【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第13回「事務管理最強!?②」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 前回の続きです。後見開始の審判の申立ての話でした。僕は、いつもご親族の方に成年後見人になってもらって、書類の作成のみ、仕事として受けています。

 成年後見開始の審判の申立ては、家庭裁判所にします。費用的には、印紙代800円と、切手代がちょっとかかるくらいですが、書類を集めるのが大変です。戸籍はもちろん、財産目録を作成するので、通帳のコピーやローン契約書のコピー、本人の収入が分かる書類や、健康保険料等の資料等を集めないといけません。また、成年後見開始の審判に相当すると診断されたお医者さんの診断書も必要です。

 だいたい2週間もあれば書類はそろうと思いますが、司法書士は家庭裁判所の代理権も持っていないので、ご本人さんや、ご親族で成年後見人の候補者となる方に家庭裁判所に足を運んでもらうことになります。

 個人的には、ご夫婦のように、ずっと一緒に寄り添ってきたのであれば、ご主人さんの成年後見人として奥様やお子さんが就かれるのが、一番の適任だと思っています。なので、僕は成年後見人にはなりません。サボっているわけではありません(笑)

 例えば、成年後見人として、奥様やお子さんが成年後見人に就いた場合には、その後も、ボランティア的に、時々、様子をうかがいに足を運んでいます。後見開始の審判の審判が出たらサヨナラ!は、ちょっと違うかな、と思っています。

 ただ、ご親族の方を成年後見人の候補者にした場合のデメリットもあります。
ご夫婦だと財産を無意識に使いこんでしまう心配がありますし、ご親族の方を成年後見人の候補にしても、誰が成年後見人になるかは裁判所が職権で決めることになるので、希望が通らないこともあります。また、本人の財産が多い場合(大阪の場合には1200万円くらい)には、裁判所の方から後見制度支援信託を検討するように言われます。この制度は、本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金として後見人が管理して、日常使用しない金銭を信託銀行等に信託するしくみです。要するに、必要なお金だけ成年後見人に渡して、残りは使いこまないように信託銀行が管理するしくみです。

 自分が候補者として選ばれなかったり、後見制度支援信託で余計な費用が発生することは、ご親族が候補者となる場合に発生しうる大きなデメリットです。司法書士が成年後見人の候補者になれば、これらの心配はなくなります。

 たまに、このデメリットが生じそうな場合には、家庭裁判所の方から、「(司法書士の)あなたが、成年後見人にならないのですか?」と、やんわり声をかけられることもあります(笑)

 家庭裁判所の代理権を持っていない司法書士ですが、申立書を作成して、候補者との面接の場に同席ができます。未成年後見開始の審判を家庭裁判所でやる場合には、一瞬、追い出される時があります(未成年者の本人に候補者でいいか、意思の確認をしているのだと思われます)が、同席して、いろいろと面接のフォローをします。

 無事に候補者の面接も終われば、1~2か月で、審判が確定し、成年後見人としてお仕事のスタートです。

 スタートしたばかりですが、ここでは改正の内容を確認したいので、突然ですが、終了の話になります(笑)

 成年後見人は法定代理人ですから、成年被後見人が死亡した場合には、成年後見は当然に終了することになります。つまり、本人が死んでしまうと、法定代理権は喪失するわけです。ここで、問題になっていたのが、死後事務です。

 死後事務については、成年後見人としての権限が喪失している以上、できないのが原則になるわけで、でも、何もせずに遺体を放置することもできず、元成年後見人が遺体を引き取ったり、火葬や、埋葬をするわけですが、その根拠がなかったわけです。

 ここでやっと今回の記事の本題ですが(笑)、平成28年の改正で、成年後見人が成年被後見人の死亡後にも行うことができる事務(死後事務)の内容及びその手続が明確化されました(民法第873条の2)。

 この改正によって、成年後見人は、成年被後見人の死亡後にも、個々の相続財産の保存に必要な行為、弁済期が到来した債務の弁済、火葬又は埋葬に関する契約の締結等といった一定の範囲の事務を行うことができることになりました。

 同時に、成年後見人が家庭裁判所の審判を得て成年被後見人宛郵便物の転送を受けることができるようになった改正もされているので(民法第860条の2,第860条の3)、条文を確認しておいて下さい。

 民法第873条の2を見ると、第3号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可が必要と書かれています。

 第3号の内容をチェックすると、「死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」と書かれています。つまり、火葬や埋葬をする場合には、家庭裁判所の許可が必要になります。

 では、家庭裁判所の許可がなく、成年後見人が火葬又は埋葬に関する契約の締結した場合には、どうなるのでしょうか?

 意外と、そのような話を聞きます。「違法なことをしているのではないか?」と相談があったりするので、家庭裁判所に聞いてみました。すると、その返答が…

 「事務管理としてされているのであれば、家庭裁判所が口を出すことではありません。」との回答。

 「事務管理!?」

 講義の中では民法で、ちょっと出てくる、あの「事務管理」です。

 僕は、講義の中では、「事務管理って、おせっかいのことです。」と説明しますし、受験生の皆さんも、ほぼ、そのような説明を受けているのではないかと思います。

 よく、法律相談の中でも、「どうゆう権限に基づいてなのか?」と聞かれることが多いですが、「権限はありませんが、おせっかいです!おせっかいが権限ということになりますね。」と言われちゃったら、「えっ!?」って感じです。

 僕の中では、「意外と、事務管理は最強」だなぁ、という印象を受けた瞬間でした(笑)

 次回は、この話の流れで「死後事務」について書いてみようかなと思います。

 

 

☜第12回「事務管理最強!?①」はこちら   第14回「実務で分からないときは講座のテキストに戻ってみる」はこちら☞

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。





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