【司法試験】社会人合格者ブログ

~司法試験受験編~

 

第8話

両面作戦


みなさん,こんにちは。

今回は8月の試験に向けて,前回に引き続き,論文・短答の両面について直前期の学修指針をつらつら書いてみようと思います。


①論文式試験は事前の備えとメリハリづけを

まずは論文式試験向けの指針です。論文はある程度学修が進んでいる人が多く,受験生間での実力が拮抗している場合も多いので,他の受験生と差をつけられるように攻めの提案をしてみようと思います。

まずは「不測のタイプの出題に備える」ということが必要です。このタイプの出題としては,例えば刑訴法では訴因変更の要否と択一的認定の可否を同時に聞いてくるというのがあります。これは司法平成24年・旧司平成19年に出題済みなのですが,両方の解釈論とも適切に処理できた答案は多くありません。また,予備平成26年では捜査法・証拠法の同時処理を求める問題も出ています。これもあまり問題集には載っていないタイプの問題で,意外なほど処理手順を崩されやすい難問です。さらに刑法では,同じく予備平成26年に極端に処理能力を問う多論点型の問題も出ています。これも時間不足に陥りやすい嫌らしい問題です。他方,憲法では司法平成24年では政教分離が,司法平成27年では平等原則の問題がそれぞれ出ています。これもいわゆる人権パターン以外からの出題ということもあり,現場ではかなり混乱したと聞きます。

上記のような嫌らしい出題に対抗するには,皆さんが今まで解いてきた論文問題の中で「これは難しかった」というものをピックアップし,「制限時間を本来より短くして」書き直してみるのが一手です。嫌らしい問題というのは,処理手順を崩されやすく思考がフリーズしやすい場合が多いです。そこで,いつもより制限時間を短くして答案を作成してみてください。そうすることで,知識と処理の瞬発力や粘り強さが身につき,ひいては本試験特有の嫌らしい問題に脳みそがある程度慣れてくれます。

次に余裕があれば「出題予想の有効活用」もしてみましょう。試験日が近づくと各予備校が出題予想の類いを出してきます。この出題予想には学修のメリハリづけができるという効用があると私は考えています。

学修のメリハリづけとは,出題予想分野を深く学んで,他の受験生に差をつけることのできる要素を増やすという意味です。例えば,司法平成30年の刑訴法では,出題予想としてGPS判決が挙げられていました。私は事前にGPS判決を読んで自分なりに解釈論を用意していたのですが,本番では盗聴類型の捜査の適法性が問われたので,確信を持ってGPS判決を踏まえた論述をすることができ,A評価をとることができました。

このように,出題予想分野をよく学んでおくことで差をつけることが可能になります。もちろん,出題予想が外れることも多いので過信は禁物ですが,直前期に集中的に学んだ分野があれば得点に直結する可能性があるのも事実です。特に,直前期は何をすればいいのかパニックになる場合も多いですが,出題予想を上手く使うことでメリハリをつけながら学修することが可能になります。もちろん,出題予想分野以外からも出題されますので,できるだけ穴を作らないように学修してください。


②短答式試験は精読と通読で情報整理

次は短答式試験向けの提案です。短答は司法・予備を問わず足切りに遭う不利益がかなり大きいので,苦手な人向けに守りの提案をしてみようと思います。

短答式試験を苦手とする受験生は一定数いますが,その原因として「問題文を読めていない」「法律知識が1対1対応になりすぎている」というものが考えられます。

「問題文を読めていない」というのは,例えば「正しい選択肢を選べ」と問題文で指示された場合に正しい選択肢ではなく誤ったそれを選んでしまったり,選択肢の文章を雑に読んでしまい選択肢の引っかけに嵌まったりすることをいいます。このケースに陥る原因は色々でしょうが,おそらく問題文・選択肢の文章に慣れていないことが原因と思われます。そこで,過去問の選択肢を今一度初心に戻って,一言一句飛ばさない心づもりでしっかりと読んでみてください。そうすることで,本試験特有の文章に脳みそが慣れると思います。そしてこの場合,正しい内容の選択肢を特にしっかり精読してみてください。この選択肢は,言うなれば「司法試験委員会からの公式インプット素材」です。その選択肢をしっかり精読することで正しい内容が頭に入ると同時に,試験本番でも正しい選択肢に気づきやすくなります。前回のブログ記事でも類似の話をしましたが,短答式試験では「法律で書かれた文章を正確に読む」ことがとても重要です。そのことを強く意識してみてください。

「法律知識が1対1対応になりすぎている」については,具体例を使って説明します。

例として,会社法356条は1項で競業取引・利益相反取引につき重要事実の開示と承認を義務づけています。同時に365条2項は取引後の重要事実の報告義務も定めています。この場合,短答式試験で365条2項の知識の正誤が問われた際,できる受験生であればストレートに365条2項の知識を想起したり,あるいは356条1項の内容からして事後の報告義務もあり得るだろうと推測したりして正解を導くことができます。しかし1対1対応になりすぎている受験生は,そもそも365条2項を全く知らなかったり,356条1項の知識を応用したりすることができずパニックになってしまい,正解を出すことができません。

要するに,過去問から学んだ知識を丸暗記しただけで応用できない・過去問既出事項の周辺知識に全く目を通していない状態を「法律知識が1対1対応になりすぎている」と呼んでいます。

そこで,普段使いのテキストを六法を引きながら通読して,過去問から得た「点」の知識を「線」につなげられるようにしてみましょう。短答式試験が苦手な人ほど「テキストの通読はアウトプットではないから効果が薄い」と考えている傾向があるように見えますが,ある程度アウトプットしたのに点数が伸びないのであれば,それは通読による情報整理ができていないからです。面倒でも,六法とテキストをしっかり通読して情報をきっちり整理しましょう。短答は面倒な作業を乗り越えることで,足切りを安定的に回避することができるようになります。


今回も長くなってしまいましたが,司法試験受験生の皆さんは,短答は確実に足切り回避でいるように・論文はメリハリをつけながら嫌らしい出題に負けないように両面作戦で臨んでください。予備試験受験生の皆さんは,第一関門である短答を突破できるように過去問の充分な習熟とテキストの網羅的な通読で合格可能性を少しでも上げてください。

それでは,受験に向けて頑張る皆さんを応援しております!

 

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