【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
54条2項・3項


 先日、改正国民投票法が成立しました。憲法を改正する際に必要とされる国民投票についてのルールを定めた国民投票法。その改正です。改正の主なものとして、「共通投票所」という、事前に決められた投票所以外の投票所でも投票できるようなったり、「期日前投票」の事由追加・弾力化されたり、「洋上投票」という、遠洋航海に出ている場合に船上で投票できる対象を拡大したり、投票所への入場可能な子供の範囲を拡大したり、という改正になります。

 今後、憲法改正の議論がなされる時がくるでしょう。その時がくるまでに、私たちが準備しておかなければならないことがあります。まず、いまの日本国憲法を正しく理解しておく必要があります。その上で、改正すべきなのか、改正するとすると、どのように改正するのか、あるいは、そもそも改正すべきでないのかという改正議論を始めなければなりません。

 それでは、今回も日本国憲法の話を始めましょう。

 前回は、特別会について定めた54条1項、を読みました。今回は、54条2項・3項の参議院の緊急集会について読んでいきましょう。

【54条】

2項 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

3項 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。


 54条2項によれば、衆議院が解散されたときには、参議院は同時に閉会となります。そして、前回お話しした1項の規定にしたがって、選挙が行われ、国会が召集されます。

 しかし、もし、解散されてから、次の特別会が召集されるまでに、どうしても国会で決めなければいけない緊急事態になった場合、どうすればよいのでしょうか。この悩みを解決するのが54条2項にある参議院の緊急集会です。

 衆議院解散から特別会招集までの流れ

(憲法54条1項・公職選挙法31条3項)

衆議院解散から特別会招集までの流れ


※ 解散による総選挙の場合、解散によって、前の議員の任期は終了します。その後、最大40日後に総選挙が行われることになりますので、次の議員の任期が始まるまで衆議院議員がいない期間が生じます。そのため、国会を召集したくても、国会を召集できなくなる期間が生じてしまいます(国会の空白が生ずる)。そこで、「緊急集会」の必要性が、解散の場合に生じることになります。

 ここで言えば、解散から総選挙までは国会を召集できませんから、参議院の緊急集会が必要になる場合があることになります。

 緊急集会の開催は内閣が求めることになります。

 この参議院の緊急集会は、「衆議院が解散されたとき」だけであって、「衆議院の任期満了の場合」には、求めることができません。しかし、任期満了の場合にも、衆議院議員選挙は行われるわけですから、選挙の最中に緊急事態が起こることはあり得るのではないか、その場合に、参議院の緊急集会が必要になるのではないかが問題となります。

 しかし、任期満了の場合には、緊急集会を求める必要はありません。なぜなのでしょうか?

 任期満了による総選挙の場合、原則として、前の議員の任期満了前に総選挙が行われることになります。そして、前の議員が任期満了となり、その翌日には次の議員の任期が始まりますので、国会の召集は間断なく行うことができます。(国会の空白は生じません)。

 任期満了による衆議院議員選挙から臨時会召集までの流れ

(31条1項)

任期満了による衆議院議員選挙から臨時会召集までの流れ


 さらに、3項で規定してるのは、緊急集会で採られた措置は、臨時のものなので、次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意を得る必要があります。それがない場合には、その効力を失うことになります。

 今回は以上となります。つぎは55条を読んでいきます。お楽しみに!


以上


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