【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第3回 「司法書士をしていて抱く違和感」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。この記事が出るころには、筆記試験の合格発表も終わり、口述試験の頃でしょうか。合格の推定が及んでいる皆さんは、おめでとうございます。司法書士が活躍できる分野は本当に広がっていると思います。いろいろと司法書士のお仕事のことを書いていくので、合格後も記事を参考にしてもらえると嬉しいです。

 そして、筆記試験が残念だった方は、厳しいことを書くと、来年に向けての試験対策で出遅れていることになります。来年は、民法のように大きな改正もありますので、効率よく、一気に遅れを取り戻して下さい。

 さて、今回はちょっとプライベートな話を書いちゃいます。

 司法書士になると、いろいろな無料相談会に参加する機会があります。例えば、市役所でも「司法書士による無料相談会」のようなものが毎週のように実施されています。

 皆さんも合格されたらドンドン参加されるといいと思います。相談者にとって、無料相談でも、キチンと日当は出ますし、皆さんが今まで勉強された知識をフルに使ってアドバイスして喜んでもらえることは、本当にやりがいがあります。希望すれば、1年に2回前後、当番が回ってくると思います。

 僕もできるだけいろいろな相談会に参加するようにしているのですが、ちょっと種類は異なりますが、週に1回、法務局の登記相談員もやっています。4年近く続けているのですが、登記の相談に来られた方に、登記に必要となる書類や、申請書の書き方等をお伝えする仕事です。

 法務局の事務補助員の立場になるので守秘義務により、相談内容は一切書けませんが、最初の頃は、本人が申請する場合の登記の申請書の書き方で、かなり戸惑いました。

 司法書士の仕事は、権利者や、義務者から依頼を受けて登記を申請するので、代理人としての申請になります。なので、いつも書いている申請書は、「権利者A」、「義務者B」、「代理人C」ってなります。

 でも、本人の申請だと、申請人が代理人を兼ねる場面が出てきます。例えば、住宅ローンを全額返済して抵当権を自分ひとりで抹消する場合には、権利者でもあり、銀行にとっての代理人でもあります。よって、「権利者兼義務者代理人A」、「義務者B」って感じになります。

 司法書士の仕事としては、当たり前ですが、依頼を受けて代理人になることが多いので、あまりご本人さんが自分で申請書を作成して申請する場面に出会いません。抵当権抹消の申請書の書き方一つを見ても、「違和感」があります(笑)

 そして、もっと「違和感」を感じてしまうケースもあります。

 そうそう、抵当権の抹消と言えば、話はガラッと変わりますが、初回の「不思議な委任状」でも書いた通り、お客さんの住所は変更されていることが一般的に多いので、お客さんの「住所が変わってないよ。」という言葉は疑ってかかるというのが、司法書士のアルアルです。同じように、「共有」という言葉にも気を付けた方がいいです

 例えば、皆さんの事務にご自宅の抵当権抹消の依頼の電話がかかってきたとしましょう。まずは、現在の住所をサラッと聞きながら、住所が変わっていないことを確認して、カッコよく「名変は、ナイですね。」と伝えるといいでしょう。

 すると突然、お客さんが「自宅は主人との共有名義です。主人は仕事で夜まで帰ってこないので、私ひとりの手続きで大丈夫ですか?」と聞かれたらどうしましょう。

 では、返事を考えてみましょう!

 返事は作れましたか?(笑)では、どうぞ!

 「共有の場合には、共有者の1人が抵当権者と共同して抵当権の抹消の登記が申請できます。保存行為って言います。奥様、大丈夫です。おひとりで事務所までお越し下さい。」って答えた方、試験的には正解です。でも実務的には危険です(笑)

 確かに、保存行為で抹消できるという知識は、択一でも出題されています。つまり、AB共有の抵当不動産は、A又はBの一方だけが抵当権者と共同して抹消が可能です。申請書には、保存行為で抹消した共有者の部分に(申請人)と書くことになります。

 ただ、共有という言葉がキチンと使われていることが前提です。例えば、土地がご主人様、建物が奥様という場合でも、お客さんは「共有名義」と使ってくることがあるのでご注意を。

 皆さんは、「それは、共有じゃなくて、共同だ。」ってツッコミを入れたくなると思いますが、やはりお客さんは素人です。皆さんと同じレベルで用語を使ってくることを期待したらダメです。

 なので、先ほどの、奥様の「私ひとりで手続きできますか?」の返事は、「戸建てですか?土地は共有ですか?建物も共有ですか?土地と建物で名義が異なることはないですか?」と、まず聞くのが正解です

 では、このように聞いた後、お客さんの返事が、「建物は私ひとりのもので、土地は、私と主人の共同の名義です。この場合、私ひとりで手続きはできますか?」だったらどうですか?

 自信を持って、「その場合は奥様おひとりで大丈夫です。」って答えられたら満点です(笑)

 おっと、完全に話がそれていました。「違和感」の話でした。

 今回、守秘義務に抵触しないと思うので、内容を書いてみると、①抵当権抹消の登記、②土地の所有権移転の登記、③建物の所有権保存の登記、④抵当権設定の登記の連件になります。まぁ、通常の決済では、よくあるパターンです。

 で、依頼者がお客さんの「僕」。

 で、代理人が司法書士の「僕」。

 僕が、司法書士の僕に依頼するという「違和感」(笑)

 本人申請のカタチにしようかと思ったのですが、資格者代理人ではない場合には、登記識別情報は本人限定受取郵便で送られてしまいます(規則第63条)。でも、司法書士等の資格者代理人の場合には、書留郵便等で登記識別情報が送られてくるので赤色レターパックが使えます。

 本人限定受取郵便だと受け取りも本人確認で面倒だし、何より、切手を計算して貼るのが面倒です。それに対して、赤色レターパックなら、切手を貼る手間もないし、受取も楽。なので、僕が司法書士の僕に委任状を出すカタチにしました。

 自分が自分に依頼するって、かなりの「違和感」ですが、司法書士に報酬を払わなくてもいいので、ちょっと得した気分です(笑)

 

 

☜第2回「民法177条と司法書士の存在意義」はこちら                第4回「漢字をつくる」はこちら☞

 




<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。


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