【社会保険労務士】
「 有期労働契約の期間の上限について考えてみよう! 」



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こんにちは。今日は2021年10月15日。
メジャーリーグのレギュラーシーズンが終了し、大谷翔平選手の所属するエンゼルスは、アメリカンリーグ西地区4位で、ポストシーズンに進出することはできませんでしたが、大谷選手の成績は、打者として、537打数138安打、打率0.257、本塁打46本、100打点、26盗塁、投手として、130イニングを投げて、9勝2敗、156奪三振、防御率3.18という素晴らしいものでした。
シーズン終了後の談話として、「エンゼルスのことは好きだが、それ以上に勝ちたいという気持ちが強い。」という大谷選手の発言があり、エンゼルスのGMが慌てて、投手の補強などに乗り出すということも報じられています。(現状のままのエンゼルスの戦力では、ワールドシリーズ出場の可能性は夢のまた夢と言えるでしょう。)

野球

現在のところエンゼルスの大谷選手の保有権は2023年まであるのですが、大谷選手がFAの権利を取得行使することによって、2024年以降はどのチームとも自由に交渉することができます。(メジャーリーグに6年間在籍すると、FA権を取得することができる。)
現在27歳の大谷選手は、2年後は29歳なので、長期契約は難しく、年俸50億円位の5年契約(総額250億円、1年当たり歴代最高額)あたりになると予想されていますが、ワールドシリーズに出場可能な資金力のある強豪チームで考えると、ヤンキースやレッドソックスあたりのチームが有力だと言われています。
まあ、プロ野球選手は、労働者ではなく個人事業主なので、労働基準法は適用されませんが、労働契約の期間についてということで、今週は書いてみたいと思います。

労働契約といっても、いわゆる普通の会社員で正社員の場合は、通常、期間の定めのない労働契約が多く、この場合はいつでも労働者側から労働契約を解約できるので、労働契約の期間に上限はありません。(辞めたいときに、辞めることができるので。)

一方、1年契約とか2年契約という期間の定めのある契約の場合は、長期労働契約による人身拘束の弊害を排除するため、労働契約の期間に上限が設けられています。
契約期間の上限について、労働基準法は次のように規定しています。

『 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次のイ又はロのいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。

 イ  専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

 ロ  満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(上記イに掲げる労働契約を除く。)』


これ分かりますか?基本的には、長期労働契約は人身拘束の弊害があるので、あまり長い労働契約は認められないということです。(明治~昭和初期のころは、親の借金を返すために、子どもを長期労働契約で働かせたこともあったようです。)
労働基準法では、原則として、有期労働契約の上限は、3年とされています。
ただし、例外がありまして、高度の専門的知識等を有し、その業務に就く労働者との間に締結される労働契約や、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、契約期間の上限は5年とされています。
なお、上記の「高度の専門的知識等を有する労働者」とは、具体的には、次に掲げる労働者を指しています。

・博士の学位を有する者
・医師、公認会計士、弁護士、税理士、社会保険労務士などの資格を有する者
・賃金額が1075万円を下回らないシステムエンジニア など。


高度の専門的知識等を有する労働者の中に、社会保険労務士が入っているのが嬉しいですよね。難関資格の1つとして認められているような気がしませんか?
国会でこの制度の対象労働者を決めるときに、次のように議論されています。

「有期上限5年の対象労働者の範囲については、弁護士、公認会計士など専門的な知識、技術及び経験を有しており、自らの労働条件を決めるに当たり、交渉上、劣位に立つことのない労働者を当該専門的な知識、技術及び経験を必要とする業務に従事させる場合に限定すること。」
というわけで、弁護士さんと同等に扱われることに恐れ多い気もします。
なお、一定の事業の完了に必要な期間を定める契約というのは、たとえば、ダム建設や大規模な道路建設等の事業において工事の完成に6年を要するような場合には、6年間の労働契約を締結することができますので、これも覚えておきましょう。



社労士講師室・伊藤修登

つづく。
※別段の記載のない限り、本原稿作成時点で施行されている法令に基づいた内容になっています。

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