【司法試験】社会人合格者ブログ

~司法修習編~

 

第7話

闇を照らす炎


みなさん,こんにちは。

緊急事態宣言が解除されたことにより,多くの修習地で実務修習が再開されることになりました。私の修習地でも,6月より自宅待機が解除されて実務修習が再開になります。

自宅待機中はそれぞれの修習生が思い思いに過ごしていたと思いますが,私の場合は何冊か本を読みながら過ごしていました。そこで今回は,今までの実務修習の経験を踏まえ,修習に役立ちそうな本を独断と偏見で紹介してみようと思います。


①『完全講義 民事裁判実務の基礎上巻 第3版』(民事法研究会)

これは弁護修習で使用していた本です。要件事実論については修習で使うのですが,この本があれば要件事実論の知識については網羅的にフォローできます。要件事実それ自体に加えて,請求原因の具体的な記載例や学説とのリンクまで記載されているので至れり尽くせりの本です。

ちなみに,司法試験系の受験生さんでこの本を持っている人もいるかもしれませんが,基本的には条文・実体法の理解に基づいて学修を進めれば大丈夫です。受験段階では要件事実論に振り回されると却って失敗するケースが多いからです。


②『ステップアップ民事事実認定 第2版』(有斐閣)

これは民事裁判の事実認定のやり方を記載した本です。民事事実認定の総論的な考え方,書証と二段の推定,供述証拠の信用性判断の基準などがわかりやすく説明されています。後半のページには演習問題も搭載されているのでアウトプットも可能です。ちなみに,処分証書の定義がこの本と司法研修所教材とで若干異なるのですが,司法研修所教材記載の定義についても解説されているので,この本を読むことで研修所教材の理解を深めることも可能です。


③『事実認定の考え方と実務』(民事法研究会)

これは民事事実認定の応用書です。判例の事案をベースにしながら,事実認定の着眼点について解説がなされています。民事事実認定は,類型的信用文書の有無等によってその判断枠組みが4つに分類されるのですが,それぞれの判断枠組みにおいて問題となる事項につき解説がなされています。個人的には②の内容をある程度頭に入れた後に読むと学習効果が高いです。もっとも,かなり高度な内容を扱っているので,受験生の皆さんは合格後にじっくり読めば大丈夫です。


④『企業法務のための民事訴訟の実務解説 第2版』(第一法規)

もともとこの本は,企業の法務担当者向けに書かれたものです。しかし,民事訴訟の全過程においてどのように実務が運用されているかを分かりやすく解説しているので,修習生にとっても大変役立つ書籍です。この本の後半のページには,民事訴訟で用いる種々の書面のサンプルが載っているので,実務へのイメージが湧きやすくなります。


⑤『刑事実認定入門 第3版』(判例タイムズ社)

これは刑事事実認定に関する概説書です。刑事証拠法の基本原則の解説からはじまり,供述証拠の信用性判断の着眼点などが解説されています。刑事証拠法に関する記載は,修習生が刑訴法の基本原則を復習するのにも役立ちます。また,この本で事実認定の着眼点を大まかに押さえておくと,司法研修所教材の理解が進むと思います。


⑥『刑事弁護ビギナーズver2.1』(現代人文社)

これは弁護修習で使用していた本です。刑事手続の全過程においてどのように刑事弁護活動を行えばよいかが網羅的に説明されています。司法試験では出題されないが実務的に重要な条文の使い方や,条文には定められてはいないが実務上重要なアクションの取り方など,刑事弁護についてはこれ1冊でたくさん学べる内容となっています。

内容的には完全に実務系の書籍ですので,受験生の皆さんは合格後にゆっくり読んでみてください。きっと得るものがあります。


⑦『五・七・五で伝える刑事弁護 その原点と伝承』(現代人文社)

これは弁護修習先の指導担当の先生に教えていただいた本です。刑事弁護に関する心構え・方法論等が108句で表現されています。俳句はいずれも機知に富んだ内容で楽しく読めます。その一方,冤罪事件に関する話も掲載されており,内容はかなり重いです。ですが,法曹とはこの世の闇に光を照らす仕事でもあると思います。闇を照らす炎となるためには,闇を知り,己を鍛え,覚悟を持って闇と対峙する必要があるのだろうとこの本を読んで強く思いました。


他にもいろいろご紹介したい本もありますが,記事が長くなったのでこの辺にしておこうと思います。

例のウイルスの影響で,司法試験系をはじめ各方面に悪影響が出ていると思いました。暗い世界には灯火が必要です。不安や恐怖に打ち勝つためには,ひとりひとりがよく学び,思索を深め,戦うべき相手を知ることが必要だと思います。

 

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