【司法書士】
民事信託(家族信託)について⑧


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

 北の国からは,初雪の便りが届く季節となりました。今年も残り1か月を切りました。今さらながら,時の流れは早いことを感ぜずにはいられません。年明けの答練に照準を絞りながら,年内に苦手分野を克服してしまいましょう。
さて,今回も,信託について,不動産登記法との関連を意識しながら,初歩的な用語や内容を確認しつつ,具体例を挙げながら述べて参ります。

Ⅰ 総論
1.「信託」とは?
⑴ 「信託」の意味
⑵ 信託制度の仕組み等
⑶ 信託財産の公示と対抗要件等
(以上,①参照)
2.信託の当事者
⑴ 委託者
⑵ 受託者
⑶ 受益者
(以上,②参照)
⑷ 信託管理人
⑸ 信託監督人
⑹ 受益者代理人
(以上,前回③参照)
3.信託の成立
⑴ 信託行為とは?
⑵ 信託の方法
⑶ 契約信託
(以上,前回④参照)
⑷ 遺言信託(以上,前回⑤参照)
⑸ 自己信託(以上,前回⑥参照)
4.信託の開始
⑴ 受託者が信託財産を処分して建物を新築した場合
(以上,前回⑦参照)
⑵ 受託者が信託財産を処分して土地を購入した場合(以上,今回)


⑵ 受託者が信託財産を処分して土地を購入した場合
① 所有権移転および信託財産の処分の登記
 受託者が委託者との間で,信託財産である金銭を元手に,賃貸用不動産(土地のほか,共同住宅,貸店舗,駐車場)を購入した上で,当該不動産を賃貸し,その賃料等を受益者に交付する内容の信託契約を締結する場合があります。この場合において,購入された賃貸用不動産は信託財産である金銭が形を代えたものに過ぎず,当該賃貸用不動産は当然に信託財産に属することになります(信託財産の物上代位性,信託法16条1号)。したがって,受託者を登記名義人とする所有権移転の登記とともに信託財産の処分による信託の登記を同時に申請しなければなりません(不動産登記法98条1項,不動産登記令5条2項)。
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<登記原因証明情報~受託者が信託財産を処分して土地・建物を購入した場合>

登記原因証明情報
1 登記申請情報の要項
⑴ 登記の目的 所有権移転及び信託財産の処分による信託
⑵ 原因 平成○年○月○日売買
⑶ 当事者
  登記権利者兼信託登記申請人 ○区○町○丁目○番○号 B
  登記義務者 ○区○町○丁目○番○号 X
⑷ 不動産の表示 後記のとおり
⑸ 信託目録に記録すべき情報 後記のとおり
2 登記の原因となる事実又は法律行為
⑴ 信託契約の締結
 委託者A(以下,「A」という。)と受託者B(以下,「B」という。)は,平成○年○月○日,後記信託目録に記録すべき情報のとおり,受益者Aのために,金銭の管理,運用又は処分を目的とする信託契約を締結した。
 当該信託契約には,Aの指図により信託財産である金銭を処分して賃貸用不動産の購入をすることができ,これにより取得した不動産は信託財産とする旨の条項がある。
⑵ 本件不動産の所有権移転と信託財産への帰属
① 上記信託契約に基づき,Aの指図により,受託者Bは,平成○年○月○日,Xと本件不動産の売買契約を締結した。
② ①の売買契約には,売買代金の全額の支払いと同時に本件不動産の所有権が移転する旨の特約がある。
③ 平成○年○月○日受託者Bは,Xに信託財産である金銭をもって売買代金の全額を支払い,Xはこれを受領した。
④ よって,本件不動産の所有権は,同日売買を原因としてXから受託者Bに移転し,同時に本件不動産は信託財産となった。
平成○年○月○日 東京法務局 ○○ 出張所 御中
上記の登記原因のとおり相違ありません。
 登記義務者 ○区○町○丁目○番○号 X ㊞
 登記権利者
 (受託者) ○区○町○丁目○番○号 B ㊞

不動産の表示
 所  在  ○区○○町○丁目
 地  番  ○番○
 地  目  宅地
 地  積  80.27㎡

 所  在  ○区○○町○丁目○番地○
 家屋番号  ○番○
 種  類  共同住宅
 構  造  鉄筋コンクリート造 陸屋根 2階建
 床面積  1階 60.35㎡ 2階 60.35㎡

信託目録に記録すべき情報
1.委託者に関する事項 ○区○町○丁目○番○号 A
2.受託者に関する事項 ○区○町○丁目○番○号 B
3.受益者に関する事項等 受益者 ○区○町○丁目○番○号 A
4.信託条項
⑴ 信託の目的
 本信託の目的は,受託者が,受益者のために信託財産である金銭の管理,運用及び処分をすること。
⑵ 信託財産の管理方法
 受託者は,受益者の指図に従い,信託財産である金銭の管理,運用及び処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を行う権限を有する。
 また,当該信託契約には,委託者の指図により信託財産である金銭を処分して賃貸用不動産の購入をすることができる。
⑶ 信託の終了の事由
本信託は,次の各号のいずれかに該当したときは終了する。
① 信託期間が満了したとき。
 本契約は平成○年○月○日から平成○年○月○日までとする。ただし,受益者から信託終了日の3か月前までに信託期間延長の申し入れがあり,受託者がこれを承諾したときには,信託期間は延長される。
② 信託不動産をすべて売却したとき。
⑷ その他の信託の条項
① 受益権は,これを分割することができない。
② 受益者は,受託者の事前の承諾を得なければ,受益権を譲渡または質入れをすることができない。
③ 受託者は,受益者の同意を得たときに辞任をすることができる。ただし,受益者の同意は書面によらなければならない。
 なお,この受託者辞任の効力は,新受託者が就任することで生じる。
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<登記申請書~信託による所有権移転及び信託の登記>

登 記 申 請 書

登記の目的  所有権保存及び信託財産の処分による信託(注1)
原   因  平成○年○月○日売買
権利者兼信託登記申請人  ○区○○町○丁目○番○号
             B
義 務 者  ○区○○町○丁目○番○号
        X
添付書面  登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報
        代理権限証明情報 信託目録に記録すべき情報
送付の方法により登記識別情報通知書及び還付した原本の交付を希望します。
送付先の区分→資格者代理人の事務所
平成○年○月○日申請 ○○法務局○○出張所
代 理 人  ○区○○町○丁目○番○号
        司法書士 法務律子 ㊞
       連絡先電話番号 03-3456-7890
課税価格  金1000万円
登録免許税  金24万円
         移転分 金20万円(注2)
         信託分 金4万円(注2)
不動産の表示

 所  在  ○区○○町○丁目
 地  番  ○番○
 地  目  宅地
 地  積  80.27㎡

 所  在  ○区○○町○丁目○番地○
 家屋番号  ○番○
 種  類  共同住宅
 構  造  鉄筋コンクリート造 陸屋根 2階建
 床面積  1階 60.35㎡ 2階 60.35㎡
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(注1)受託者が信託財産である金銭を元手に土地及び建物を購入した場合には,登記の目的は,「所有権移転及び信託財産の処分による信託」と記載します。これに対して,委託者名義の土地及び建物を信託財産として,受託者名義に所有権移転登記を申請する場合には,登記の目的は,「所有権移転及び信託」と記載します。
(注2)所有権移転分として,課税価格(不動産価格)の1000分の20となります(登録免許税法別表第1.1.⑵ハ)。登録免許税法第7条第1項第1号(非課税)の適用はありません。また,信託分として,課税価格(不動産の価格)の1000分の4です(登税別表第1.1⑽イ)。
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<建物の登記記録例(一部省略)>
【甲区】(所有権に関する事項)

【順位番号】【登記の目的】【受付年月日・受付番号】【権利者その他の事項】
   1   所有権保存  平成○年○月○日    所有者 ○区○町○丁目○番○号
             受付第○○○号         X
   2    所有権移転   平成○年○月○日     原因 平成○年○月○日売買(注1)
                 受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                  B  (注2)
       信託財産の   余白              信託目録第○○号
      処分による
      信託
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(注1)原因は,「信託」ではなく,「売買」となります(登記記録例529)。
(注2)Bは,「受託者」ではなく,「所有者」と登記されます(登記記録例529)。
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<信託目録の内容(一部省略)>
【信託目録】                       【調整】平成○年○月○日
【番号】  【受付年月日・受付番号】         【予備】
第○号   平成○年○月○日第○○○号
1.委託者に関する事項
○区○○町○丁目○番○号
  A
2.受託者に関する事項
○区○○町○丁目○番○号
  B
3.受益者に関する事項等
受益者 ○区○○町○丁目○番○号
      A
4.信託条項
⑴ 信託の目的
 本信託の目的は,受託者が,受益者のために信託財産である金銭の管理,運用及び処分をすること。
⑵ 信託財産の管理方法
 受託者は,受益者の指図に従い,信託財産である金銭の管理,運用及び処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を行う権限を有する。  また,当該信託契約には,委託者の指図により信託財産である金銭を処分して賃貸用不動産の購入をすることができる。
⑶ 信託の終了の事由
 本信託は,次の各号のいずれかに該当したときは終了する。
 ① 信託期間が満了したとき。
  本契約は平成○年○月○日から平成○年○月○日までとする。ただし,受益者から信託終了日の3か月前までに信託期間延長の申し入れがあり,受託者がこれを承諾したときには,信託期間は延長される。
 ② 信託不動産をすべて売却したとき。
⑷ その他の信託の条項
 ① 受益権は,これを分割することができない。
 ② 受益者は,受託者の事前の承諾を得なければ,受益権を譲渡または質入れをすることができない。
 ③ 受託者は,受益者の同意を得たときに辞任をすることができる。ただし,受益者の同意は書面によらなければならない。
 なお,この受託者辞任の効力は,新受託者が就任することで生じる。
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② 所有権移転および信託財産の原状回復による信託
受託者がその任務を怠ったことによって,信託財産に変更が生じた場合に該当するに至ったときは,受益者は,当該受託者に対し,原状の回復を請求することができます(信託法40条1項2号)。例えば,受託者Bが信託財産である土地および建物を第三者Yに売却した場合に,これをYから買い戻す場合などがこれに該当します。
そして,原状回復により受託者が再取得した不動産は信託財産となります。
 この場合,受託者は,第三者と共同して,自己を登記権利者,第三者(売主)を登記義務者とする所有権移転の登記と信託財産の原状回復による信託の登記を同時に申請しなければなりません(不動産登記法98条1項,不動産登記令5条2項)。この場合,信託の登記は受託者の単独申請ですが(不動産登記法98条2項),所有権移転の登記は,第三者(売主)を登記義務者とし,受託者を登記権利者とする共同申請となります。
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<登記申請書~信託による所有権移転及び信託の登記>

登 記 申 請 書

登記の目的  所有権移転及び信託財産の回復による信託(注1)
原   因  平成○年○月○日売買
権利者兼信託登記申請人  ○区○○町○丁目○番○号
             B
義 務 者  ○区○○町○丁目○番○号
        Y
添付書面  登記原因証明情報(注2) 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報
        代理権限証明情報 信託目録に記録すべき情報
送付の方法により登記識別情報通知書及び還付した原本の交付を希望します。
送付先の区分→資格者代理人の事務所
平成○年○月○日申請 ○○法務局○○出張所
代 理 人  ○区○○町○丁目○番○号
        司法書士 法務律子 ㊞
       連絡先電話番号 03-3456-7890
課税価格  金1000万円
登録免許税  金24万円
 移転分 金20万円(注3)
 信託分 金4万円(注3)

不動産の表示
 所  在  ○区○○町○丁目
 地  番  ○番○
 地  目  宅地
 地  積  80.27㎡

 所  在  ○区○○町○丁目○番地○
 家屋番号  ○番○
 種  類  共同住宅
 構  造  鉄筋コンクリート造 陸屋根 2階建
 床面積  1階 60.35㎡ 2階 60.35㎡
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(注1)受託者Bが信託財産である不動産を第三者Yに売却した場合に,これをYから買い戻したときには,原状回復により受託者が再取得した不動産は信託財産となることから,登記の目的は,「所有権移転及び信託財産の回復による信託」と記載します。
(注2)所有権移転の登記と信託の登記の登記原因証明情報を提供します(不動産登記法61条,不動産登記令7条1項5号ロ)。この登記原因証明情報中,信託の登記に関する部分については,信託財産に変更が生じた場合に受益者の請求に基づき,受託者が当該不動産を再取得したことを内容とすることを要します(不動産登記令別表65項添付情報欄ロ)。
(注3)所有権移転分として,課税価格(不動産価格)の1000分の20となります(登録免許税法別表第1.1.⑵ハ)。登録免許税法第7条第1項第1号(非課税)の適用はありません。また,信託分として,課税価格(不動産の価格)の1000分の4です(登税別表第1.1⑽イ)。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
<建物の登記記録例(一部省略)>
【甲区】(所有権に関する事項)
【順位番号】【登記の目的】【受付年月日・受付番号】【権利者その他の事項】
  1   所有権保存  平成○年○月○日    所有者 ○区○町○丁目○番○号
               受付第○○○号          Z
  2    所有権移転  平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
                 受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        B
        信託財産の  余白抹消           信託目録第○○号
       処分による
       信託
  3    所有権移転  平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
                 受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        Y
        2番信託登   余白              信託財産の処分
       記抹消
  4    所有権移転  平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
                 受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        B
        信託財産の  余白              信託目録第○○号
       原状回復に
       よる信託

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また,受託者へ所有権移転登記がされている不動産については,受益者または委託者は,自己の有する信託財産の原状回復請求(信託法40条1項2号)に基づき,受託者に代位して単独で信託の登記(信託財産の原状回復による信託)を申請することができます(不動産登記法99条)。
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<登記申請書~受益者が代位によってする信託財産の原状回復による信託の登記>

登 記 申 請 書

登記の目的      信託財産の原状回復による信託(注1)
信託登記申請人   ○区○○町○丁目○番○号
(受託者)         B(注2)
代位申請人      ○区○○町○丁目○番○号
(受益者)      A(注3)
代位原因       不動産登記法第99条(注4)

添付書面     登記原因証明情報(注5) 代位原因証明情報(注6)
        代理権限証明情報 信託目録に記録すべき情報
送付の方法により登記識別情報通知書及び還付した原本の交付を希望します。
送付先の区分→資格者代理人の事務所
平成○年○月○日申請 ○○法務局○○出張所
代 理 人  ○区○○町○丁目○番○号
        司法書士 法務律子 ㊞
       連絡先電話番号 03-3456-7890
課税価格   金1000万円
登録免許税  金4万円(注7)
 
不動産の表示
 所  在  ○区○○町○丁目
 地  番  ○番○
 地  目  宅地
 地  積  80.27㎡

 所  在  ○区○○町○丁目○番地○
 家屋番号  ○番○
 種  類  共同住宅
 構  造  鉄筋コンクリート造 陸屋根 2階建
 床面積  1階 60.35㎡ 2階 60.35㎡
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(注1)「信託財産の原状回復による信託」と記載します。信託財産の原状回復による信託の登記のみの申請であることを明らかにするためです。
(注2)所有権登記名義人である受託者を「信託登記申請人」として記載します。
(注3)受益者を代位申請人として記載します。委託者もまた代位申請人になることができます。
(注4)代位原因として,代位申請の根拠条文である信託法第99条と記載します。
(注5)登記原因証明情報として,信託契約書または信託契約に基づき所有権が移転したことを証する書面を提供します。
(注6)(注5)の書面の提供があれば,この書面をもって代位原因証明情報を兼ねることができます。
(注7)信託分として,課税価格(不動産の価格)の1000分の4です(登税別表第1.1⑽イ)。
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<建物の登記記録例(一部省略)>
【甲区】(所有権に関する事項)
【順位番号】【登記の目的】【受付年月日・受付番号】【権利者その他の事項】
   1   所有権保存  平成○年○月○日    所有者 ○区○町○丁目○番○号
             受付第○○○号          Z
   2    所有権移転  平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
             受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        B
        信託財産の  余白抹消           信託目録第○○号
        処分による
        信託
   3    所有権移転   平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
             受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        Y
        2番信託登   余白              信託財産の処分
        記抹消
   4    所有権移転  平成○年○月○日    原因  平成○年○月○日売買
             受付第○○○号       所有者 ○区○町○丁目○番○号
                                        B
       信託財産の   余白             信託目録第○○号
       原状回復に                    代位申請人(受益者)
       よる信託                      ○区○町○丁目○番○号
                                       A
                                  代位原因 不動産登記法第99条

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なお,売買を登記原因とする所有権移転の登記については,当然に受託者に代位して登記をすることができる旨の規定(不動産登記法99条参照)がありませんので,受益者または委託者が,債権者代位(民法423条)の行使を申請情報とし(不動産登記令3条4号),債権者代位の要件を満たすことを内容とする代位原因証明情報(不動産登記令7条1項3号)を提供して,登記義務者と共同で所有権移転の登記を申請しなければなりません。
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○ 緊急告知
民法(相続法)改正の施行日が,平成30年11月21日付けの官報で公表されました。
・配偶者居住権に関する規定 平成32年4月1日施行(公表されていたとおり)
・配偶者居住権を除く規定  平成31年7月1日施行(新規発表)
・遺言書保管法       平成32年7月10日施行(新規発表)

以上を整理しますと,以下のとおりになります。
平成31年1月13日施行
1.自筆証書遺言の方式の緩和
平成31年7月1日施行
2.遺言執行者の権限の明確化
3.遺産分割等に関する見直し
4.遺留分制度に関する見直し
5.相続の効力等に関する見直し
6.相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
平成32年4月1日施行
7.配偶者の居住権を保護するための方策
平成32年7月10日施行
8.遺言書保管法

例年の司法書士試験の法令基準日はその年の4月1日ですが,来年度の本試験(平成31年7月7日実施見込み)の時点では,新法が施行されています。
過去の例を見ると,平成18年の本試験は,同年5月1日施行の会社法で出題されています(法務省から事前の告知あり)。
そのため,来年の司法書士試験も平成31年7月1日施行の改正民法で出題される可能性が高いといえます(これから司法書士になろうとする受験生に,改正前の法律を用いて試験問題を出題するのは,出題者側としても望ましくないものと考えることでしょう。)。
今後の法務省の司法書士試験に関する発表に注意していきましょう(本ブログでも情報を入手しだいお伝えします)。