【社会保険労務士】
「 年少者が、解雇されて故郷に帰る旅費についての話など 」



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こんにちは。今日は2019年9月27日。
ここ数か月、藤井七段のテレビでの報道が少なかったのですが、実は、着実に白星を重ねていまして、タイトル戦の1つである王将戦の「挑戦者決定リーグ」に初めて参加することになりました。☗
プロ棋士約160名の中で、「挑戦者決定リーグ」に入れるのは、わずかに7名だけという狭き門なのです。詳しく言うと7名中4名は前期のリーグ戦の上位4位までの残留者(予選免除者)なので、新規に予選から勝ち上がって、リーグ入りできるのは、わずかに3名、という超難関リーグです。(゚д゚)!
7名の顔ぶれは、豊島名人、広瀬竜王、羽生九段、久保九段、三浦九段、糸谷八段、藤井七段です。藤井七段以外は全員A級棋士なので、天才藤井七段といえども、6戦全敗の可能性もありますが、仮にリーグ1位になると、渡辺明王将に挑戦することができます。
(リーグ戦は、9月18日に開幕していて、年内に決着します。渡辺王将との七番勝負は来年1月からの予定です。)

さて、藤井七段はまだ17歳の高校2年生なので、プロ野球で例えると、中学を卒業していきなりプロ入りした少年が高校2年生なのに打撃ベストテンの7位に入ったと考えてみてください。いかに規格外の天才少年かということがお分かりいただけるでしょう。
なお、プロ棋士は、個人事業主で、労働基準法の適用対象外なので、17歳の藤井七段が夜中の12時近くまで対局していても、法律違反にはなりません。

労働基準法の世界で17歳というと、「年少者」に該当します。
なお、18歳に満たない者を「年少者」と言い、15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者を「児童」と呼んでいます。実際の過去問題で見てみましょう。

平成29年問7A
『 労働基準法第56条第1項は、「使用者は、児童が満15歳に達するまで、これを使用してはならない。」と定めている。』

○か×か分かりますか?
🕖
🕘
🕓
正解は、×です。
速読すると、○と判断してしまう人もいるかもしれませんが、「満15歳に達するまで」ではなく、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」とすると正しい内容になります。
ものすご~~く、ひらたく言うと、中学校を卒業するまでの間は、使用してはならないということです。ただし、労働基準法56条には続きがありまして、

『 第1項の規定にかかわらず、非工業的業種の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。』

と規定されています。演劇の子役などは、もちろん児童でも使用して構わないということです。
なお、深夜業に関して、年少者については、「使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。」と規定されています。
児童については、さらに厳しく、原則として午後8時~午前5時までは、深夜業の時間帯ということで使用が禁止されています。ただし、演劇の事業に使用される児童(演劇子役)が演技を行う業務に従事する場合は、特別に午後9時~午前6時までが使用禁止の時間帯なので、午後9時まで使用することができるとされています。午後9時終演の舞台が多いので、このような規定になったと言われています。

その他、年少者関連の規定に次のようなものがあります。

『 満18歳に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。ただし、満18歳に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、この限りでない。』

という帰郷旅費に関する規定なのです。中学校を卒業して、高校に進学せず、東京の工場に就職した若者を想像してください。
18歳に満たない若者が解雇された場合に、14日以内に帰郷する場合には、使用者は旅費を負担しなければならないというものですが、その解雇の事由が、その若者の責めに帰すべき事由に基づくものである場合で、行政官庁の認定を受けたときは、旅費を負担しなくてもいいということなのです。
個人的には、この若者は、おそらく何か悪さをしたために解雇されたのに、故郷に帰る旅費がなく、そのまま大都会の東京に住み続けると、ますます非行の道に入ってしまうような気がするのですがね。。。。そう考えると、その解雇の事由が、その若者の責めに帰すべき事由に基づくものである場合の方が、帰郷旅費が必要なのでは??と思ったりしてしまうのですが。。。。
今は少ないと思いますが、昭和25年~昭和45年位にかけては、「金の卵」と言われて、地方の若者が大量に集団就職した時代がありました。
現在の高校進学率や大学進学率、及び奨学金の充実をみると、個人的には現代の若者は恵まれていると感じます。



社労士講師室・伊藤修登


つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


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