【司法試験】H30合格者ブログ

~EF答案を回避して確実に合格~

 

第9話

刑法EF回避ライン分析



今回から刑事系です。  

 

刑法は受験生の中でも比較的取り組みやすい科目とされている気がします。それだけに皆、刑法では高得点を狙おうとしているように思えます。

刑法のEFライン分析は、まず、このような受験生全体の傾向を知ることから始まります。

 

つまり、刑法において受験生は、「できれば高得点を取りたい(取れるだろう)」と思っているという点をまずは認識することが大切です。

刑法の問題において、絶対にやってはいけないのに、ほとんどの受験生がやりがちな大失敗を教えます。

それは「途中答案」です。

刑法でEF回避を狙うならば、刑法の答案で「途中答案」は許されません。しかし、刑法で「途中答案」になってしまう受験生が後を絶たないのはなぜでしょうか。理由は簡単です。刑法の論文は、ある程度の力があれば、それなりのことを書けてしまうからです。

一方で、2時間という持ち時間では、満足のいく内容を書ききることはできないからです。計画性のない受験生は、やる気がみなぎった状態で試験開始の合図を待ち、試験開始とともに、思いつくままに答案を書きなぐっていきます。初めの方こそ充実した論述がさえわたりますが、気づいたころには残り時間が30分を切っている。それにもかかわらず、答案構成の半分もまだ書けていない。慌てて簡潔な記述に変えるも時すでに遅し、書きたかった・書けるはずだったところの論述が薄く(場合によっては白紙に)なり、最後にはいくつかの典型的な論点の記述を残したままタイムアップ…。このような答案は、ほぼ例外なくEFの評価が付くでしょう。

では、どうすればいいか。

 

簡単です。欲張らなければいいのです。

 

もっと具体的にいいます。

 

規範の理由付けと、事実の評価を「あえて落として」書くのです。

こう言い切ってしまうと、おそらく批判の嵐にさらされると思います。 「理由付けのない規範は説得力がない!」「評価のない事実の羅列には点はほとんど入らない!」…。

 ですが、私は、それは違うと分析しています。 確かに、理由付けのない規範は説得力がありませんし、評価のない事実の羅列にはあまり点数が入らないかもしれません。しかし、理由付けのない規範にも配点はあります。また、評価のない事実の羅列だとしても、「その事実をここに書いている」ということ自体には、やはり点数が付くからです。

 

それよりも、みんなが書いてくる典型的な論点をタイムアップにより書けなかったことによる失点の方がよっぽど大打撃です。これは致命的な失点になります。

結局は、規範の理由付けと事実の評価を落として書くよりも、途中まではしっかりと書かれているものの典型的な論点をいくつも落とした途中答案の方が、相対的に点数が低くなるのです。

私は、このように分析しています。

 

この分析を踏まえてEFを回避する作戦をとるならば、重要なのは典型的論点を書ききって、途中答案にしないということに尽きると思います。

例えば、平成28年の刑法の丁の罪責を検討するならば、以下のようになるでしょうか。

 

第1 丁の罪責  

1 丁がVから本件キャッシュカードの暗証番号を聞き出した行為に2項強盗罪(236条2項)が成立するか。  

(1)まず、「暴行又は脅迫」とは、相手方の犯行を抑圧する程度のものであることを要する。    

本件で、丁は、恐怖で顔を引きつらせているVをにらみつけながら強い口調で「金庫の中にあったキャッシュカードの暗証番号を教えろ。」と言っているから、相手方の犯行を抑圧する程度の「脅迫」があったといえる。  

(2)では、キャッシュカードの暗証番号を聞き出しただけで「財産上不法の利益を得」たといえるか。…

 

筆力のある人は、(1)の「脅迫」のあてはめに物足りなさを感じるはずです。なぜなら、ここの記述の下線部(黒の下線を引いた部分)は、事実を引用しただけで、評価がまるっきり抜けているからです。  

 

ですが、あえていいます。  

EF回避の作戦をとるならば、この記述で十分です。  

評価を考えるのに時間を費やすくらいなら、最後まで書ききることを何よりも優先してください。  

評価や理由付けなどは、最後まで書ききって時間が余ったら、適宜挿入すればいいのです。  

これらは加点事由と割り切ってください。  

 

他方で、「暴行又は脅迫」の定義を書いた部分(二重線の下線部)は、答案において必須の部分です。  

受験歴が長くなってくれば長くなってくるほど、このような基本的な定義や規範を書かなくなります。 しかし、それは大きな勘違いです。  

司法試験は書面審査です。紙に書いてあることがすべてです。  

書いてないことは、わかっていないものとみなされます。  

つまり、どんなに簡単なことでも、必要ならば答案に書いておかなければならないのです。  

 

刑法のEF回避は、上記のことを守れば十分です。  

思っている以上に多くの受験生が時間切れになって力尽きるのが刑法です。  

 

最後に、平成30年刑法のような新傾向に対処する方法を少しだけ示します。  

簡単です。今まで通りに書けばいいです。傾向が変わったからといって、書き方を崩してはダメです。  

書き方を崩すと、必ずどこかにゆがみが生じます。その歪みが、大きなミスにつながります。  

 

次回は刑事訴訟法です! 

 

(次回へ続く!)