【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
70条



 ウクライナ情勢の先が見えてきません。とにかくこれ以上の悲劇を新たに生み出されることがないように、私たちにできることは、戦争が終わるまで、戦争反対の声を上げ続けることなのではないでしょうか。

 それでは今回も憲法の話を始めましょう。前回は、内閣不信任決議と衆議院の解散・総辞職について定めた69条を読みました。今回は、内閣総理大臣の欠缺又は総選挙後の内閣の総辞職について定めた70条を読んでいきます。

【70条】

 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。


 70条では、内閣が総辞職しなければならない2つの事由を上げています。一つは「内閣総理大臣が欠けたとき」。もう一つは「衆議院議員総選挙後に初めて国会の召集があったとき」です。この二つについて、もう少し詳しく見てみましょう。

1.内閣総理大臣が欠けたとき
 「内閣総理大臣が欠けたとき」とは、内閣総理大臣がいなくなった場合ですが、これは内閣総理大臣がその職から完全に退いた場合や、再び職に就くことが不可能になったような場合です。具体的には、例えば、死亡した場合、辞職した場合、国会議員の資格を失った場合(憲法55条・資格争訟裁判によって議員の資格を失った場合。憲法58条2項・各議院による除名処分によって議員の資格を失った場合)などです。これに対して、事故や病気など、やむを得ない事情で、一時的に職務遂行ができなくなった場合は、総辞職すべき「欠けたとき」には該当しません。
 「内閣総理大臣が欠けたとき」や、一時的に職務遂行ができなくなった場合は、内閣総理大臣は職務ができませんし、次の内閣総理大臣が決まるまでの内閣総理大臣不在の期間を埋めるべく、あらかじめ予定されている国務大臣が職務を代行することになります。このことについては、内閣法9条が規定しています。

【内閣法9条】

 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。


2.衆議院議員総選挙の後
 衆議院議員総選挙の後に初めて国会が召集された場合にも、内閣は総辞職することになります。
 これは、先に内閣総理大臣を指名した衆議院の構成員が改選されるため、内閣総理大臣によって組閣された内閣は、その存立の根拠を失うことになります。そのため、議院内閣制の下、衆議院議員総選挙の後、新しく召集された国会の信任を改めて仰ぐ必要があります。そこで、いったん、内閣は総辞職することとされています。
 したがって、仮に、総選挙を実施した結果、政府与党が多数を占め、再び同一人が内閣総理大臣に指名されると考えられるときでも、新しい国会の信任が得られていることを示すために、内閣は総辞職しなければならないことになります。

 今回は以上です。次回は71条を読んでいきます。お楽しみに!

以上



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