【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第6回「商業登記は手強い」



   こんにちは。司法書士の中山慶一です。この前、司法書士試験の解答速報をしたかと思えば、もう年末です(笑)なんかこのペースだと、あっという間に年が明けて、本試験の直前期になる感じがします。受験生皆さんは、予定を立てて、しっかりとやるべきことを消化していって下さいね。

 ちなみに…

 僕は、勉強の予定を立てても、全く予定通り進まずにストレスになっていたので、その日やったことをスケジュールに書き込んでいました。直前期には、その日、その日、やったことで埋め尽くしたスケジュール帳を見て、「これだけ頑張ってきたんだ!大丈夫!」と自分を勇気づけていました。予定通りに進まない方は、ぜひ、参考にしてみて下さい。

 今日は商業登記のお話をしましょう。さすがに、10年近く司法書士をしていると、受験で習う登記は、ほぼ経験しました。

 会社設立、役員変更、商号変更、目的変更、本店移転、募集株式の発行、資本金等の額の減少、解散・清算の登記、特例有限会社の移行の登記など…。

 これまでも書いている通り、司法書士試験の勉強は実務に直結します。すぐにでも申請書が書けるレベルになるのですが、僕の経験上、商業登記は意外と手強いです

 その理由としては、①会社の内容がよく分からない、②法人にもいろいろある、③お客さんの言葉がよく分からない、あたりでしょうか。

 まず、「①会社の内容がよく分からない」ですが、お客さん自身が自分の会社の内容を分かっていないことが多いです。取締役が1人しかいないのに、取締役会議事録を持参される場合があります。また、取締役の人数や、監査役の有無も、よく分かっていないお客さんもおられます。

 「そんなのレアケースでしょ!?」

って、言われそうですが、僕の周りでは意外と多い気がします(笑)

 取締役会の設置の有無等は、会社の登記情報を取得すれば分かるのですが、役員の任期や員数、代表取締役の選定方法、事業年度、定時株主総会の開催時期は、定款を見ないと分かりません。

 口頭で尋ねても、事業年度はほぼ答えてもらえますが、その他は、「知らない」と言われることが多いです。そして、最後には、

 「定款ってどこにあるの?」ってお客さんから逆質問(笑)

 受験生の皆さんは、定款の保管場所は分かりますよね?忘れた人は、今すぐ、テキストで確認して下さい。

 このように、試験的に言えば、聴取記録の別紙がない状態で、記述の問題を解くような感じになってしまいます(笑)司法書士が株主総会の議事録や取締役会の議事録の作成をするケースも多く、会社の内容が分からないのに、作成するとなると、なかなか、手強いです

 また、「②法人にもいろいろある」ですが、試験的には、株式会社の登記の申請書が書けて、持分会社、一般法人まで申請書が書けるとバッチリだと思いますが、実務では、社会福祉法人、学校法人、医療法人、宗教法人、NPO法人、組合など、いろいろな法人の依頼が来ます

 「農業法人を設立したいのですが、手続きをお願いできますか?」って、突然、依頼が来るわけです(笑)

 試験で聞いたことがない内容ですよね。でも、ここで、「手続きが分かりません。」なんて答えちゃうと、お客さんが逃げてしまいますし、何より、勉強する機会を失って、次に同じ依頼が来た時も、受任できないことになり、いつまでたっても仕事を覚えることができないです。やはり、商業登記は手強いです。

 最後に、「③お客さんの言葉がよく分からない」ですが、意外と最初の頃は、これで苦労しました。突然、「会社を休眠したい。」とか、「会社を復活させたい。」とか、「えっ!?試験で聞いたことがないんですけど…」状態でした。

 「休眠」と言えば、休眠会社の話は試験的には習いますが、これから休眠したいと言われても…って感じでしょ?(笑)

 「復活」って、なんか言葉的にはかっこいいですが、意味がよく分かりません。

 講義の中の位置づけでは、清算結了の登記がされて登記記録が閉鎖されている場合に、会社の財産が残っていた場合の話にあたります。例えば、「会社の登記記録は閉鎖したのだけど、会社名義の自動車が残っていて廃車するのに会社の印鑑証明書がいるので登記記録を復活させたい。」というような話です。

 試験では出ないですが、「清算を結了していない旨の申出書」を出します。そこに、申出の理由を書いて、登記記録を復活するわけです。

 試験的に聞かない言葉と言えば、「払い込みがあったことを証する書面」なんかも、講義の中では僕も、「通帳の表紙をコピーしてね…」と説明しますが、今はインターネットの時代なので、通帳がないインターネットバンキングもあります。最初は、「通帳がない…インターネットの表紙ってどこやねん。」って戸惑ったのを覚えています(笑)

 話を戻します。意外と商業登記は放置されていることが多いのが僕の印象です。

 最終的には、休眠会社で職権によって会社が解散された登記記録を持参されるケースもあると思います。「知らない間に会社がなくなった…」って言われるので、継続の登記の説明をしてあげて下さい。これは試験的には勉強していますよね。

 登記をほったらかし、というのは本当によくあります。司法書士の勉強をしている側からすると「重任」の登記が必要なのは分かっていますが、お客さんにとっては、「同じ人がやるのだから登記を変更する必要はない。」と思っているケースが多いです。

 「もう2年前に任期が切れていると税理士さんに指摘されたんですが…」なんて相談も来るかもしれません。

 ただ、この場合によく聞かれるのは、過料の金額です(笑)

 裁判所から、会社法違反事件として、「被審人に過料金〇〇万円に処する。」なんて、厳しい「過料決定」の通知書が突然届きます。やはり、お客さんは、いくら払うのか、気になりますよね。

 このように、意外とお客さん自身が、ご自身の会社の内容を知らないケースが多いので、商業登記は手強いというのが僕の本音です。でも、不動産登記とは違った楽しさがあるので、商業登記の依頼もたくさん受けて下さいね。次回は、議事録の話をちょっと書いてみようと思います。

 

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。


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