【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
62条



 令和3年度・行政書士試験まで、残り1ヶ月を切りました。勉強にはもってこいの気候にもなってきましたし、順調に進めて行きましょう。あとは体調を整えることも直前期の大切な受験準備の一つです。試験は1時から4時まで実施されます。自分のバイオリズムも、昼に頭がフル回転するように、昼型にしておくとよいでしょう。

 それでは、今回も日本国憲法の話を始めましょう。前回は、条約の締結の承認に関する衆議院の優越について定めた61条を読みました。今回は国政調査権について定めた62条を読んでいきましょう。

【62条】

 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。


 両議院は、国会で法律というルールを作るためには、そのルールがなぜ必要とされるのか、必要だとすれば、どのようなルールでなければならないのか、その根拠となるものが必要とされます。なぜならば、法律というルールは、私たち国民の権利を制限したり、義務を課したりするもので、私たち国民の自由を制限するものだからです。

 したがって、一つ一つの法律を制定するにあたっては、過去どのようなことが起きたか、現在どのようなことが起きているか、そして、この先、どのようになっていくと考えられるか、そのために、政府が実際に過去、現在とやってきたことは何か、様々な形で、これらを慎重に、綿密に調査、検討していく必要があります。

 しかし、調査を行う場合に、調査の対象が素直に調査に応じてくれないとすると、客観的で正当な根拠に基づいて法律を作ることが困難になり、感覚的で恣意的な法律を作ることにもなりかねません。そこで、両議院は各々国政に関する調査を行えるし、これに関連して、証人の出頭、証言、記録の提出を要求することができるとされています。

 この権能は、両議院に与えられた権能を実効的に行使するために認められた補助的権能とされています。
 この国政調査権の行使の結果、証人が議員に出頭し証言をする場合、「議員証言法(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律)」という法律が適用され、虚偽の証言をすると処罰されることもあります。
 1条から9条までの法律ですが、少し眺めてみましょう。

【議員証言法(抜粋)】

1条
 各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、
証人として出頭及び証言又は書類の提出(提示を含むものとする。以下同じ。)を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに応じなければならない
2条
 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会が
証人に証言を求めるとき(派遣議員等を派遣して証言を求めるときを含む。)、この法律に別段の定めのある場合を除いて、その前に宣誓をさせなければならない
3条2項
 
宣誓書には、良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。
4条1項
 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
6条1項
 この法律により
宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。
  2項
 前項の罪を犯した者が当該議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に
自白したときは、その刑を減軽又は免除することができる。
7条1項
 
正当の理由がなくて、証人が出頭せず、現在場所において証言すべきことの要求を拒み、若しくは要求された書類を提出しないとき、又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、1年以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。


 このように、基本的には、出頭を求められた場合には、出頭する必要があり、証人に証言を求めるときは、宣誓をさせることになります。その宣誓では、良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、何事もつけ加えないことを誓わなければなりません。そして、この宣誓に反して虚偽の陳述をした場合には、3月以上10年以下の懲役刑が科されることとなり、処罰も非常に重くなっています。
 また、正当な理由がなく、証人が出頭しないとか、証言の要求を拒んだり、要求された書類を提出を拒んだり、証人が宣誓、証言を拒んだ場合にも、1年以下の懲役、10万円以下の罰金となります。

 実際の国政調査権が実施された有名な例としては、以下のようなものがあります。

「ロッキード事件」
(1976年・ロッキード社からの旅客機受注をめぐる汚職事件)
 この事件に関連して、国際興業社主・小佐野賢治が証人喚問を受けた。その際に偽証を避けるために多用した「記憶にございません」が流行語にもなった。

「ダグラス・グラマン事件」
(1979年・グラマン社からの戦闘機売買をめぐる汚職事件)
 この事件に関連して、日商岩井の副社長・海部八郎が証人喚問を受けた。宣誓書へサインをする際に手が震えてうまく書けない場面が、当時注目を集めた。

「リクルート事件」
(1988年・リクルートコスモス社の未公開株が賄賂として多数の国会議員に譲渡された汚職事件。)
 リクルート会長・江副浩正が証人喚問を受けた。
 証人喚問の方法をめぐって、議院証言法が改正されて、喚問中の撮影が禁止されるようになった。(ただし、1998年に議院証言法が改正されて委員が認めた場合には許可される)。

 この国政調査権は、より実りのある国会での議論のために利用されて欲しいですし、それが、豊かで安心できる私たち国民生活の形成につながっていって欲しいと思います。

 今回は以上です。つぎは63条を読んでいきます。お楽しみに!

以上


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