【社会保険労務士】
「  どういう人が「労働者」に当てはまるのかを考えてみよう!  」



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こんにちは。今日は2021年10月1日。
若干古いニュースになりますが、9月13日の叡王戦第5局で、藤井聡太二冠が豊島竜王に勝ち、3勝2敗で叡王を奪取、王位、棋聖と合わせて史上10人目の3冠王になりました。19歳での3冠王というのは、今後30年位は破られそうもない偉大な記録だと思います。その後も休む間もなく、棋王戦、順位戦、王将戦と1週間に2局ほど対局が続いて忙しい藤井三冠ですが、9月20日の順位戦をabemaTVで見ていて、少し気になったことがありました。(順位戦というのは、1人の持時間6時間、2人合計で12時間ということで、朝10時の対局開始からお互いに持時間を使い切ると深夜の12時過ぎまで対局が続くことがあります。)

将棋

将棋の中継というのは、通常、棋士2名、聞き手2名の4名でローテーションを組んで交代しながら解説をしていくわけですが、聞き手役の女流棋士の出番が、毎回、必ず午後10時までの出演で、それ以降は男性棋士だけで中継を行うのですが、このことで、労働基準法を誤解している視聴者が意外に多いことに気がつきました。(abemaTVは視聴者のコメント欄があるので)

現在の労働基準法は、午後10時過ぎの女性の労働を禁止していません
これ誤解している人がいるのですが、午後10時過ぎに女性が労働してもまったく問題ありません。例えば、分かりやすい例だと、テレビ局のアナウンサーは、午後10時過ぎの生放送にも出演していますよね。その他、サービス業などでは深夜帯に営業しているお店も多いですよね、コンビニエンスストアとか。あるいは、交通機関で働く女性とか、CAさんとかも深夜帯に労働していますよね。
なお、女性労働者のうち、妊産婦の方が請求した場合には、使用者は、深夜業をさせてはならないと規定されています。(妊産婦=妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性
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現在は、コロナ禍なので、深夜残業する企業は減っているとは思いますが、一般企業でも業務の都合では、午後10時を過ぎることはあります。
ですので、将棋連盟は、なぜ女流棋士の出番を午後10時までと決めているのか?
おそらく防犯上のことを考慮していると推測しますが、その一方で、記録係を勤める奨励会員には、午後10時すぎの労働を容認しているのは、少し整合性が取れないと思うのです。※奨励会員(三段以下で、26歳以下の棋士の卵たち。)

じゃあどうやってこの問題を解決するの?という声が聞こえてきそうですが、持時間1人6時間というのは長すぎるので、1人4~5時間にすれば、2人合わせても10時間以内となり、深夜帯には及ばないで済むと思うのですがいかがでしょうか。
また、1日の労働時間は、原則8時間が上限なので、持時間の設定上、8時間を超える対局に対して「1人の記録係」では、労働基準法に違反する可能性があると思うのです。

記録係は、労働契約ではなく、請負契約だから上記の指摘は当たらないという言葉も耳にしたことがありますが、記録係の仕事は労働基準法上の労働者に当たる可能性が高いと思われます。対局者の棋士は、離席が自由ですが、記録係は手待ち時間も、いつ指されるか分からないので、常に緊張状態が続くことになるのです。(時間を計測する仕事なので、離席するチャンスがほぼない。)
また、仮に契約の形式が名目上「請負」であったとしても、実質実体として労働関係が認められるのであれば、労働基準法の規制の対象になります。

平成27年の有名な過去問題を紹介しますと、

『 形式上は、請負契約のような形をとっていても、その実体において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は労働基準法第9条の「労働者」に当たる。』

〇か、× か分かりますか?

正解は、〇です。実体において使用従属関係が認められるのであれば、それは労働関係であり、労働基準法上の労働者と言えます。
これ、何年か前にいろいろな業種の工場労働者などで、偽装請負という事件が起きたことを覚えていますか?実体として、指揮命令を受けて労務の提供をしているにもかかわらず、名前だけ請負契約ということで、労働基準法の適用を逃れようとした製造業が多く見つかり社会問題になりました。
本来、請負契約というのは、大工さんに家の建築を注文する場合のように、労務の提供ではなく、仕事の完成を目的とする契約であり、注文者の指揮命令を受けずに仕事をするものです。請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりするのは、偽装請負によく見られるパターンなので気を付けましょう。



社労士講師室・伊藤修登

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。

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