【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第7回「議事録への押印」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。寒くなってきましたね。僕の周りでも、風邪が流行っています。勉強するにも、まずは、健康でないと効率が悪くなります。「体が資本」という言葉があるそうですが、経営の神様、松下幸之助さんの言葉だとか…。やはり体調管理は何をするにも重要ですね。アントニオ猪木さんも「元気があれば何でもできる」って言っていますし(笑)、受験生の皆さんは、体調管理も一つの受験科目と考えて、勉強を進めていきましょう!

 さて、前回の続きになります。商業登記は手強い、という話です。

 不動産登記は、受験生時代に勉強したことがそのまま実務で使えます。商業登記も、そのまま実務で使えるのですが、たまに微妙に違う感覚になるときがあります。

 それが、議事録への押印。受験生の皆さんは、必ず、学習する部分ですよね。

 代表取締役を選んだ議事録に、前の代表者が登記所への届出印を押してくれていれば、皆さん認印でオッケー、でも、押してくれていなければ、皆さん実印を押すので、一生懸命、印鑑証明書の通数を数えないと…っていう話ですね。

 僕も受験生の頃は、心の中で「なんで、前の代表者が届出印を押さへんねん!押せよ!」とツッコミながら、一生懸命、商業登記法の記述の問題を解きながら、印鑑証明書の通数を数えていました(笑)

 今の受験生の方は、どうでしょうか。届出印が押されちゃうと、本人確認証明書の添付の検討も出てきて、意外と心の中で「届出印を押さないでよ!みんな実印で印鑑証明書添付しようよ!」って、僕の頃とは反対のツッコミが入っているかもしれません。

 実務では、登記所の届出印が押せるのであれば、押すのが通常です。当たり前の話ですが、個人の方が実印を押して印鑑証明書を添付するということは、印鑑証明書を市役所に手数料を払って、仕事中に取りに行く手間が出てきてしまいます。1通300円くらいの印鑑証明書かもしれませんが、取りに行かれる方は、やはり面倒くさいわけで、できるだけそのような手間がかからないように配慮するのも司法書士のお仕事になります。

 とは言いつつ…、後で、「印鑑証明書が必要なので取得して下さい。」なんて言うと、「なんで、前の時に言ってくれなかったんだ!」ってトラブルになるので、お客さんから「印鑑証明書は必要?」って聞かれると、「イラナイ」と思いつつも、ついつい「念のために1通ご準備下さい。」なんて、言ってしまいます(笑)

 ところで、代表取締役を選ぶ時には、どうして、前の代表者が登記所の届出印を押さないときには、皆さん、実印を押して、印鑑証明書を添付する必要があるのでしょうか?

 受験生の皆さんは、シンキングタイムです(笑)過去問では、不動産登記の記述でも、添付書面を添付する理由が問われたことがありますよ。代表者の選定書面に実印を押して印鑑証明書を添付する理由は何でしょうか?

………(考え中)………

 答え合わせです。僕は講義の中で、「乗っ取り防止のため」と説明しています。つまり、代表取締役が変更されるような場面では、会社が勝手に乗っ取られないように、皆さんに実印を押して印鑑証明書を添付してもらうわけです。

 僕が受験生時代に、そのように講師の方が説明されていたので、そのまま覚えて、今は僕も講義の中ではそのように説明しています。そして、実務でお客さんに対しても、そのように説明しています(笑)

 ところが、たまに講義の説明が通用しない場面に場面、つまり微妙に受験勉強の感覚と異なる場合があります。

 例えば、皆さんのところに、理事会を設置する一般社団法人のお客さんで、代表理事が前の代表理事から新しい代表理事に変更する登記の依頼が来たとしましょう。

 受験知識としては、「理事会」→「取締役会」、「(代表)理事」→「(代表)取締役」、「監事」→「監査役」に置き換えたら終わりなので、株式会社と同じように考えればいいです。

 当然、前の代表理事は退任しているのであれば、前の代表者が登記所の届出印は押せないので、理事会に出席した理事さんと監事さんの全員が個人の実印を押して、印鑑証明書を添付することになります。

 ところが、理事会議事録には、新しい代表理事が押印しているだけ…の議事録を持って来られたら…。なんだか、乗っ取られそうですが、さて、どうしましょうか?

 実は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の95条3項には、「定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事」と書かれていて、定款で印鑑を押す人を、出席した代表理事と決めることができます。

 その場合には、代表理事だけが印鑑を押せばいいわけですが、新しく就任した代表理事が果たして押していいのか、講義中で「乗っ取り防止だ!」と習ってきた手前、気になりますよね(笑)

 新しい代表理事も、その席上、就任承諾しているのであれば、もう代表理事になっています。なので、新しい代表理事が定款の規定に従って、印鑑を押せば、他の理事さんや監事さんの印鑑証明書は不要なわけです

 ここで、「今回は前の代表者が届出印を押せませんから、皆さん、印鑑証明書を持ってきて下さい!」なんて言っちゃうと、後で怒られます(笑)

 また、単純に押印の話でも、講義で聞いた内容と微妙に異なります。

 例えば、株主総会で目的変更を決議しても、株主総会には議事録への押印義務はない、と習います。定款で押印すると定められていたり、代表取締役を株主総会で選定していないのであれば、原則として、株主総会への押印義務はないわけです。

 ところが、目的変更でも、普通に、議事録に押印するのが実務です。書類に印鑑が押されていないことは、単純に気持ち悪いですし、お客さんも同じ感覚です。

 結局、すべての書類に押印があるのが普通ですが、困るのが、個人の実印を押すのか、届出印を押すのか、の区別です。

 「ここは個人の実印を押して下さい。」、「この書類は会社の印鑑でお願いします。」とテキパキ答える必要があるので、実務に出たら頑張って下さい。特に、設立の登記の場合には、書類がたくさんあるので、どの印鑑を押すのか、しっかりと覚えておきましょう。株主総会の設立であれば、比較的余裕があると思いますが、合同会社のような持分会社の設立であれば、定款認証の必要もなく、即日で、設立の登記の依頼が来るときもあるので、押印書類でバタバタしないようにしておきましょう。

 合同会社の設立の場合には、定款のチェックもお願いされるかもしれません。だいたい、ネットから見つけたひな形っぽい定款を持って来られることが多いです。個人的には、定款の中に、「利益相反取引の場合でも、承認を要しない規定」を入れることをアドバイスすることが多いです。

 個人で合同会社を立ち上げられるお客さんは、いずれ利益相反取引も生じてくることが多いので、会社法第595条第1項ただし書の定めとして、定款作成のアドバイスとしてお客さんと相談してみて下さいね。

 では、体調管理に気をつけて勉強頑張って下さい!

 

☜第6回「商業登記は手強い」はこちら                        第8回「民法の改正」はこちら☞

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。


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