【社会保険労務士】
「いつになく、在職老齢年金制度を真面目に考えてみる。」



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こんにちは。今日は2019年4月26日。
明日から、10連休という人も多いと思います。平成が終わり、令和という新時代が始まるということで、テレビなどは特別番組を多く放送することでしょう。
また、世間全体の雰囲気もお休みモードということで、社労士試験受験生の皆様にとっては、周囲の人々は行楽地などに行って休暇を楽しんでいるのを横目に勉強することは、少々つらい10日間になるかもしれませんが、この10日間をどのように過ごすのかによって、合格に近づくか、あるいは遠のくかの別れ道のような気がします。
来年は、東京オリンピックが行われますので、今年よりも、もっと世間全体は浮足立つような雰囲気になるような気がします。
受験生の皆様も、落ち着いて、ゆっくりオリンピックを観戦するためにも、是が非でも、今年の試験に合格するべきだと思います。
(来年のオリンピック期間中に、試験勉強をするのは、精神的にもつらいと思います。)


さて、新聞報道によりますと、来年以降、厚生年金保険法の在職老齢年金制度が廃止になるかもしれないとのこと。(来年の通常国会に提案するとのこと)
この在職老齢年金という制度、大手の新聞報道は正しい内容を伝えているのですが、それを引用した、二次媒体のネットニュースなどでは、間違って伝わっている場合があり、
「在職老齢年金、廃止か?」
という見出しだけを見ると、普通の人は、もらえる年金が減額されると錯覚してしまいそうです。
正しくは、在職老齢年金制度が廃止になると、逆に、もらえる年金が増えます。
しかし、現在、年金財政が苦しいのに、大丈夫なのか??とも思いますが。。。

在職老齢年金制度というのは、会社から報酬を得ながら、さらに老齢厚生年金を満額支給すると、逆に過剰給付になるので、ある一定の基準額を設定し、それを超えると、年金を一部停止するという仕組みです。(きわめて、簡単に説明していますので。。。)

なお、在職老齢年金には2種類あり、60歳以上65歳未満の者に支給される特別支給の老齢厚生年金に係る「低在老」と、65歳以降の本来の老齢厚生年金に係る「高在老」とがあり、停止基準額も異なります。

で、受験生の皆様もご存知のように、現在は、60歳~65歳の特別支給の老齢厚生年金をもらっている人は、年々減少していて、男子の場合は、昭和36年4月2日以降に生まれた人、女子の場合は、昭和41年4月2日以降に生まれた人は、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。
つまり、60歳台前半に老齢厚生年金をもらっているだけで、若い世代から見れば、十分に恵まれていると言えます。

仮に報酬が月額20万円、老齢厚生年金の月額が15万円の場合、低在老の式で計算すると
(20万円+15万円-28万円)÷2=35,000円 が支給停止額になります。
15万円の年金のうち、35,000円が停止になるという制度です。
一応、理にかなっていると思いますが。。。

また、高在老は、基準額が47万円に設定されていますので、これを改正して、この制度を廃止するのは疑問が残ります。
つまり、報酬が月額35万円、老齢厚生年金の月額が15万円の場合、
(35万円+15万円-47万円)÷2=15,000円が停止になります。

もし、もっと高額の報酬をもらっている人の場合、たとえば、
報酬が月額50万円、老齢厚生年金の月額が15万円の場合、
(50万円+15万円-47万円)÷2=90,000円が停止になるはずですが、この制度が廃止になると、年金が全額支給されます。
報酬の高い人ほど恩恵を受ける改正になるというわけです。通常は、65歳以降に働いていても、全体で47万円を超えるなんてことは、そんなにありません。

年金制度は非常に複雑なので、あえて言えば、政治家の政争の道具にしてほしくありません。また、世代間で、損得が発生するのは好ましくないので、頻繁に制度を変更するべきではないと思います。 たしか、小泉内閣のときに「100年安心年金」と謳っていたように思いますが、あの言葉はどうなったのでしょうか?

現役の国会議員で、在職老齢年金制度を正しく理解している人が、どれくらいいるのでしょうか??
数か月前のある超有名若手政治家が
「年金の繰下げ制度、なんて知らなかった、初めて知った。」
という発言をし、その後、盛んに政府は「繰下げ制度」の広報活動をしていますが、国会議員の知識とはこの程度なのかと残念に思いました。
年金制度は全国民に関わることなので、もし、改正するときは、慎重な議論を願いたいものです。


社労士講師室・伊藤修登


※来週は、祝日のため、ブログはお休みです。

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


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