【社会保険労務士】
「 幻の4二角 遺族補償年金など 」



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こんにちは。今日は11月24日。昨年5月に社労士講座の講師室長から引き継いだこのブログも1年6箇月が経ちました。毎週お読みいただきありがとうございます。毎週締め切り日があるので、常に追いかけられている心境なのですが、意外と苦になりません。(ネタ探しに苦労することはありますが。。。)それは、私自身、学生の頃から下手な小説などを書いていたので、書くこと自体は嫌いではないということが大きいのですが、私がこのブログを始めるにあたり、ある人のエッセーをお手本にしました。それは、今からちょうど10年前の2007年11月24日に55歳の若さで亡くなられた、プロ棋士の真部一男九段です。生涯最後の対局の「幻の4二角」で升田幸三賞を獲得した伝説の名棋士です。

※「幻の4二角」とは?
2007年10月30日の順位戦対豊島将之四段戦(持ち時間各6時間)で、体調悪化のため、指し続けることができずに、わずか33手で投了したのが最後の対局となりました。弟子の小林七段によると、真部九段はこの投了の局面で妙手「△4二角」を発見していたのですが、その手を指せば相手が大長考に入り次の自分の手番まで体力が持たないだろうとして、この手を指さずに投了しました。帰り際に「角を打てば俺の方が優勢だと思うんだよな。」と小林七段に述べています。後日、豊島四段はこの対局について「△4二角と指されたら絶対に長考していた。」とコメントしています。
真部九段の実際には指さなかった幻の妙手は、将棋界で大きな話題となり、翌年3月に行われた将棋大賞の選考では、真部-豊島戦を名局賞に推す声が上がり、一手の価値を認められて升田幸三賞(新戦法や妙手に与えられる)の特別賞が与えられました。

真部九段は本業の他にも多彩な才能を持った人で、時代劇の「銭形平次」に出演したりするほどの二枚目であり、また、文筆の才能が素晴らしく、将棋専門誌の「将棋世界」に10年以上にわたり「将棋論考」というエッセーを連載していました。
このエッセー、毎回全10ページほどの紙面のうち、将棋の話題は半分くらいで、残りの半分はその時々の様々な時事ネタを取り上げて、機知に富んだ文章の巧みさで、くすりと笑わせるのが好評の人気コーナーでした。将棋のルールを知らない人でも楽しく読める秀逸なエッセーだったのです。ところが、その連載が真部九段の急死により、突然終了したのです。タイトル獲得はなかったものの、A級在位2年の名棋士の突然の死に、多くの将棋ファンが涙を流しました。
そのようなことがあったので、このブログを書くにあたり、「社会保険労務士」という資格をあまり知らない人でも、退屈しないで読んでもらおうということを第一に書き始めたというわけです。

さて、秋から学習を開始した人は、そろそろ「労災保険法」を学習する頃だと思います。
労働基準法に比べると、労災保険法は実体験のある人が少ない(業務上の負傷などをしないと縁がない)ので、最初の難所と言えるでしょう。
保険給付の種類が多く、これを全て、内容も正確に覚えるのは大変です。
・療養補償給付  ・休業補償給付  ・傷病補償年金  ・障害補償給付
・介護補償給付  ・遺族補償給付  ・葬祭料  ・二次健康診断等給付

上記のように数多くの保険給付があります。
中でも、遺族補償給付は、遺族補償年金と遺族補償一時金の2つがあり、ややこしいところです。
労働者が業務上の負傷等により死亡した場合には、その者の遺族に対して、遺族補償年金または遺族補償一時金が支給されます。
遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。
ただし、妻以外の者には、一定の年齢要件や障害要件があります。以下、年齢要件についてのみ見ていきましょう。

年齢要件なし
60歳以上
18歳年度末まで
父母60歳以上
18歳年度末まで
祖父母60歳以上
兄弟姉妹18歳年度末まで若しくは60歳以上
55歳以上60歳未満
父母55歳以上60歳未満
祖父母55歳以上60歳未満
兄弟姉妹55歳以上60歳未満


※数字は、遺族補償年金を受けることができる順位です。遺族のうち、数字の一番小さい人が遺族補償年金を受けることができます。
なお、夫、父母、祖父母、兄弟姉妹の年齢要件については、55歳以上60歳未満の場合は、60歳までは遺族補償年金は支給停止となります。
この表を見て、目立つのは、妻には年齢要件がない!ということです。最近では、夫婦共働きの家庭も多いと思います。また、賃金の面でも、妻の方が収入が多いという夫婦も、以前に比べて増加しているのですが、労災保険法は改正の動きはありません。
(労災保険法は、後に学習する厚生年金保険法の遺族厚生年金と少し異なる箇所がありますので、気をつけてください。)

で、例えば、夫35歳、妻25歳の夫婦がいて、2人の他には家族がいないとします。
このような場合、労働者である夫が、業務上の事故で死亡した場合、妻に遺族補償年金が支給されます。そして、25歳の妻は、再婚しなければ、一生涯、遺族補償年金をもらい続けることができます。
しかし、そうは言っても、まだ若い妻ですから、いずれ誰かと再婚するときが来ると思いますが、その再婚した時に、遺族補償年金の権利は失うのですが、すでに受給した遺族補償年金が給付基礎日額の1000日分に満たないときは、その差額分が、遺族補償一時金と名を変えて、妻に支給されます。
つまり、このような場合、他に受給資格者がいない場合は、いずれにしても1000日分は、妻に支給されることになっています。

なお、遺族補償一時金の遺族の順位は、次のようになっていて、遺族補償年金の順位とは異なります。

配偶者
労働者死亡当時、生計維持関係にあった子、父母、孫、祖父母
労働者死亡当時、生計維持関係になかった子、父母、孫、祖父母
兄弟姉妹


遺族補償一時金の受給資格者は、年齢要件や障害要件などはありません。このあたりの違いも試験では要注意の項目なので、気をつけてください。


つづく。