【司法試験】社会人合格者ブログ

~司法試験受験編~

 

第6話

血路を開け


みなさん,こんにちは。

 

4月上旬に緊急事態宣言が出されたことにより,5月に予定されていた司法試験・予備試験短答式試験が一旦延期という形になりました。

これにより勉強のペースが狂ってしまった,あるいはロー卒業直後の受験生さんは急遽生活費を稼がなくてはいけなくなってしまったというケースも多いと思います。私自身,皆さんの心中を察するに余りあるものがありますが,私から言えることはただひとつ……

それは「自分が苦しいときはライバルも苦しんでいる」ということです。

おそらく今回の事態で,ほぼすべての受験生が大きくペースを崩しています。そのため,「自分だけが上手くいっていないのではないか」と考える必要は全くありません。テキストをぱらぱらと眺めてみる,少し休んでみるなどしてみてください。お金の問題については難しいですが,もし可能であれば親族などに援助をお願いする,アルバイトを気分転換も兼ねてやってみる,公的機関に相談してみるという選択肢もあります。

受験も大事ですが1番大事なのは皆さんの命ですから,そのことをどうか心に留めておいてください。


今回の記事では,試験の延期を受けて,どのように学修を進めていくべきかいう観点から私なりの意見を述べてみようと思います。


①論文頻出事項はフルコピー

司法試験の論文式試験では,会社法の423条・429条,民訴法の弁論主義・既判力,刑訴法の「強制の処分」と任意処分・伝聞証拠,行政法の処分性・原告適格・裁量と審査基準などいくつかの頻出分野があります。このような分野については受験生のレベルが上がっているとよく言われますが,少し大味な分析だと私は思っています。

私としては「合格レベルにある受験生は頻出分野につき超上位再現答案等をフルコピーする勢いで充実した論述をするが,そうでない受験生は通り一遍の薄い論述にとどまっている」という二極化が起こっているという分析をしています。

例えば,私が合格した平成30年の司法試験では刑訴法で「強制の処分」と任意処分の問題が出題されました。この問題については「簡単なので差がつかないだろう」という分析も一部で見られましたが,私が合格後に再現答案を分析した限りでは,「強制の処分」と任意処分の解釈とあてはめすら受験生間で結構な差がついていると感じました。

一例として,「強制の処分」の意義につき昭和51年決定の規範をうろ覚えで書いている答案,昭和51年決定の規範を正確に書けたはよいものの,あてはめで意思制圧について何ら言及しない答案などが不合格者の答案に多かったです。逆に合格者は(程度の差はあるものの)これらの点で大きなミスをしている人は相対的に少なかったです。

平成30年の刑訴法では,特に不合格者で「刑訴法が思ったより悪かった」という人が多かったのですが,これは頻出事項で通り一遍の論述しかできず,合格者に競り負けてしまったことが原因と考えられます。


この事態を避けるためには,ひとつの対策として超上位再現答案等から頻出事項の書き方を盗むのが有効と考えます。市販の再現答案集に掲載されている過年度の超上位再現答案であれば,頻出分野の解釈論からあてはめまで充実した論述がされていることが多いです。そこで,自分の答案スタイルと相性の良さそうな超上位答案を見つけてその表現を丸呑みするレベルで押さえてしまうのです。

また,最近の予備校教材や基本書などは,頻出分野について充実した解説がなされているものも多いです。このタイプの教材からも合格答案を書くのに役立つフレーズや考え方を盗めますので,積極的に活用してみるとよいです。


②網羅的な総復習

ここ2年くらいの司法試験論文式試験の出題内容を見ると,民法の特定と危険負担・刑法の名誉毀損罪・会社法の会計帳簿閲覧請求権とブルドックソース事件,民訴法の二重起訴と確認の利益,刑訴法の別件逮捕勾留,行政法の違法性の承継論など,「事前準備可能だがややマイナーな分野」をある程度しっかり学修できたかどうかで合否が分かれている面があると思われます。

このような出題傾向となっている理由として,「誤った効率主義」を採っている受験生をふるい落としたいという思惑が出題者にあるのではないかと私は考えています。


「誤った効率主義」というのは,頻出分野だけを作業的に暗記しそれ以外の事項に対応できない学修方法をいいます。このタイプの学修方法を採ってしまう受験生は,頻出分野ではない事項に対して「これは出ないから取り組まなくていい」と勝手に決めつけてしまうケースが多いです。たしかに頻出分野を最優先で習得すべきである点はその通りなのですが,試験では頻出分野ではない事項からも往々にして出題されます。

そしてこのタイプの受験生は,上記①で述べたように頻出分野の論述すら甘い場合が多いです。その結果,頻出分野で通り一遍の論述しか書けず競り負けてしまい,そうでない分野から出題された場合にはそもそも答案が総崩れになり,最初から最後まで加点要素のない不合格答案を作ってしまうのです……。


もっとも,この事態を避けるのはそれほど難しくありません。皆さんのお手持ちの基礎的な論文式問題集の中から「これは苦手意識があるな……」と思う分野を総復習すればいいのです。個人的には,商法の組織再編・民訴法の複雑訴訟・行政法の総論部分などはかなり手薄な受験生が多い印象です。このような分野から万が一出題されてしまうと,本番でパニックになり答案全体が総崩れになるリスクがあるので,事案と条文・解釈論の対応関係を大味で良いので押さえておきましょう。特に民事系3科目は様々な事項が雑多に問われる傾向があります。民事系に関しては,可能であれば,テキストや問題集などを通読して網羅的に復習しておくことが望ましいです。


長くなりましたが,①頻出分野を再現答案や諸々の教材でじっくり鍛え上げる,②それ以外の分野も穴を作らないようにするという両面作戦で行けば,遅かれ早かれ血路は開けます。大変な時期ですが,できる範囲で良いので頑張ってみてください。

 

次回もお楽しみに! 

 

☆TAC/Wセミナーは法曹を目指す社会人を応援します!

業界唯一!教育訓練給付制度対象コース有!詳細はコチラ 

第5話に戻る