【社会保険労務士】
「 マクロ経済スライドって知ってますか?? 」



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こんにちは。今日は2019年6月21日。
いつもは枕が長いこのブログですが、国会の体たらくが見ていられない状況なので、いきなりステーキではなく、いきなり本題です。

このところ年金制度についての新聞・テレビニュース等の報道が多いので、少しそのあたりに触れたいと思います。
首相が国会で得意気に「年金は、0.1%上がりました。」と言っていましたが、2012年の政権発足時点の年金額より下がっています。そしてこの複雑な年金の仕組みを国民(国会議員も含めて)の何%が理解しているのか??
きわめて簡単に説明すると、今年度の年金額の改定率は、物価変動率が1.0%、名目手取り賃金変動率が0.6%だったので、新規裁定者、既裁定者いずれも名目手取り賃金変動率0.6%を基準とすることになりました。つまり、現段階で、「物価の上昇」に「賃金の伸び」が追いついていません!(これで経済政策が成功したと言えるのかなあ??)

で、マクロ経済スライドを導入して調整するのですが、分かりにくいことに、昨年の未調整分が0.3%残っていまして、今期の調整分0.2%と合わせると、0.5%調整することになり、結果として、プラス0.1%ということになります。
この「景気後退期であっても、下げない。」という仕組みが、分かりにくい根源です。賃金・物価が上昇すれば、年金を上げればいいし、賃金・物価が下がれば、年金も下げれば分かりやすいのです。専門家でなければ、今現在「未調整分が何%か?」なんて知っている日本人は少ないと思います。(というか、ほとんどいないのでは??)

なお、マクロ経済スライドをきわめて簡単に説明しますと、現在の日本は少子高齢化なので、このままの年金給付額を維持するのは難しい状況です。そこで、ある率を乗じて、少し年金額を下げるという仕組みです。
具体的な内容をざっくり言いますと、本来のスライド率(名目手取り賃金変動率又は物価変動率)に、調整率【公的年金被保険者総数の減少を反映させた率に、平均的な年金受給期間(平均余命)の伸びを勘案した一定率(当面は0.997)を乗じた率】を乗じた率を実際のスライド率として用いることとしていましたが、平成30年4月からは、名目下限措置を維持し、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を調整することとしています。
※ものすご~~~~~~~く、簡単に説明していますので、詳しくは、必ず、お手持ちのテキストで確認しておいてください!!!

図にすると次のような感じです。(イメージ)

マクロ経済スライド イメージ図 

というわけで、物価は1.0%上昇、賃金は0.6%上昇していますが、年金額は0.1%の上昇ということです。
給付水準を少しずつ下げないと、年金制度の安定と世代間の公平性を確保できないので、現実問題として、マクロ経済スライドそのものは、仕方のない制度だと思われます。
その上で、政府は5年に1度の「財政検証」を早く発表して、正直に、これ位の金額は自助努力として、貯蓄することをお願いすると公表した方が、はるかに印象は良いと思います。(金融庁が発表した報告書が信用できなければ、国民は何を信用すればいいのでしょうか???)

ところで、年金の給付水準の下限というものが、一応決められているので紹介したいと思います。
「新たに年金を受給し始める時点での標準的な年金額(40年間被用者として平均的な賃金を受け就労していた夫と、その期間のすべてが専業主婦であった妻の世帯に支給される年金額)の、厚生年金保険の男子被保険者の平均標準報酬額から公租公課の額を控除して得た額に対する比率(所得代替率)については、50%を上回る水準を確保することとし、所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合には、給付と費用負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずるもの」とされています。

上記のケースで一番不可解なことが、妻が40年間すべて専業主婦であったということです。1億総活躍社会とか、女性の社会進出などというスローガンを掲げていながら、年金のモデルケースは、なぜか、女性は働かずに40年間第3号被保険者(専業主婦)という前提で、年金額を計算するのはなぜなのでしょうか??
個人的な予想として、今年の本試験の選択式問題では、年金のこのあたりの仕組みが問われる問題が出るような気がします。。。(あくまでも個人の予想です。。。)
🔮



社労士講師室・伊藤修登


つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


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