【社会保険労務士】
「 かずかずに 思ひ思はず問ひがたみ 身を知る雨は 降りぞまされる 」



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こんにちは。今日は2020年3月27日。
コロナウイルスの脅威が世界中を覆いつくしていて、気が滅入りますね。
選抜高校野球は中止になり、各種イベントの自粛要請も出ていて、プロ野球の開幕も大幅に遅れるようです。
基礎疾患のある人がコロナウイルスに感染すると、短期間で死亡する場合もあり、このウイルスの全貌は未だに不明なのも事実なので、気の抜けない状況は続いています。

というわけで、休日に外出をしないで、パソコンで懐かしい映画等を視聴していたのですが、何かの拍子で「大学受験ラジオ講座」の音声を探し当て、つい聞き入ってしまいました。18歳の頃、学習した内容というのは、何年経っても昨日のように思い出せるものです。(集中して聞いたものは忘れません。)皆様は、学生時代、古文は得意でしたか?古文を得意になるコツというのは、先に解答の現代語訳を見てしまうことにあります。現代語訳を見てから、古文を読むとあらすじは分かっているのですから、理解しやすいというわけです。(社労士の過去問も、先に解答を見る方法もありだと思っています。)
で、約千年前の伊勢物語の有名な「身を知る雨」の話を知っていますか?

『 昔、あてなる男(在原業平)ありけり。その男のもとなりける人(女)を、内記にありける藤原敏行といふ人よばひけり。
「 つれづれのながめにまさる涙河 袖のみひちて あうよしもなし 」
「 浅みこそ袖はひづらめ涙河 身さへ流ると 聞かば頼まん 」
(略) 
男(藤原敏行)、文おこせたり。得て後のことなりけり。
「 雨の降りぬべきになむ 見わづらひはべる。身幸いあらば、この雨は降らじ 」
と言へりければ、例の、男、女に代はりて詠みてやらす。
「 かずかずに 思ひ思はず問ひがたみ 身を知る雨は 降りぞまされる 」
と詠みてやれりければ、蓑も笠も取りあへで、しとどに濡れてまどひ来にけり。』
これ、有名な話なんですけど、在原業平のところに仕えていた若い女性に、藤原敏行が恋をして歌を送ったわけです。
あなたのことを想うと涙で袖が濡れるほどです、みたいなね。
ところが、その返歌が、(実は、業平が代筆しているのですが)
涙の川が浅くて袖が濡れるくらいでは、あなたの私への想いはたいしたことないわね。本気で惚れているなら、袖じゃなくて全身が濡れて、体ごと川に流されるくらいなら、あなたに身を任せてもいいですけどね。
と返したもんだから、敏行はすごく感激して、ますますその女に惚れたんですね。
その後、その女性をわが物にしてからは、男の悪いくせで、ちょっと冷たくなってしまって、当時は通い婚ですから、「雨が降っているので、行きたいけど行けません」みたいな手紙を送ったら、女性(作ったのは業平)から、あの有名な歌が来たわけです。

「 かずかずに 思ひ思はず問ひがたみ 身を知る雨は 降りぞまされる 」

あなたが私のことをどう思っているか聞きたいけれど、来てくれないので尋ねることもできません。私の心のうちを知っている雨は、このようにどんどん降るばかりなのでしょう。(あなたの本心が知りたいので、もっと雨が降ればいいと思いますという気持ちも入っている。)と返歌が来たものだから、敏行は蓑も傘も着けないで、びしょ濡れになって慌てて来たのでした。
どうです。これ、千年前の話ですよ。男女の駆け引きは今と同じでしょ。古文というのは、実は面白い話が多いのですが、食わず嫌いな人はもったいないと思います。
で、社労士試験と何か関係あるの?という声が聞こえてきそうですが、直接的には関係ないのですが、勉強の本質というものは、その科目を好きになって集中して講義を聴くということにつきます。「労働基準法」でも「厚生年金保険法」でも、実は面白いですし、得意になるには、その科目を好きになることが大切だと思います。会社員の方であれば、労働基準法は覚えておいて損はないですし、年金科目についても、いずれは65歳になるのですから、若いうちから学習しておいて損はしません。
また、選択式の空欄補充の問題の中の一部には、現代文の問題のようなところもあります。平成21年の労働安全衛生法の問題を紹介します。

『 労働安全衛生規則第15条第1項では、「産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から所定の情報提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、( A ) 又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。」と定められている。』(一部改題)

① 作業環境  ② 作業場所  ③ 作業方法  ④ 設 備 



これ私が実際に受験したときの問題です。制限時間があるので、かなり迷いましたが、消去法などで答えを絞っていきました。
まず、「設備」はないと思いました。そもそも設備は機械関係の語句ですから、産業医には関係が薄いと思います。
おそらく「作業環境」「作業場所」「作業方法」の3つのどれかだと思いました。
産業医が、月に1回、作業場等を巡視して、( A ) 又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、必要な措置を講じなければならないというわけですから、「作業場所」は入らないですよね。だって、言葉が重なる、ダブリますよね。
残るのは「作業環境」と「作業方法」です。
( A )又は(衛生状態)に有害のおそれがあるときですから、どちらが入るか??
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で、数分考えて気付いたのが、「作業環境」と「作業場所」は、おおむね同じような意味では?と思ったのです。さらに、「衛生状態」と「作業環境」という言葉もその意味するところは、ほぼ同じですよね。ひとまとめに「衛生状態」という言葉で大きくくくれると思いました。一方、「作業方法」は、環境や場所ではないですよね。つまり、産業医が巡視をして、その方法では危ないなと感じた場合には、必要な措置を講じなければならないというわけです。それで、正解の「③ 作業方法」を選びました。
まあ、もちろん条文を暗記していれば、それが一番ですが、仮に暗記していなくても、選択肢及び問題文の前後の文脈からでも推測することは可能だと思います
 (なお、上記の思考は、あくまでも試験を受けた当時の、制限時間内の私の思考状況ですので、それが絶対というわけではありません。皆様も自分なりの推理力を養ってみてください。)


社労士講師室・伊藤修登

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


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