【司法試験】

H29司法試験145位合格者日誌

~再現答案を使った勉強(民訴法)~


こんにちは。

 

今週は,平成27年度の予備論文の民事訴訟法の再現答案を載せたいと思います。  

 

評価はAでした。  

 

当時の私の論文式試験の問題の解き方は,まず問題冊子をパラパラとめくって,各科目どんな問題が出ているかを雰囲気だけでも把握し,その後,時間をかけて書くべきだと考えた科目から改めて問題文をじっくり読んで答案を書き出すというものでした。  

 

私は,今でも覚えていますが,この年の論文の民事系科目の試験時間では,民法,商法,民事訴訟法の順に答案を書きました。  

 

そして,商法の答案を書き終わった時点で,試験時間はあと45分程度しか残っていませんでした。試験時間は3時間30分なので,理想としては,各科目1時間10分ずつ割り振ってその枠内で処理すべきです。そう考えると,その時の私には,民事訴訟法の答案を書くのに理想の半分ちょっとの時間しか残されていなかったわけです。  

 

幸運なことに,この年の民事訴訟法の問題文は非常に短かったので,試験開始直後の流し読みである程度解答の方向性は立てられていたので,書き始めるのにそこまで多くの時間は要しませんでした。  

 

ただ,あまりに時間がなく,終わった直後はもっと書けたことがあったのではないかとかなり不安になりました。実際,答案の量は2ページと少ない方でした。  

 

しかし,蓋を開けてみると,思わぬ高い評価がもらえました。  

 

後から考えてみると,時間がなかったからこそ,要点を絞った答案を書けたということなのかもしれません。

 

第1 〔設問1〕

 1 判例の考え方の理論的な理由 訴訟物は実体法の観点から定まるとするのが原則である。そしてこれを貫けば財産的損害は民法709条を根拠に,精神的損害は民法710条を根拠に認められるから,訴訟物は二つということになる。 しかし,両者は同一の事件,本問でいえば交通事故によって生じているから,訴訟物は一つである。

 2 利点 民事訴訟においては,その取り扱う私法関係に通用する,当事者の意思尊重を内容とする私的自治の原則の訴訟法上の反映として,審判対象の確定や訴訟の開始・終了を当事者の権能とする処分権主義が妥当する。民訴法246条における「当事者が申し立ててい」る事項とは訴訟物のことであり,裁判所は訴訟物を超えて判決をすることができない。

 とすると,本件事例で言えば,訴訟物を一つとすると,その額は1000万円となるが,訴訟物を二つとすると,その額はそれぞれ700万円と300万円となる。ここで,たとえば,裁判所が財産的損害の額については600万円,精神的損害の額については400万円の心証を抱いたとしても,前者は600万円とできるが,後者については300万円としかできないため,合計額は900万円となる。元々合計額は同じ1000万円であったのに,財産的損害と精神的損害の内訳の仕方によって全部認容判決が得られないというのは,被害者にとって酷であり,当事者の意思尊重のための制度によって,当事者とりわけ原告たる被害者が損をするというのはおかしい。

 訴訟物を一つと解せば,内訳については裁判所は自由に決められるので,先ほどの仮定の話を持ち出してみても,財産的損害については600万円,精神的損害については400万円と認定でき,合計額を1000万円とできる。 以上の意味で利点がある。

第2 〔設問2〕

 1 一部請求は処分権主義により当然許される。ただし,原告が一部請求であることを明示しなければ,被告は残額請求があることを認識できず,残額についての不存在確認の反訴を提起することができないので,被告の応訴の煩を避けるため,明示された場合にのみ,一部にだけ既判力(114条1項)が及ぶ。

 2 また実務においては,一部請求に対して過失相殺や弁済の抗弁などが主張されそれが認められた場合,当事者の合理的意思解釈から,まず残部部分について充当し,それでも残った場合にのみ一部部分から減額されるという運用がなされている(外側説)。とすると本問において弁護士Aがしたように,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考えて,3割減額した700万の明示の一部請求をしても,想定通り3割の過失相殺が認められても残部部分にまず充当され700万円部分はそのまま認められることになり,1000万円の全額請求をして3割の過失相殺が認められた場合と比べて,出される判決に変わりはなく,不利益がない。

 3 さらに裁判所に提出する訴状には印紙を貼付しなければならないところ,印紙代は訴額(8条)に応じて定められており,一部請求とした方が印紙代が安く済む。