【社会保険労務士】
「  時間外労働の上限規制を知っていますか??  」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「  時間外労働の上限規制を知っていますか??  」 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

こんにちは。今日は3月19日。
現在、大学3年生の人(4月から4年生の人)は、ちょうどこの時期、就職活動で大変だと思います。コロナ禍のため各企業が採用枠を絞っている場合も多いので、例年より大変かもしれません。また、そもそもどのような企業に就職したらいいのか分からない人も多いことでしょう。現在、好調な会社が、10年後も好調とは限らないので、就職活動というのは、短期的な成長見込みと、長期的な成長見込みの両方を兼ね備えているような会社を探すことが理想ではあります

私が大学4年生のころは、「24時間、戦えますか?ビジネスマ~ン、ビジネスマ~ン、ジャニーズビジネスマン!」というCMが流行っていて、景気が良すぎて、逆にあまり深く考えずに証券会社に就職したのですが、大失敗という結果でした。10年後には同期入社の9割が退職していました。 40代、50代になると気が付くのですが、若いときは派手な業界に憧れるのですが、OB訪問などで、あえて地味だけれども堅実な会社を訪ねてみるのもいいと思うのです。

そうは言っても、どうやって良い会社を見分けるの?という質問がきそうなので、少し考えてみると、単純ですが、残業時間の多い少ないというのは1つの目安だと思います
私が入社した証券会社は、慣例として、朝8時から夜8時ごろまで、概ね12時間労働をしていました。(20代のころは、体力があったので、何とかできましたが。)
就業規則は、もちろん労働基準法通りでしたが、この慣例という存在が厄介で、その会社に入らないと分かりません。毎朝8時から朝の会議がありましたので、それまでには出社しなければなりません。給料は良かったのですが、体というか精神を壊しますね。そもそも12時間も働いていると段々と能率が悪くなりますし。

残業

時間外労働の上限規制については、2019年4月に大きな改正がありました。
労働基準法で定める労働時間は、原則として、1日8時間、1週間40時間ですが、労使協定を締結して、労基署に届け出た場合は、法定の労働時間を超えて労働させることができます。ですので、残業することは違法ではないのですが、だからといって青天井ではなく、上限が決められています。
原則として、月45時間、年360時間というのが上限です。

「あれ、先月、50時間残業したけど?」
「俺は、60時間も残業したぞ。」

という声が聞こえてきそうですが、例外がありまして、1年について6か月までは、45時間を超えて労働させることができます。
この6か月については、原則の45時間を超えることはできますが、それでも超えてはいけない上限時間があります。
1月単位では、100時間未満(休日労働を含む)という天井があるのです。
ですから、どんなに忙しい月であっても100時間以上はダメということです。
また、年単位でみると、例外を認めた場合でも年720時間が上限という決まりです。
タイムカードを押した後の闇残業がばれると大変なことになりますので、時間外労働の上限規制は絶対に守るようにしてください。

なぜ、このような法改正が行われたかというと、「脳血管疾患」及び「虚血性心疾患」の発症と長時間労働との関連性が高いという医学的知見が明らかにされているからです。
昨日まで元気だった人が、「脳血管疾患」及び「虚血性心疾患」で突然亡くなるということが頻発した時代がありました。

私の経験でいえば、20年くらい前に、出張で新潟に滞在していたとき、40代後半の取引先の百貨店の外商部の人が、会社の車の運転席で亡くなっているのを、翌朝、同僚が出社したときに見つけたという痛ましい事件がありました。その人は、1月間休みなく働き続け、外商部という仕事柄、営業成績についても厳しく追われていたらしく、休みたくても休めない環境だったということです。

現在は、労働安全衛生法の規定で、週40時間を超える労働時間が月80時間を超え、疲労の蓄積がある場合には、労働者の申出によって、面接指導を受けることができます。
脳血管疾患は、何の前触れもなく起こることもあると言われていますので、長時間労働に該当する人は、勇気を出して医師による面接指導を受けてみてください。
次回は、4月2日の予定です。



社労士講師室・伊藤修登

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。


TAC社会保険労務士講座のホームページはこちら