【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~再現答案を使った勉強(民法)~


こんにちは。

 

 今週からは,先週言ったとおり,辛うじて残っていた平成27年度の予備論文の再現答案を使って,当時私がどのような勉強をしていたかを説明していきたいと思います。  

 

まずは民法です。評価はDでした。  

 

自分としては,終わった直後はまあまあできたつもりでしたが,それに見合う評価は得られませんでした。

 

第1 〔設問1〕

 1 FのBに対する請求は所有権に基づく返還請求(202条1項,200条1項)と構成できる。同条項の文言より,上記請求が認められるための実体法上の要件は,①原告所有②被告占有③②の占有が不当なものであること,である。

 ⑴ ①について

 原告たるFにおいて,甲建物の所有権は全部認められるか,それとも3分の2のっ持分権が認められるにとどまるか問題となる。

  ア まず,元々甲建物はA所有であり,平成26年4月20日,Bとの間で本件贈与契約(549条)が結ばれたことにより,その所有権はBに移転したが,それは「第三者」に対抗されうる不完全なものである(177条反対解釈)。

  イ その後Aが同年6月25日に死亡したことにより(882条),その子であるC,D,EがAの地位を包括承継し,その相続分はそれぞれ等しく3分の1ずつである(896条本文,900条4号)。甲建物の不完全な所有権も,C,D,Eが3分の1の持分権としてそれぞれ取得し,共有となる(898条)。

  ウ さらにその後C及びDが平成26年10月12日,Fとの間で本件売買契約を結び,甲建物をFに代金2000万円で売り渡した(555条)。よってFはC,Dが有する3分の2の持分権の範囲で,不完全ながらも甲建物の所有権を取得するが,Eの有する3分の1の部分については他人物売買(560条)となるから,所有権は移転しないのが原則である。

  (ア) しかし,94条2項の類推適用によって例外的に所有権が移転することにならないか

  (イ) 同条項の趣旨は権利外観法理であるから,①外観②信頼③帰責性があれば類推の基礎ありとして類推適用されると解する。

  (ウ) C及びDは,本件売買契約を締結する際Fに対し,C,D及びEの間では甲建物をC及びDが取得することで協議が成立していると説明し,その旨を確認するE名義の書面を提示するなどしている。上記協議は遺産分割協議(909条本文)として甲建物の所有権がEを除いてC,Dに承継取得されるという効果を生じさせるものであるから,その旨の書面の提示により①は満たされる。また,FはBとの交渉を進めるうちに,本件贈与契約が締結されたことや,上記協議がされていなかったことを知るに至ったということで,本件売買契約の際にはそれらについて善意であったと思われるから,②も満たされる。しかし,Eは上記の話を全く聞いておらず,上記書面もC及びDが偽造したものであるから,③は満たされない。

  (エ) よって94条2項は類推されない。

 エ 以上より原告たるFにおいて取得するのは3分の2の持分権にとどまり,さらにそれは登記なきかぎり「第三者」に対抗されうる不完全なものである(177条)。

  (ア) 「第三者」の意義が問題となるも,同条項の趣旨が不動産の取引安全であることから,「第三者」とは登記欠缺を主張する正当な利益を有する者のことと解する。本件においてBとFはA及びC,D,Eを起点に二重譲渡の関係にあるから,互いに「第三者」である。よってFの上記持分権は登記を具備しない限りBに対抗されうる。

  (イ) 本件では,平成26年10月末までに,C及びDは甲建物について相続を原因として,C,D,Eが各自3分の1の持分を有する旨の登記をした上で,C及びDの各持分について,それぞれFへの移転の登記をしているので,Fは甲建物の3分の2の持分権については確定的に取得していることになる。

⑵ ②について

 Bは,甲建物において現在も伝統工芸品の製作を行っており,甲建物を占有しているから,②は満たされる。

⑶ ③について

 ア 前記の通り,Bは一旦甲建物の所有権を不完全ながらも取得し,その内3分の1の持分について,平成27年2月12日にEからBへ移転登記がなされているから,3分の1の持分権の範囲で確定的に取得し,これは「第三者」Fに対し対抗できる。とするとBとFはそれぞれ3分の1,3分の2の割合で,甲建物について「共有」(第二編第三章第三節)状態にあることになる。

 イ ゆえに「共有者」Bは「共有物」たる甲建物の全部についてその持分に応じた使用をすることができる(249条)ため,③は満たさない。

2 以上よりFの請求は認められない。

 

第2 〔設問2〕

1 上記のBの甲建物の占有権限は,その持分に応じた範囲でしか認められないから,BはFから,甲建物の賃料相当額の3分の2の額について不当利得返還請求(703条)を受けうり,それが甲建物の全部については所有権移転登記がされていないことによって受けた損害となる。

2 BのEに対する請求は,履行遅滞に基づく損害賠償請求権(415条前段)と構成できる。

 ⑴ AB間で本件贈与契約が結ばれており,Aはそれに基づき甲建物の所有権移転登記手続債務を負い,その履行期は平成26年7月18日であった。Aの地位を3分の1の範囲で包括承継したEは,甲建物の3分の1の持分権の範囲で分割して上記債務を負うにもかかわらず,EからBへの移転の登記が実際になされたのは,平成27年2月12日であり,上記履行期を過ぎている。よって「債務者」Eが「その債務の本旨に従った履行をしないとき」といえる。

 ⑵ 「損害」は上記の通りである。

 ⑶ Eが仮に履行期に,しっかり上記債務を履行していれば,平成26年10月12日にC,D及びF間で本件売買契約が結ばれる際,FがBの登記を見て不審に思い契約を結ばなかったであろうから,因果関係も認められる(「これによって」)。

 ⑷ 同条項においては債務者の帰責事由も要件となるところ,Eは当初本件贈与契約の存在を知らなかったし,履行期から本件売買契約の締結までに3ヶ月しかなく,その間に履行を要求するのは酷といえる。また,遺産分割協議が未了ゆえ,Eが自己の持分の登記をなさなかったのは自然である。以上より,Eには帰責事由はない。

3 よってBの請求は認められない。

以上

次回に続く!