【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~行政法のインプット(その1)~


こんにちは。

 

予備試験論文を受験された方、本当にお疲れ様でした!

色々思うことはあるかもしれませんが、とりあえずは休むことが一番大事です。

学校・仕事がある方はそうも言っていられないかもしれませんが、せめて司法試験予備試験の勉強からは一旦距離を置いて、精神の休息を取られるべきだと思います。

論文合格発表前までの口述対策は、した方が良いとは思いますが、今すぐ始める必要まではないと思います。

 

今回からは、行政法のインプットの方法をお伝えしたいと思います。

 

私の平成28年度司法試験論文行政法(ランクはEでした)の最も大きい反省点は、設問4が完全な白紙になったこと(そうなるほど設問ごとの論述量・時間の配分を間違えたこと)であるということが、以下の再現答案を見ていただくとすぐお分かりになると思います。 しかし、私はこの答案を使って敗因分析している際に、インプット面での気にすべき反省点を見つけました。 どこがそれに当たるのか、皆さんにも探していただけると幸いです。

 

第1 〔設問1〕  

 1 取消訴訟(行政事件訴訟法(以下、法令名省略)3条2項)における原告適格は、「法律上の利益を有する者」(9条1項)に認められる。そして、その文言と抗告訴訟が国民の具体的権利義務の存否を扱う訴訟であることから、自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者と解し、これには、当該処分の根拠法規が、不特定多数の具体的利益を専ら一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益として保護する趣旨を含む場合のその利益も含まれる。そして、その趣旨を含むか否かの判断基準は、9条2項に列挙されている。

 2(1)まず、本件例外許可の根拠法規は、建築基準法(以下、K法)48条1項但書である。その文言を見ると、「第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれ」といった文言が使われ、当該地域に住む者の環境に配慮する姿勢が垣間見える。

  (2)例外許可の裏返しとして原則を定める48条1項本文は、別表第二(い)に挙げるもの以外の当該地域内での建築制限について定めており、別表第二(い)第10号は「政令で定めるものを除く」として、K法施行令で定めるものについて建築制限を課している。そして施行令130条の5では建築物に付属する自動車車庫について定めており、自動車車庫によって少なくとも何らかの不利益が生じることを法が予定していると言える。   

  (3)また都市計画法(以下、T法)9条では、第一種低層住居専用地域を、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域として、特に当該地域の良好な居住環境を保護する趣旨が読み取れる。   

  (4)さらに、法令ではないものの、48条1項但書を受けて定められた本件要綱においては、公聴会の案内書の送付先として、50mの範囲の土地又は建物の所有者と定めており、それらの者の利益を個別的利益として保護しているように読める。また、別紙においては騒音の種類としてエンジン音とドアの開け閉めの音を区別しておらず、一律に騒音被害から周辺住民を保護する趣旨であるように読める。しかし、これは敷地内の壁等を作るよう定めたにすぎない。   

  (5)以上からすると、本件自動車車庫に隣接し、本件自動車車庫から直線距離で約6メートル離れた位置の建物に居住し、本件自動車車庫に出入りする多数の自動車のエンジン音、ドアの開閉音などの騒音、ライトグレア及び排気ガスにより居住環境が悪化し、交通事故が多発するおそれがあることが明白なX1らの個別的利益は保護されているといえる。本件敷地から45メートル離れた位置で、かつ、幹線道路から本件自動車車庫に通ずる道路沿いの建物に居住するX2らの個別的利益は保護されていない。  

 3 よってX1らには認められるが、X2らには認められない。

第2 〔設問2〕  

 1 手続的違法事由  

 本件例外許可の根拠法規たるK法48条1項但書の適用に当たっては、同条14項も適用されるため、建築審査会の同意を得なければならず、その同意に当たっては、82条が適用される結果、自己又は3親等以内の親族の利害に関係のある委員は議事に加わることはできない。この趣旨は、建築審査会において取り扱う事項は、広く一般的公益に関するものであって、その審議をする中に利害関係人が存在すれば、たとえ議決には加わらなくとも、審議を自己に有利なように導くなどして議決の結果が左右され、もって一般的公益が害されるおそれがあるから、議事自体から利害関係人を排除しようというものである。  本問において、委員BはAの実弟であるから「3親等以内の親族」といえる。また、Y1市建築審査会は、Bを除外してもなお議決の成立に必要な過半数の委員の賛成があるという反論をしているが、たとえそのような事情があっても、Bが議事の場にいて、周りの委員に対して賛成票を投ずるよう明示的・黙示的な影響を与えた可能性がぬぐえない以上、上記趣旨に反して、違法である。  よって、取消事由となる。  

 2 実体的違法事由

 K法48条1項但書の文言を見ると、「おそれがないと認め」や「公益上やむを得ないと認めて」など、特定行政庁の裁量を認めるような文言となっている。また、その判断においては、良好な住居の環境など、専門的技術的判断が必要となる。よって、同条項は広く裁量を認める趣旨である。とすると、それを受けて定められた本件要綱は、裁量基準、その中でも申請に対する処分についての基準であるから、審査基準(行手法5条)である。  

 ここで、審査基準には法的拘束力はないが、平等原則から、行政は審査基準が合理的である限りその基準に従って判断しなければならず、そうすれば原則その判断は違法とはならないが、審査基準に従った判断が不合理となる特段の事情がある場合には、例外を認めるべきである。  

 本問においては、自動車の騒音・ライトグレア・排気ガス等によりX1らの居住環境が悪化するということが、合理的な基準たる要綱の別紙第1の許可方針における、「住居の環境を害するおそれがない」に反するにもかかわらず、本件例外許可を出しているのは、基準通りの判断がなされていないということで、違法事由に当たる。  

 よって、取消事由となる。

第3 〔設問3〕  

 1 本件例外許可も本件確認も行政行為である。行政行為については、取消訴訟で取り消されるまでは有効と取り扱われるという取消訴訟の排他的管轄が通用するため、違法性の承継は認められないのが原則である。  

 2 しかし、それでは国民の権利保護に欠けるため、①先行行為と後行行為が密接に関連し(実体的基準)②先行行為を取消訴訟において取消すことを期待することが不合理といえる場合(手続的基準)には、違法性の承継を認める。  

 3(1)①について、Aの説明によると、本件スーパー銭湯は、広範囲の地域から顧客が自動車で来店することを予定しているから、本件スーパー銭湯だけ建てられても、その本来の営業目的を達成することは不可能である。また、K法施行令130条の5第1号は「同一敷地内にある建築物に付随する自動車車庫」として、建築物と自動車車庫を一体的に考えている。とすると、自動車車庫についてなされた本件例外許可とスーパー銭湯についてなされた本件確認は密接に関連しているといえる。   

  (2)②について、本件においてXらはたまたま本件例外許可がされたことを知ったが、本来例外許可については、申請者以外の者に通知することは予定されていないのであるから、普通、Xらが本件例外許可がされたことを知るには、本件確認がなされて、実際に建築が行われるという目に見える形で変動が起きる必要がある。よって、本件確認がなされるまで、Xらに本件例外許可の取消訴訟の提起を期待するのは不合理である。  

 4 以上より、違法性の承継が認められ、違法事由を主張することができる。

 

次回に続く!