【社会保険労務士】
「 54歳と55歳では大きく異なる遺族補償年金? 」



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こんにちは。今日は2019年12月20日。
いささか旧聞になりますが、12月7日の将棋竜王戦七番勝負において、豊島名人が広瀬竜王を4勝1敗で下し、「名人・竜王」の2冠王となりました。野球で例えると、「首位打者」と「ホームラン王」の最強のダブルタイトルホルダーという感じです。
豊島名人は1990年生まれの29歳で、現在独身。今年の名人就位式には、数多くの女性ファンが参加したことでも有名な棋士です。
ちなみに藤井聡太七段との対戦成績は、豊島名人の4勝0敗で、今後5年間くらいは、藤井七段の前に立ちはだかる大きな壁になると思います。
また、豊島名人は、対局中、なぜかいろいろなハプニングに出会うことでも有名です。

・対局相手が遅刻しているので、一人で駒を並べ、正座で1時間待ち続ける姿が延々と放送され、その後、結局不戦勝となり、一人で駒を片付ける姿が生中継される。翌週のワイドショーでも大きく取り上げられて話題になる。
・タイトル戦の対局中、ホテルの予定外の避難訓練の警報音が急に鳴り始め避難するはめになる。
・タイトル戦の対局中、ホテルの従業員が3時のおやつのアイスコーヒーをぶちまけ高級和服と将棋盤が汚れてしまう。

上記のようにいろいろな場面に出くわすのですが、一番有名なのが、豊島名人が新人のときの2007年10月30日のC級2組順位戦、真部一男八段との対局です。(真部八段は、その後11月24日に55歳で亡くなられました。)
大病を患い、余命幾ばくも無い真部八段の最後の対局相手が豊島さん(当時四段)でした。
豊島さんの才能を大いに評価していた真部八段は、豊島さんと対局するまでは死ねないと頑張ったのだと推測します。この対局は、まだ序盤の33手で豊島さんが勝ったのですが、真部八段の指さなかった34手目の絶妙手「幻の4二角」がその年の名局賞を受賞しています。(順位戦の持ち時間6時間の対局に耐えられず、やむを得ず対局途中での投了。)若干17歳の四段の若者が将来、名人になることを予言した、真部八段の慧眼に感服する声が多かったのです。

さて、55歳というのは、社労士試験の科目でもいろいろなところで出てきます。
代表的なところでは、労災保険法の遺族補償年金がそのひとつです。
次のような過去問題があります。
『 遺族補償給付を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が55歳に達したとき(労災保険法別表第1の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)は、その達した月から遺族補償年金の額を改定する。』

〇 か × か分かりますか?
🕙
🕓
これ、実は × なんです。その達した月ではなく、その達した月の翌月から遺族補償年金の額を改定します。こういう単純な問題が本試験でも出ます。 遺族補償年金の遺族の年齢要件は、次の通りです。

遺族 年齢要件
年齢要件なし
夫、父母、祖父母 55歳以上
子、孫 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者
兄弟姉妹 55歳以上 又は
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者

上記の年齢要件は、労働者の死亡の当時で判断するのですが、いわゆる共働き夫婦が多くなった現代には、少々合わない仕組みになっているように思います。
例えば、夫が業務災害で死亡した場合、残された妻について、年齢要件はありません。ところが、逆に妻が業務災害で死亡した場合には、残された夫が55歳以上でなければ、遺族補償年金は支給されません。
あるいは、夫婦ではない場合でも、例えば、母子家庭において、若い労働者が業務災害で死亡した場合、その母の年齢が54歳の場合は、遺族補償年金は支給されません。
先ほどの夫婦の話に比較すると、母子家庭に厳しいと思うのですが。

妻の場合は年齢要件がありませんので、総合本科コースの岡根先生の言葉を借りれば、
「どんなに若くてピンピンしている、20歳の妻」
であっても、遺族補償年金を受給することができます。
「一方、少しくたびれた、54歳の夫」
には、遺族補償年金の受給権はありません。この説明は、私が受講生当時に聞いたことなのに鮮明に覚えています。イメージしやすい説明は1度で覚えられるものです。
もちろん、この若き妻が、再婚した場合は、遺族補償年金の権利は失権しますけれど。
最後に遺族補償年金の額について、表で紹介しておきます。

遺族の数 遺族(補償)年金の額
1人 給付基礎日額の153日分
55歳以上の妻又は一定の障害状態の妻は、給付基礎日額175日分
2人 給付基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分

上記の表の数字はすべて重要ですが、とりわけ55歳以上の妻は、175日分というのは、試験に出やすいところなので覚えておきましょう。

社労士講師室・伊藤修登

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


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