【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第5回 「事務所ルール」



  こんにちは。司法書士の中山慶一です。この記事がアップされる頃には、合格発表も終わっていますね。合格された方、おめでとうございます!受験で覚えた知識がそのまま役に立つのが司法書士試験の特徴でもあると思います。司法書士の登録が終わったら、今度は答案としてではなく、お仕事として申請書を作成して下さいね。ワクワクしますよね。

 合格発表後のこの時期、毎年受けるご質問が、事務所に関する質問です。

 すぐにでも独立開業したい方もいらっしゃれば、しばらく事務所で修行して独立開業を考える方、今まで通り事務所でずっと勤める方、中には、事務所の先生から事務所を引き継ぐ話が出てくるようなラッキーな方もいらっしゃいます。

 僕自身も、まったく補助者の経験がなかったので、司法書士試験が実務に直結して、合格後、すぐに受験の知識でそのまま仕事ができる資格であることは分かっていたものの、やはりどこかで実務の経験を積まないと…と不安でした。

 おそらく、この記事を読まれている合格者の方の中にも、どこかの事務所に入るか悩んでおられる方も多いと思います。

 個人的には、やはり、実務経験がないのであれば、事務所で経験は積んだ方がいいと思っています。ただ、お客さんから依頼を受けて、登記を申請するまでの一連の流れとして、3か月もあれば、一通りのことは覚えることができると思います

 もちろん、イレギュラーなことが起こった時の対応力は、経験がものをいうのですが、そのような経験は、半年事務所で勤めれば分かるとか、1年事務所にいれば経験できる、というものではありません(だからイレギュラーですよね。笑)。

 よって、3か月くらい事務所で経験を積めば、思い切って独立開業するのもアリだと思います。自分の名前で仕事を責任もって引き受けることができるところが士業の魅力です。イレギュラーな案件は、その都度、自分で考え、調べ、同期や先輩司法書士に相談しながら経験を積んでいけばいいでしょう。

 ただ、できれば、事務所は2か所ほど経験しておくといいと思います

 理由は、事務所ごと書類の集め方や申請書の組み方等、作業のやり方が異なるので、要領のいい事務所もあれば、要領が悪い事務所もあるからです。いろいろな事務所のやり方をみて、「いいトコ取り」することがお勧めです。

 例えば、司法書士のお仕事として、相続のケースで亡くなった方の出生から死亡までの戸籍等の収集作業があります。市役所等に請求するわけですが、請求する際には、①郵送請求書と委任状(あるいは、職務上請求書)、②定額小為替、③司法書士の会員証のコピー、④返信用の封筒を送ることが多いです。

 最初の頃に困ったのが、市役所に請求して、どのくらい戸籍等が送り返されてくるか分からないため、定額小為替の金額をいくら送ればいいのか悩みます。

 戸籍は450円ですが、原戸籍や除籍は1通750円です。何通戻ってくるのか、不明です。まぁ、分からない場合には、ちょっと多めに定額小為替を入れておけば、おつりとして定額小為替や切手が戻ってくるので、大した問題ではないのですが、返信用に貼る切手は困っていました(笑)

 最初の頃は、だいたいの戻ってくる戸籍等の重さを予測して返信用封筒に切手を貼り、封筒に「不足分受取人払い」と書いて、市役所に送っていました。これが「事務所ルール」でしたから、計量器に仮の予想で戸籍を乗せてみて、重さを確認して、何の疑いもなく切手を貼っていました(笑)

 ところが、他の事務所のやり方を見て、衝撃を受けました…。

 送るのも、返信用も、レターパック!今まで重さを調べながら面倒な作業をしていたことが完全否定された瞬間です(笑)

 戸籍等の郵送請求は封筒でやり取りをするものと、何の疑いもなく思い込んでいました。

 確かに、1枚、2枚の住民票の請求であれば、レターパックでの請求は経費的に無駄遣いかもしれませんが、それでも作業を効率化するのであれば、レターパックは便利です。しかも、封筒で送るのと異なり、追跡番号で郵便の追跡も可能で安心です。もちろん、普通の封筒でも配達証明で追跡が可能なのですが、やはり作業として面倒くさいです。レターパックでパッとポストに投函できる方が楽です。このように、事務所が異なれば作業のルールが違うので勉強になります

 経費と言えば、急ぎのときには「速達」で戸籍等の請求書を送ることがあるのですが、金曜日に請求する場合には、土曜日、日曜日に届いても市役所も休みなので、無駄な経費になってしまいます。

 申請書の組み方(書類をホッチキスで止める順番)も事務所によって異なるので自分が納得できる順番を見つけてみて下さい。個人的には、原本還付の書類が最後にくるようにホッチキスで止めるようにしています。理由は、なるべく原本は劣化させたくないので、法務局に提出後も原本還付する書類のコピーの間で挟んだ方が原本も長持ちするような気がするから…それだけです(笑)

 事務所によっては、フリクションボールペンで書類に記入される先生もおられますが、大丈夫なのか心配になります。僕は、しっかりとボールペンで書いて、間違えたら砂消しでゴシゴシ消すルールを採用しています(笑)

 また、事務所ルールは経費的な面だけでなく、「そんなこともできるんだ!」と気づかされるときもあります。

 例えば、相続放棄の手続きの依頼を受けた場合、家庭裁判所から相続放棄にあたり、照会書などが届くのですが、そのような書類は相続人の自宅に届いてしまいます。いや、司法書士は、家庭裁判所の代理権を持っていませんから、司法書士の事務所には届かないと思い込んでいました。

 ところが…

 上申書で送達場所を指定しておけば、普通に司法書士の事務所に書類を送ってくれます。最初の頃は、事務所に書類を送ってもらう方法がないか、家庭裁判所に訪ねたのですが、「無理です。」と、それしか言われませんでした。当然ですが、事務所に送ってくれる方法など教えてくれません。

 やはり、いろいろな事務所でやり方を見た方がいいです。確かに、司法書士試験の勉強は実務に直結するので、合格して登録すれば、すぐに仕事はできますが、効率的な仕事になりません。要領よく仕事をするためにも、ぜひ、3か月以上、できれば2か所くらいの事務所で勉強することをお勧めします。ただし、人間関係は大切なので、当たり前ですが、お互い気持ちよく事務所はやめましょう(笑)

 さて、相続放棄ですが、熟慮期間はいつまででしょうか?突然の問題です。

 「3か月だ!」と答えた方は不正確です。「死んでから3か月?」と答えた方は間違いです。テキストで確認しましょう。

 実務では、意外と相続開始から3か月過ぎてからの依頼が多いです。熟慮期間は「相続開始から3か月」ではなく、「自己の相続開始を知ってから3か月」なので、例えば、1年後に債権者から請求が来れば、そこから3か月でカウントをすることができるかを検討することになります。
その場合にも場合によっては事情説明のような書類を提出する場面もあるので、事務所で学んで下さい。受験知識では対応できない部分になります。

 ところで、令和元年8月9日に熟慮期間に関連して最新判例が出ているようですよ。受験生の方はご存知でしょうか?

 再転相続のケースの熟慮期間の判例になるので過去問的にも頻出の部分での最新判例となります。きちんと確認しておいて下さいね!

 

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。


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