来的には認められず、原則として保釈するべきということになります。しかし、無罪が推定されるとはいえ、案件が殺人などの重大犯罪の場合には、もしかしたら真犯人かもしれない刑事被告人を解放し、社会に出すことは、社会が不安を感じる場合もあるでしょう。そこで、裁判中は、刑事被告人を保釈することなく、抑留・拘禁を続けることが要請されます。ですから、仮に、その後、無罪判決が出たとしても、その抑留・拘禁がすべて違法と評価されるのは妥当ではありません。

ただし、社会的要請があるというものの、最終的に、裁判で無罪判決が出た場合には、本来、その刑事被告人は抑留・拘禁されるべきでなかったのに、抑留・拘禁されて、働くこともできず、財産的なマイナスが生じてしまったわけです。そのマイナスに対して、国家として何ら穴埋めをしないのは、刑事被告人にとって非常にかわいそうな結果となります。

刑事被告人の抑留・拘禁の必要性
VS
無罪を得た刑事被告人の保護


この二つの対立利益を解消する制度が、「刑事補償制度」ということになります。

刑事被告人の抑留・拘禁は必要で適法だけれども、無罪の裁判を受けた場合には、国家賠償ではなく、刑事補償という形で、お金でそのマイナスを穴埋めしようということにしたわけです。

とはいうものの、刑事補償制度があるからといって、何でも間でも身柄を抑留・拘禁してもいいというものではありません。身柄の抑留・拘禁は、人身の自由を奪うもので、非常に強い人権侵害を起こす可能性があります。ですから、無罪推定の観点からも、刑事被告人の抑留・拘禁を行うことは、慎重に慎重を期して、なされなければならないということは言うまでもありません。

次回は、国家の仕組みについて規定している統治分野に入っていきます。お楽しみに。

 以上




【お知らせ】
TAC行政書士講座では、各校舎でガイダンスや講義を行っています。
また開講日は予約不要・無料で実際の講義(基本講義)を受ける事ができます。
ご興味がありましたら、ぜひお気軽にTAC各校舎やカスタマーセンターまでお問い合わせください。

TAC行政書士講座のホームページはこちら