【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
56条


 日本各地で梅雨が明け、連日猛暑が続いております。行政書士試験まであと4か月を切り、いよいよ試験勉強も直前期に突入です。この時期、いまだ新型コロナウイルスが猛威を振るっているのでマスクは欠かせませんが、その上での猛暑となると熱中症などのリスクもあります。十分な水分補給をしながら、コロナウイルスにも十分に気を付けて、直前期を乗り切っていきましょう。

 それでは、今回も日本国憲法の話を始めましょう。

 前回は、資格争訟裁判について定めた55条を読みました。今回は56条の定足数、表決について読んでいきましょう。

【56条】

1項 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。


 まずは、1項の定める、議事における定足数ですが、これは総議員の3分の1となります。つまり、過半数も出席しなくても、議事として成立することになります。国会議員として選ばれたわけですから、もう少し多くてもいいように思いますが、結構この数字は少なく感じますね。

 現在の各議員の定数は、衆議院465名、参議院248名(2022年の通常選挙でこの数になります。それまでは245名)です。そうすると定足数は、衆議院155名、参議院は83名ということになります。

 次に、第2項の定める表決数ですが、通常は過半数となります。

 だとすると、総議員の3分の1が出席し、その人数のさらに過半数で賛成すれば、成案になるということです。つまり、

 定足数と議事成立の最小数

衆議院
定数 定足数 表決数
465名 155名 78名

参議院
定数 定足数 表決数
248名 82名 42名

 ということになります。そうすると、極端な話、衆議院議員78名の賛成と、参議院議員42名の賛成で、法律が成案になる可能性があるわけです。ここまでの数になることは現実的にはないでしょうけれども、これだけの少人数で法律が作られる可能性があると思うと、すこし怖い気もしますね。

 ちなみに、日本国憲法の下で定足数をみたさなかった場合は、1940年代、50年代にありましたが、60年代以降はありません。

 ただし、この表決数には例外があります。


 憲法にある特別の定め(5つ)

①(資格争訟裁判)55条 
 議員の議席を失わせる場合 出席議員の3分の2以上の議決

②(秘密会)57条1項但書
 秘密会の開催 出席議員の3分の2以上の議決

③(議員の懲罰)58条2項 
 議員を除名する場合 出席議員の3分の2以上の議決

④(法律案の再議決)59条2項 
 法律案の再議決 出席議員の3分の2以上の議決

⑤(憲法改正)96条 
 憲法改正の発議 総議員の3分の2以上の議決


 これらの場合には、重要案件であることから、過半数より厳しい、出席議員もしくは総議員の3分の2以上の決議が必要となります。

 さらに、2項後段にあるように、表決が可否同数になったときには、議長が決することとなります。

 ちなみに、現在まで可否同数となったことは参議院にて2回あります。

① 昭和50年(1975年)7月4日(第75回国会)
 政治資金規正法改正案の採決
 賛成117票、反対117票で可否同数 ⇒ 河野謙三議長が可としました。

② 平成23年(2011年)3月31日(第177回国会)
 国民生活等の混乱を回避するための平成22年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案の採決
 賛成120票、反対120票で可否同数 ⇒ 西岡武夫議長が可としました。

 今回は以上となります。つぎは57条を読んでいきます。お楽しみに!

以上


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