【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第8回「民法の改正」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。受験生の皆さんは、相続法の改正を含む、民法の改正はバッチリでしょうか?意外と、講義をしていると、お伝えすることが多すぎて、やればやるほど、気になることが増えていきます(笑)

 巷では、「こども六法」という児童向けの六法も出ているようで人気とか。しかも、債権法の改正に対応済み(笑)子供たちも、民法の改正はバッチリのようです。

 最近の子供たちのSNSのトラブルや、いじめ問題を考えれば、このような児童向けの法律書の人気もうなずけます。また、2022年4月1日には、成年年齢の引き下げも施行されるので、子供たちに「契約とは何ぞ?」という勉強も必要になってくると思います。

 ちなみに、ちびっ子たちに、このような法律を知ってもらうような活動も司法書士はおこなっています。合格された後、司法書士として、子供たち向けに民法等を説明する仕事も面白いかもしれませんよ。

 さて、そのようなちびっ子たちも知っている民法の改正ですが、司法書士には、やはりいろいろと相談がきます。

 最近よく相談されるのは、①自筆証書遺言の手書きの話(法務局での保管を含む)、②葬儀費用等の預貯金の仮払いの話、③配偶者居住権の話などなど…。

 あれ?全部、相続法の改正ですね。さすが、司法書士(笑)

 実は、自筆証書遺言の依頼は、ほとんど受けたことがありません。やっぱり、司法書士が関与する遺言と言えば、公正証書遺言が多いと思います。だって、自筆証書遺言って、一人でコッソリ書くところに意味があるわけで、司法書士が関与しなくても大丈夫です。原案の下書きの依頼もありますが、これもやっぱり司法書士が関与するよりも、一人でコッソリ考えた方がいいと思っています。ただ、自筆証書遺言が使えないようにならないように、形式面、内容面の確認については、司法書士のアドバイスが必要になることもあると思います

 今までは、自筆証書遺言の相談があっても、「インターネットで検索すれば、自筆証書遺言の書き方がいくらでも出てくるので、それを見ながら書いて下さい。」と言って終わるケースもしばしば。

 たまに、インターネットの見本だと、遺言者の住所が書かれていないことがあるので、その場合には、住所を書くようにお伝えすることがあります。

 住所の記載については、自筆証書遺言で必ず書く必要はないのですが、その遺言を使って登記をする場合には、登記記録上の住所・氏名と、遺言者の住所・氏名が一致している方がスムーズに処理ができるので、住所は書いた方がいいとアドバイスしています。遺言者と登記記録上の人物の同一性が確認できない場合には、上申書が必要になるケースもあるのでご注意を。

 最近は、相続法の改正もあって、財産目録として、「通帳のコピーでもいいのか?」とか、「不動産の内容で登記事項証明書を付けたいので、準備してほしい。」とか、ちょっと相談内容が変わってきました。

 全くの偏見ですが、問い合わせのときに、「遺言(いごん)の作成の相談で…」と言われると、ちょっと身構えてしまいます(笑)だって、一般的には「遺言(ゆいごん)」って読みません?「遺言(いごん)」って言葉を使われると、何か事前に情報を得てからの相談かな?何か、トラブルがあるのかな?と警戒してしまいます(笑)

 受験生の皆さんは、来年度の本試験では、遺言の日付が重要となってきます。

 もちろん今までも、日付の確認は、その後の抵触する処分がないかの確認でしっかりチェックされていたと思いますが、今後は、遺言書の日付によって、自筆証書遺言の要件の緩和、遺言執行者の権限が変わってきます

 日付?いつ?って、頭の中が「???」ってなっている方は、試験対策として、相続法改正の経過措置まで確認しておく必要がありますよ。今のうちにチェックしておきましょう!

 法務局による遺言書の保管制度については、2020年7月10日からなので、まだ先の話ですが、意外と、一般の方の関心は高いような気がします。やはり司法書士の仕事にも影響が出るので、遺言書の保管の申請の手数料がいくらになるか気になります(笑)公正証書遺言に比べてお値段的にお得感が出てしまうと、自筆証書遺言の保管制度の利用も増えるかもしれません。ただ、この場合でも、法務局は遺言の方式の適合性(署名や、押印、日付の有無など)を外形的に確認するだけなので、法務局で保管されていたからといって、内容的に使える遺言になっているかは別問題になります。なので、司法書士が原案について、事前にチェックする役割は重要になってくると思います

 預貯金の仮払いも、よく相談を受けます。例えば、ご主人さんがお亡くなりになって、それを銀行や郵便局に伝えてしまうと、預貯金が凍結されて引き出せなくなります。そうなると、葬儀費用や病院代、施設の費用などが払えないケースがでてきます。預貯金の凍結を解除するためには、遺産分割協議等が必要となってきますので、被相続人の戸籍一式を集めたり、相続人の戸籍や印鑑証明書が必要となったりして、その作業に時間がかかってしまって、葬儀費用等が払えません。そこで、登場したのが「預貯金の仮払いの制度!!」です。

 と、かっこよく登場してもらいましたが、個人的には、全く使えない制度に感じています(笑)

 金融機関で仮払いを利用しようとすると、被相続人の戸籍一式を集めたり、相続人の戸籍や印鑑証明書を提出する必要があります。集める書類は、ほぼ同じです。

 あれ?これだったら、遺産分割協議書を作るのと同じでは…と思ってしまいます。結局、仮払いまでにかかる時間は、遺産分割協議書を作成するのとで、たいして変わりません。

 また、金融機関では以前から、「仮払い」ではなく「便宜払い」が利用されています。改正で登場した「仮払い」の場合には金融機関ごとに上限が150万円ですが、便宜払いだと金融機関の判断にもよりますが、必要な常識の範囲で払ってくれます。葬儀費用って、結構かかります。

 金融機関によって異なると思いますが、故人名義の通帳から、葬儀費用や生前の医療費に充当するため、葬儀社や医療機関等に直接振込みしてくれるわけです。戸籍一式のほかに、葬儀費用や医療費用の請求書を提出する必要がありますが、支払請求者となる相続人ひとりの印鑑証明書で足りますし、振込依頼書を出せばすぐに振り込んでくれるので、手続きが早いです。また、仮払いの制度のように、常識の範囲であれば、上限の金額でひっかかることもありません。

 なので、個人的には仮払いの制度のよさが、よく分かっていません(笑)受験生の皆さんは、払戻し可能な金額について、法務省令で定める額も含めて整理しておく必要があります。

 最後に、2020年4月1日施行の配偶者居住権ですが、何件か、ご相談がありました。ただ、実務的には、配偶者居住権の処分ができないことには気を付けないとダメです。配偶者居住権は配偶者を守ってくれる強力な権利ですが、配偶者居住権は売却できないので、将来、配偶者が施設に入ることになった場合の入居費が準備できずに、配偶者を苦しめる権利になるおそれもあります。

 司法書士としては、相続開始時の話だけではなく、5年先、10年先まで考えて、遺産分割や、配偶者居住権の話をしてあげたいところですね。受験生の皆さんは、配偶者居住権の設定って登録免許税はいくらでしたっけ?(笑)民法では、短期居住権も含めて、しっかり整理しておきましょう!

 では、年末年始は民法改正をチェックしながら、よいお年をお迎え下さい。


※編集注:中山講師のブログは本日が年内の最後です。次回は年明け1月21日(火)になります。日に日に寒くなってまいりましたが、また来年ここでお会いしましょう!

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。


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