【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~憲法論文の勉強方法~


こんにちは。

 

今週からは,憲法の論文の勉強の仕方について書いていきたいと思います。  

 

憲法については,①出題形式が独特なこと②覚えるべきと思われる判例の論証が長すぎて,他の科目のように「頻出論点・それに対応する規範・一定のあてはめの仕方」を覚えるという定型的手法が採りづらいこと③市販本のうち司法試験に直結するものとしてどれがよいのか定説がない(ように思われる)こと等から,多くの方が対策に苦労されるのではないかと思います。  

 

極端な方だと,憲法は国語力が問われているにすぎない,どうせ対策しても意味がないなどと言って,答練等以外で憲法の論文対策を一切しないということもあるかもしれません。  

 

実際僕は平成28年まではそうで,その結果平成26年の予備試験論文ではF,平成27年の予備試験論文ではE(とはいってもこの年は統治の問題ですが),平成28年の司法試験論文ではEと,悪い評価しか取っていませんでした。  

 

平成28年司法試験に落ちて初めて,憲法でも良い評価を取らなければいけないと思うようになり,憲法の論文対策に本腰を入れました(平成29年司法試験に向けては,ただ合格するだけではなく,上位で合格したいという気持ちが一層強くなっていたので,一科目でも弱点があると良くないという意識になっていたのです)。  

 

対策の結果,平成29年の司法試験論文ではA評価を取れたので,私の勉強方法はそう間違っていなかったのではないかと自負しています。  

 

もちろん,今年の司法試験では大きく出題形式が変化したので,以後私が書く勉強方法の有用性も半減しているかもしれませんので,その点差っ引いて読んでいただけると幸いです。  

 

まず私がやったことは,いつもどおり,再現答案を用いた敗因分析です。  

 

私の平成28年度司法試験の憲法論文の再現答案を以下にお示しします。  

 

次の記事からこれを用いて反省点及びその克服方法を見つけていった過程を書かせて頂こうと思いますので,ぜひ読んで,皆さんにもこの答案の悪いところを探していただければと思います。

 

第1 〔設問1〕  

 1 性犯罪者継続監視法(以下、法令名省略)における継続監視の仕組みは、Aの現在地を常に把握されず、前科等の情報を公開されない自由(自由1)を侵害し、憲法13条後段に反する。

 (1)自由1は人格的生存に必要な、みだりに私生活を公開されない自由たるプライバシー権として、憲法13条後段によって保障される。

 (2)継続監視決定がなされると、監視対象者の体内に埋設されたGPSから送信される位置情報を警察において継続的に取得して監視対象者の現在地が把握され、警察署の大型モニターにはその現在地が表示されるとともに、同人の前科等の参考情報が表示される。さらに、GPSの埋設を拒否したりすると刑罰まで科されることから、自由1は制約されているといえる。  

 (3)では、上記制約は正当化されるか。

 自由1は人格的生存に必要な重要な利益である。また、自由1は精神的自由に属するところ、精神的自由は経済的自由に比べて一度傷つけられると民主性の過程によって回復することが困難であり、専門的技術的判断の余地が少ないことから裁判所の審査能力も十分であることから、厳格な審査基準が妥当する。よって、厳格な基準、すなわち(a)目的が必要不可欠で、(b)手段が目的を達成するのに必要最小限度といえる場合にのみ合憲と解する。     

  ア (a)について、目的は性犯罪の再発の防止を図り、もって対象者の社会復帰を促進するとともに、地域社会の安全の確保を推進することである。これは、対象者の利益にもなることであるから、目的自体は必要不可欠といえなくもない。     

  イ (b)について、手段は必要最小限度ではない。なぜなら、警察署内といえど、わざわざ大型モニターという、多数の目に付くような方法で常に現在地等の情報を公開する必要はなく、各警察官がデータが集積されたサーバーにアクセスすることでその情報を取得するという方法を採ってもよいはずである。その場合でも、対象者が前科付きであることは継続監視されている時点で当然の前提なのであるから、わざわざ敢えて前科等を表示する必要はない。そして、最長20年にもわたって継続監視がなされうるというのは長すぎる(14条)。さらに、GPSの埋設方法としても、体内に埋め込むという形をとるのは問題である。いかなる健康上・生活上の不利益も生じないといっても、体内に埋め込む以上、どのような異常が生じるかは分からないし、仮にそのような健康上の不利益はなくとも、そのような機械が体内に埋め込まれているというだけで屈辱的であり、精神面の問題がある。以上より、違憲である。  

 2 警告・禁止命令の仕組みは、Aの特定の区域に立ち入る自由(以下、自由2)を侵害し、憲法21条1項に反する。   

 (1)自由2は、移転の自由として憲法21条1項によって保障される。   

 (2)禁止命令に反して特定の区域に立ち入ると刑罰まで科される(31条3号)ことから、自由2は制約されている。   

 (3)上記制約は正当化されないか。  

 移転の自由は、本来は様々な場所を移動して経済活動を行うことを目的とした経済的自由に属するものであるが、本問においては人身の自由の側面が強いし、立ち入りが禁止される特定の区域内に自己の人格的成長の手助けとなるような施設があれば、精神的自由に対する制約という側面も含まれることになる。以上より、厳格な基準、すなわち1と同様に解する。     

  ア (a)については、1と同様である。     

  イ (b)について、必要最小限度とはいえない。なぜなら、禁止命令の前段階となる警告は、警察本部長という行政権の担い手が発するわけで(23条1項)、恣意が介在する余地が大きい。さらに、その警察本部長が警告を発する際の判断要素となる、「監視対象者が一般的危険区域に立ち入った際の行動」における一般的危険区域とは、都道府県知事が3条の規定に従い指定するものであるところ、その例として、「幼児を保育する施設又は学校」(3条1号)はまだ分かるものの、「それらの周辺道路」(同号)や「公園又は山林及びそれらの周辺道路」(同2号)などは、性犯罪に関係なく日常的に使いうるものであって、それらへの立ち入りまでもが警告や禁止命令につながりうるとなると、対象者が萎縮してしまい、対象者の行動を著しく制限することになる。以上より、違憲である。  

 3 強姦や強制わいせつの犯罪に限って継続監視を行うことは、憲法14条1項に反する。  

 (1)同条項は平等原則を定めており、合理的な理由のある差別は許容する相対的平等を意味する。  

 (2)政府の統計によれば、強姦や強制わいせつの再犯率は他の犯罪類型に比べて特に高いものではないため、合理的な理由がないから、許されない。

第2 〔設問2〕  

 1(1)第1の1の(1)(2)については同様である。   

  (2)同(3)について、まず検察官による反論として、対立利益として、対象者の現在地等が分かれば、国民の知る権利(21条1項)に資するという反論が考えられる。ただし、本問において情報が公開されるのは警察署内の大型モニターにおいてであり、一般公開はされないから、この反論は当たらない。よって、審査基準は第1と同様に考える。     

  ア 目的については第1と同様である。     

  イ 手段について、まず継続監視の決定は、裁判所という公平中立な機関が行うものである。さらに、被申立人は弁護士を付添人に選任することができたり(12条)、被申立人及び付添人には意見を言う機会が設けられていたり(13条)、不服申し立ての手段も設けられていたり(15条)して、手続的に不利益を緩和する規定が置かれている。  また、GPSを体内に埋設することについては、外部に取り付けると、監視対象者に対する社会的差別を引き起こしかねないという、対象者の不利益にも配慮した結果である。そして、いかなる健康上・生活上の不利益も生じず、手術こんも外部から認識できない程度に治癒し、継続監視の期間が終了した後に当該装置を取り外す際も同様であるとの医学的知見が得られているから、外部に取り付けるよりもこちらの方が対象者の不利益に配慮できている。よって合憲である。  

 2(1)第1の2の(1)(2)(3)アまでは同様である。    

  (2)手段について、警察本部長が警告を行った段階では、まだ刑罰は科されない。また、公安委員会によって禁止命令が出される場合には聴聞を行わなければならず(24条2項)、対象者に対し手続的配慮がなされている。よって合憲である。  

 3 第1の3に対し、確かに、強姦や強制わいせつの再犯率は、他の犯罪類型に比べて特に高いものではないが、本法律は、性犯罪を行った者全てを対象とするものではなく、心理的、生理的、病理的要因等により特定の性的衝動に対する抑制が適正に機能しにくい者が存在し、そのような者が再び同様の性犯罪に及ぶリスクの高さは、専門家によって判定することができ、それについては科学的見地から根拠がある。 また、本法律は被害者のある強姦や強制わいせつのみを対象とし、公然わいせつ等は対象としていない。 よって合理的差別といえ、14条1項には反しない。

以上

 

次回に続く!