【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~インプットの方法(労働法その3)~


こんにちは。

 

引き続き,労働法のインプット方法について書いていこうと思います(H28とH29の司法試験労働法のネタバレありです)。    

 

前回で述べたとおり,私は,H28司法試験の労働法の再現答案から,いくつかの判例の勉強が足りていなかったという反省点を見出しました。  

 

とはいっても,百選を通読するなど,がむしゃらに判例学習をするのは得策ではないということは,以前から述べてきたことです(cf.このブログの2018/2/26の記事)。  

 

そこで,私は,労働判例百選の効率的な使い方として,労働法に関する教科書のうち,なるべく薄い本を選んで通読し,その薄い本の中に出てきた百選判例(薄い本なので結構限られます)をチェックするほか,とにかく答練等で演習をして,出題された元ネタ判例をチェックするという方式を採りました。  

 

その中で気を付けたことが二つあります。  

 

一つ目は,メジャーだと思う判例であればあるほど,規範をより正確に覚えるということです。  

 

たとえば,H28司法試験労働法の第2問の設問2では,ノースウエスト航空事件(最判昭和62年7月17日)の判旨を用いるべき箇所があったのですが,その箇所の私の答案は以下のとおりでした。  

 

第2 〔設問2〕  

 (1)賃金請求  

 これが認められるためには、「債権者の責めに帰すべき事由」がなければならない(民法536条2項)。本件において、Y社による平成28年3月15日の休業は、3月8日にX組合が「運転職」の組合員についてのみ行ったストライキ、いわゆる部分ストの際に、運行できなかったバス車両の所属する営業所においてはバス車両の点検・整備をする必要がなくなるという状態になったことにより生じた。そもそも使用者には協約締結の自由が認められることから、原則部分ストによって生じた休業は「債権者の責めに帰すべき事由」がなく、賃金請求権は発生しない。  

 しかし、本件では第1の通り、X組合がストライキを行う原因となったのは、Y社による不当な断交拒否のせいである。そして、それに対して行ったX組合の3月8日及び3月15日の部分ストは、主体はX組合が行い、目的は本件基本給引下げの撤回とこれについての団体交渉の要求、態様において暴力的な行為がとられたという事情もなく、手続としても、X組合は事前にY社に対し通知しているから、正当なものである。とすると、「債権者」Y社「の責めに帰すべき事由」アリといえるから、賃金請求は認められる。

 (2)休業手当請求  

 これが認められるには、「使用者の責に帰すべき事由」がなければならない(労基法26条)。同条の趣旨は、労働契約が労働者の生活保障となっていることに鑑み、その最低生活保障のため民法上の責任よりも広く使用者の責任を認めるものである。よって、(1)が認められる以上、こちらも認められる。  

 

判例の判旨を真似しようとしていることはうかがえると思うのですが,実際の判旨を全然正確に再現できていません。  

 

たしかに,ノースウエスト航空事件の判旨はかなり長いので,それを正確に覚えるのはかなり骨が折れるとは思います(そのままキーワードとして覚えるべき部分,要約して覚えるべき部分とを分ける必要はあるでしょう)。ただ,ノースウエスト航空事件は答練等で何度も出題されたし,私が見た薄い教科書にも載っているほどに有名な判例なので,時間をかけるだけの意味は十分にあったと思います。  

 

あともう一つは,最新判例も見逃せないということです。  

 

H28司法試験は,労働法では東芝うつ病事件(東京高判平成23年2月23日)を元にした出題がされたほか,刑訴法でも最決平成27年5月25日を元にした出題がされるなど,最新判例を意識した出題が多数ありました。  

 

私は,最新判例の勉強のために,別途教材を購入したり,勉強時間を多分に設けたりまではしたくないと思っていましたが,完全に無視するのは怖いと考えていました。  

そこで,ちょうど平成28年に労働判例百選の改訂があったことから,改訂によって新たに掲載されるようになった判例のうち,最近出た最高裁判例をピックアップして,出題されそうなものは完璧に規範を覚えるようにしました。  

この作戦は,最判平成28年2月19日を元にした出題がされたH29司法試験労働法でドンピシャの成功を得ました(ただ,会社分割と労働関係に関する最判平成22年7月12日は,流石に出ないだろうと思っていたので,外してしまいました)。  

以下,私のH29司法試験労働法第1問の再現答案のうち,最判平成28年2月19日の判旨を吐き出した部分です。

 

3 ここで、労働者の同意があれば、不利益変更も認められる(労契9条本文反対解釈)。本件では、X2は本件同意書を提出していることから、形式的な同意は認められる。  

 しかし、本件就業規則の不利益変更は、退職金という労働者の重要な権利について変更するものである上、労働者は使用者の指揮命令下にあり、経済的・交渉力的な格差があることから、その同意が自由な意思に基づくものと認めるに足る合理的な理由が客観的に存在しなければ、同意は無効であると解する。その判断に際しては、不利益の性質・程度、同意する経緯等を考慮する。  

 

H28の時と比べて,かなり判旨を正確に再現できているのではないかと思っています。  

判旨を正確に覚える,最新判例にも気を払うという点に着目した私の勉強スタイルの成果が出ているのではないかと自負しています。  

私のH29司法試験労働法の点数は,60点を超えました。  

労働法は,特に規範の正確性に気を配って,頑張ってください!

 

次回に続く!