【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第15回「賃貸借契約における保証契約~不安がぶっ飛ぶくらい勉強してみた。」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 司法書士の直接のお仕事というわけではないのですが、司法書士の中には、法人等と顧問契約を結んでいるケースがあります。僕も、顧問契約のお仕事をさせて頂いています。

 内容としては、契約書の内容について法的に問題がないか、リーガルチェックをしたり、登記の手続はもちろん、契約書の作成や、トラブルがあった場合の対応等をすることが多いです。

 今年になって、債権法の改正もあって、契約書の作成やチェックが増えたような気がします。見落としがあると、後で大きなトラブルになるので、慎重に契約書の文言を改正民法の文言と照らし合わせながら、確認しています。

 僕は、血液型がО型なので大雑把な性格です。なので、仕事をする時には、自分がA型だったらよかったのに…と後悔することがしばしば(完全に偏見ですね。笑)

 契約が結ばれてから、当事者は、何年もその契約に拘束されることを考えると、契約書の内容、文言を考えるだけで胃が痛くなります(苦笑)

 不動産登記法の勉強で、「地上権の存続期間を“永久”と定めることができる。」なんて、スゴイことを習いますが、自分が作成した契約書が永久に残ることを考えたら、「この契約書で大丈夫だろうか?」と不安になります。

 えっ!?そんな不安は僕だけですか?

 う~ん、僕は、永久とまで行かなくても、一般定期借地権の50年以上や事業用借地権のような10年以上でも、「自分が死んだ後でも、自分が作成した契約書が生き続ける」ことを考えると不安になります。賃貸借契約も50年になったので、おそらく、今作成している契約が期間満了するころには、自分はこの世にはいないような気がします。自分が死んだ後に、契約書の内容でモメないか心配ですよね(笑)まぁ、契約書の作成やチェックのご依頼が来て、不安に思っていても仕事にならないので、不安がぶっ飛ぶ!くらい専門書等を読んで勉強すればいいだけなんですけどね。

 というわけで、最近、賃貸借契約書のチェック・作成のご依頼が多かったので、3月は、賃貸借契約書を不安がぶっ飛ぶくらい勉強してみました。

 このあたりは、司法書士試験の勉強も同じでしょう。

 ここから超直前期に入っていきます。勉強のスケジュールもうまく進まず、やりたいことがあれもこれもと、あるでしょう。公開模試を受験しても、自分の予定している結果と異なることもあるかもしれません。不安が尽きませんよね。

 でも、ご心配なく。それが、正常です。

 「全部やり切った!」なんて合格者なんて、ほとんどいません。合格者の大多数が、不安で、不安で、たまらない状態で合格していきます。「その不安を楽しんで!」なんて、偉そうなことは言いませんが、不安な気持ちになって来たら、不安がぶっ飛ぶくらい勉強して下さい!僕も受験生時代はそうでしたし、今もそうです。不安なときは、不安を忘れるくらい勉強するのが一番です。


 なんか、講師っぽいこと書いていますよね~(笑)いいことが書けたので、では、また次回の記事でお会いしましょう!って、ココで終わるとカッコイイ感じもしますが、話を戻します。

 賃貸借契約書の話です。

 債権法の改正を受けて、売買の契約書については、いつでも相談を受けることができるように勉強して準備をしていたのですが、賃貸借契約の方が多くなるとは意外でした。

 その理由は、連帯保証人の部分です。

 個人が賃貸借契約を締結する際、賃貸人から連帯保証人を求められることが多いと思います。万が一、賃借人が賃料を滞納したり、義務違反等で損害金が生じた場合に、賃貸借契約から生じる一切の債務を負担することになります。

 今までは、サラッと、「連帯保証人は、賃借人と連帯して、賃貸借契約から生じる一切の債務を負担する。」という条項を入れていたらよかったのですが、債権法の改正によって、これが使えないケースが出てきました。

 つまり、個人を保証人として、このような一定の範囲に属する不特定の債務を保証する場合には、極度額を定めないと保証契約が無効となってしまうことになりました。

 よって、「連帯保証人は、賃借人と連帯して、極度額 金〇〇万円の範囲で、賃貸借契約から生じる一切の債務を負担する。」としないと保証契約が無効となってしまいます。勉強不足で契約書を作成してしまうと、後で大きなトラブルとなってしまうので注意が必要です。

 ちなみに、これって「根保証」って呼ばれるものですよね。司法書士試験には出題されていましたっけ?

 うん。そうですね。改正前の内容ですが、「貸金等根保証契約のときに極度額を定める必要があるよね。」という出題がされています(H27-17-エ)。

 債権法の改正によって、貸金債務だけでなく、このような賃料債務も極度額が必要だよね、ってことで、個人根保証として極度額の考え方が拡張されています。

 よし!これで、いつでも賃貸借契約書のチェック来い!って状態かと言えば、そうでもなく、受験生の皆さんは、もうお気づきですよね?

 もう一つ、契約書に入れておきたい条項がありますよね?さぁ、皆さんのところに、賃貸借契約書作成の依頼が来たとして、テキストの保証の内容を思い出して下さい。何か、アドバイスできるはずです。

 ・・・・・・・・・・・(考え中)・・・・・・・・・・

 そう!その通り!相対効、絶対効のお話です。

 連帯保証人に対する履行の請求は相対効に変更されています。つまり、主債務者である賃借人には効力が及ばないわけです。ただし、別段の意思を表示したときは、その意思に従うことになるので、「別段の意思表示」を契約書に盛り込んでおけばいいわけです。

 皆さんは、依頼者に、「債権法の改正によって変更されたトコなので、“賃貸人が連帯保証人に履行の請求をした場合には、賃借人にもその効力が及ぶ。”と一文入れておきますか?」って、カッコよくアドバイスすればいいわけです。

 しれっと、カッコよくアドバイスできるのも、その裏で、不安がぶっ飛ぶくらい勉強しているからですよね。

 ふと、自分の中学時代を思い出しました。

 定期テストの朝、友達に、「お前、勉強した?」って聞かれたことがありました。僕は、「いや、昨日はすぐ寝たから、全然勉強していない。」って答えた記憶があります。でも、実は、不安がぶっ飛ぶくらい勉強していました(笑)

 あの頃から、裏で不安がぶっ飛ぶくらい勉強して、表で、しれっとしているズルい?性格は変わっていないのかもしれません(笑)

 では、本試験に向けて、不安がぶっ飛ぶくらい勉強して下さいね!
 

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートする「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。





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当ブログを執筆している中山講師も、梅田校で当コースを担当します。
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