【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
44条


 みなさんこんにちは。
 TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 7月21日は参議院議員選挙の投票日です。当日は投票に行けそうにないので、期日前投票に行ってきました。自分の住んでいる日本の在り方を決める選挙です。みなさんも、是非投票に行きましょう。
もちろん、日本の場合は、自由投票選挙ですから、投票に行くか行かないかも自由です。

 ただ、投票に行かないということは、実質的には、選挙の結果がどうであれ、選挙に当選した人の政策を甘んじで受け入れますという、消極的な意思表示でもあります。極端な話、選挙権者が10人いて、1人しか投票に行かず、その人が選んだ議員さんが、日本のことを決めていき、それが自分の意思にそぐわないとしても、どんどん進んでいってしまうことになります。だから、議員さんの政策を聞いて、自分が納得できる候補者や政党に投票することで、積極的に「私はこうありたい。こうあってほしい」ということを投票行動で示すことが大切だと思っています。

 民主主義というのは、少数者の意見を排除するシステムではありません。むしろその逆です。つまり、社会には様々な考え方を持っている人がいますし、様々な状況に置かれている人がいます。多数派があれば、少数派もいます。しかし、どのような考え方を持っていたとしても、それが少数派だったとしても、私たちは1人の命をもった人間です。それを否定するものではありません。100人のうち、1人だけが異なる意見を持っていたとしても、99人の言っているから正しいわけではありません。正しいか正しくないかではなくて、誰の意見であっても、否定するのではなく、尊重しなければならないんです。そのような価値の多様性を認めた上で、私たちみんなが幸せに暮らせるためには、どのようにこの国を運営していくのがいいのか。徹底的に議論して、みんなが納得できる案を創る。もちろんそこには、自分だけがよければいいんだという利己主義はありません。1人の人間の命を軽んじることなく、すべての人が納得できるやり方を探す。それが真の意味での民主主義です。そこでは、案はすべて全会一致になるはずです。しかし、どうしてもその案がつくり出せない場合があります。その場合の、最後の手段が、多数決です。多数の人が言っているから、もしかしたら間違っているかもしれないけれども、その時点では、納得できない少数者にしたがってもらう。そういうことをするわけです。多数決は、徹底的に議論を尽くしても答えが出なかった場合に、民主主義の最後の手段です。
 投票行動も同じです。投票して、自分が投票した人が当選しなかったとしても、自分の意思を表明することが必要なのです。落選した人にどれだけの人が投票しているのか、つまり少数者の意見がどれだけ世の中に存在しているのか。当選した議員さんに、それを知らしめて、その結果を踏まえた政治を行わせる。そういう少数者の意見をも取り込んだ、1人1人の価値が最も大切なものとされる価値の多様性を認める社会、そんな政治を実現していくためには、あなたの積極的な投票行動が必要なのです。

 選挙に行って、私たちの政治的意思を表明しましょう!

 それでは、国会に関する44条を読んでいきましょう。まずは条文から。


【44条】

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

 

 私たちの選挙権、被選挙権は、公職選挙法で定められています。


【公職選挙法9条】(選挙権)

1項 日本国民で年齢満18年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。

 

 かつては、20歳以上の者に選挙権が付与されていましたが、法改正によって、現在は18歳以上の者に選挙権が付与されることとされました。


【公職選挙法10条】(被選挙権)

1項 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。
 1号 衆議院議員については年齢満25年以上の者
 2号 参議院議員については年齢満30年以上の者

 

 また、選挙権・被選挙権を有しない者も規定しています。


【公職選挙法11条】(選挙権・被選挙権を有しない者)

1項 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
 1号 削除
 2号 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
 3号 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
 4号 公職にある間に犯した刑法第197条から第197条の4までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から5年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
 5号 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者

 

 1号は、かつて、成年被後見人は選挙権を有しないとされていましたが、削除され、現在では成年被後見人でも選挙権を有するとされています。なぜなら、成年被後見人の制度は、その本人の財産を守るために、民事上の行為能力を制限する制度です。したがって、行為能力が制限されていることと、選挙権や被選挙権を行使することとは何ら関係がないからです。
 4号の197条~197条の4は賄賂に関する罪です。
さらに、以下の者も被選挙権を有しないとされました。


【公職選挙法11条の2】(被選挙権を有しない者)

 公職にある間に犯した前条第1項第4号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から5年を経過したものは、当該5年を経過した日から5年間、被選挙権を有しない。


 賄賂罪で有罪判決を受けたものは、刑の執行が終わってからも5年間は被選挙権を有しないなどとされています。

 そして、私たちは普通選挙・平等選挙が保障されています。
 普通選挙とは、18歳以上のものであれば、誰でも選挙権を有するということです。納税額などによって制限されることはありません。
 また、平等選挙とは、18歳以上の日本国民であれば、誰でも選挙権を有するということです。人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入で差別されません。つまり、民族とか、考え方とか、男だから女だからとか、社会的な地位とか、家柄とか、受けている教育とか、持っている財産であるとか、収入額とかで選挙権・被選挙権があったりなかったりということもありません。

 次回は、45条を読んでいきます。お楽しみに。

 以上




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