【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~インプットの方法(刑訴編その5)~


こんにちは。

 

前回に引き続き刑事訴訟法についての私のインプットの方法です。

 

前回までの記事で書いたとおり,私は,去年1年のインプット学習において,論パタテキストの記載だけでは満足できず,刑訴法でも,判例百選を脇に置きながら論パタを解くという手法を採りました。

 

前回の記事では,細かい判例の知識への拘りについて述べてしまいましたが,もちろん,そういった類の知識が直接合否を決することはまずなく,それゆえそれにのめりこんではいけないということは常に念頭に置いていました。

 

論パタを解いて,答案例等を見てもいまいち分からないところがあったとき,百選の関連判例の解説を見たりして理解しようとするわけですが,それでもよく分からないとなれば,とりあえず本番でその論点が出た場合に書くべき最低限の規範・論証だけ抽出して,それ以上の理論面の理解は諦めるのです。

 

たとえば,私が当時理解を諦めた論点として,違法収集証拠排除法則における違法性の承継があります。  

 

判例は「同一目的・直接利用」という規範を使ったり,「密接関連性」という文言を使ったりで,それぞれどういう場面で使うことが想定されているのか,本当に分かりませんでした(今でもよく分かっていません)。  

 

それでも,上記の「同一目的・直接利用」や「密接関連性」という言葉だけは暗記して,仮に出てしまったら,どちらかの規範を挙げて,とりあえず問題文の事情をあてはめまくろうという心構えでいました。  

 

以下は,私の平成29年刑訴法の再現答案(〔設問1〕下線部①検討部分抜粋)です(ランクはA)。

 

第1 〔設問1〕  

 1 下線部①の捜査   

  (1)掃き出し窓のガラスを割って解錠するというのは、「捜索」の範囲を超えているから、捜索差押許可状の効力によっては許されない。   

  (2)しかし、「必要な処分」(刑事訴訟法(以下略)222条1項本文前段・111条1項)として許されないか。  

 ここで、令状主義の趣旨は、捜査機関の恣意を司法の側面から抑制し、もって国民の権利利益を保護することにある。  

 よって、「必要な処分」とは、①捜索の実効性確保のために必要で、②社会通念上相当といえる処分をいうと解する。  

 ①について、甲は、覚せい剤取締法違反の前科3犯を有する者であり、Aやそれ以外の覚せい剤取締法違反で逮捕された複数の者が、覚せい剤を甲から買った旨供述していた。その上、甲は自宅のあるKマンション周辺の路上で、複数の氏名不詳者に茶封筒を交付し、これと引換えに現金を受領するという行為を繰り返していることが判明している。以上から、Pの考え通り、甲が自宅を拠点に覚せい剤を密売している疑いが強く、覚せい剤密売の全容を解明するためには甲方の捜索差押を実施する必要があるといえる。  

 また、甲が玄関のドアチェーンを掛けたまま郵便配達員に応対しており、甲方の捜索の際、呼び鈴を鳴らしてドアを開けさせることができたとしても、ドアチェーンがかかったままの可能性が高く、その場合、玄関から室内に入るのに時間がかかり、甲らが証拠隠滅を図るおそれが高い。特に、本件のような覚せい剤事犯の場合、トイレに流す等して証拠隠滅が容易であり、それを防ぐ必要性が高い。本件で、結局Pは携行していたクリッパーでドアチェーンを切断して玄関から甲方に入ったということで、わざわざガラスを割らなくても良かったのではないかという反論もあり得るが、甲方には甲とその内妻乙が居住しているほか、丙が頻繁に出入りしているという事前の情報があり、ドアチェーンを切断している間に、甲が中にいる乙丙に呼びかけて、証拠隠滅を図る可能性もあったわけで、それを防ぐためには、玄関以外の場所から甲方の中に入る緊急の必要性があったといえる。よって、①は認められる。  

 ②について、たしかに捜査①は不可逆的な財産権侵害を伴う。しかし、上記の通り、甲らによる証拠隠滅を防ぐためには、玄関以外からの侵入が必要であり、その必要性に応じた制約にとどまる。また、QらがPの合図があるまで甲方ベランダの外にいたことも、相当性を基礎付ける。よって、②も認められる。   

  (3)Pらが甲に捜索差押許可状を示したのは、捜査①の後である。令状の提示が要求されている(222条1項・110条)趣旨は、捜索のなされる範囲を示すことで相手方の防御権に配慮し、捜査機関の恣意を抑制することにある。よって、事前提示が原則である。しかし、事前提示ができない事情がある場合には捜索の着手後直ちに示せば適法であると解する。なぜなら、上記趣旨に反しないからである。  

 本件では、前述の通りの事情があり、Pは甲方に入って、ただちに居間において、甲に捜索差押許可状を示している。よって、この点も問題ない。   

  (4)以上より、適法である。  

 

 下線を引いた箇所が,事前準備済みの論証吐き出し部分ですが,私としてはかなりコンパクトに書けたのではないかと自負しています(「必要な処分」の規範を導く理由付けとして,令状主義を真正面から用いるのには若干違和感がありますが)。  

 

 一昨年の自分なら,論証部分をもっと長々と書いていたかもしれませんが,今回は,しっかりあてはめ部分を充実させることができました。  

 

 もちろん,答練等アウトプット面の鍛錬によるところも大きいとは思いますが,自分の中では必要十分量の事前準備を図ったインプットが功を奏した面も多分にあると思っています。

  

次回に続く!