【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第18回「『長期間相続登記等がなされていないことの通知』~分からない知識も、分からない知識だらけになると、分かるようになる!?」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 ちょっと前のお話です。お客さんから、「“長期間相続登記等がなされていないことの通知”が届いたけど、どうすればいいのか?」と問い合わせがありました。

 いつも恥ずかしい話を書いているブログですが、またまたお恥ずかしい内容になります。

 お客さんの問い合わせに、「あぁ~それはね…。長期間、相続登記がされていない土地の所有者の相続人に送られている通知でね…。」と説明できるとかっこいいのですが、僕の中では、「通知!?何、それ?」って感じでした。

 お客さんに知らないコトがバレると、せっかくの依頼が逃げちゃいます。かといって、「知ったかぶり」は、一番やってはいけないことで、「知ったかぶり」で話をすることは依頼者の利益を著しく害することになります。

 そこで、考え抜いて、お客さんに返した言葉が…

 「どこからの通知ですか?」

 完全に知らないことがバレてしまう返答です(笑)

 本当に勉強不足は恥ずかしいです。お客さんは、専門家に聞けば、「知っている」、「分かる」、「教えてくれる」という意識で問い合わせをされます。やっぱり、司法書士法2条にある通り、「業務に関する法令及び実務に精通」することは重要です。

 さて、この通知は、法務局から送られているとのこと。問い合わせのお客さんには、「電話で説明するのではなく、直接、会って説明しましょう」と、うまく?切り抜けて電話を切った後、急いで調べまくりです(笑)

 お客さんと会うまでに、知識をしっかりと入れて説明しないといけないので、それはまるで、司法書士試験の直前1か月前に無理やり、知識を詰め込むような勢いです(笑)


……………(調べ中)……………


何々…。

 死後30年以上、相続登記がされていない土地の相続人を法務局が調査して、国から相続人に相続登記をうながすための通知と…。昨今、所有者が不明の土地が問題となっているので、その対策の一環として通知を送っていると…。

 へぇ~!って、感じです。そんな通知を送っていたんだ~と、完全に勉強不足です。他の司法書士の先生が見ると、「ちゃんと勉強しろ!」と怒られそうです。

 でも、何で法務局は、通知を送っているんだろう?

 ハッ!相続登記をうながして、司法書士のお仕事を増やしてくれているのでは?法務局も親切だな~なんて思いながら、とりあえず、さらに、この通知のことを調べていきます…。

 まず、通知書に書かれている内容を知っておかないと…。お客さんの前で、「通知書は、初めて見ますが、何か?」みたいな顔は依頼者の方を不安にさせちゃいます。

 え~っと、通知書に書かれている内容は…

 ①所有者が亡くなっているのに長期間相続登記がされていない土地について、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)第40条に基づいて、相続人を法務局が調査したこと。

 ②このまま相続登記を放置していたらメンドクサイことになること。

 ③不動産の所在事項

 ④現在の所有権登記名義人(住所、氏名)

 ⑤法定相続人情報の作成番号(0000-0000-0000)

 なるほど、30年以上前に亡くなった所有者の相続人を法務局が調査して、その相続人のうち1名を法務局が任意に選んで通知書を送っているようです。

 相続人にとってみれば、「なんで、自分が相続人だと分かったんだ!勝手に人の戸籍を取得してもいいのか!」なんて、文句が出てもいけないので、きちんと、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第40条第3項に基づき、土地の所有者の死亡の事実の有無や法定相続人を探索するために必要な作業の範囲内で、職務上、戸籍謄本等を請求して取得したことを記載しています。

 ここで気になるのが、「⑤法定相続人情報の作成番号」ですよね。

 何の番号でしょう。
きっと、過去問午後H31-26で出題された「法定相続情報一覧図」のことなのなぁ~と思いますよね。確か、番号が書いてあったなぁ~って感じです。

 一応、過去に依頼を受けて作成した「法定相続情報一覧図」を確認してみると、右上に書いてありました。「法定相続情報番号 0000-00-00000」と。

 これかぁ!と思いつつも、何か違う(笑)

 通知には、「法定相続 “人” 情報の作成番号」、でも、法定相続情報一覧図にあるのは、「法定相続情報番号」。言葉が微妙に違います。

 ただ、ここはO型の性格が発揮します。まぁ、言葉が似ているから同じようなものだろうと、見なかったことにして、スルー。しかし、番号のケタが違います。さすがに、これは違う(笑)きっと、職権で作成したものを「法定相続人情報」と呼ぶのだろうと、自分を説得。とりあえず、通知のことはだいたいわかったので、これで大丈夫!後は、登記記録も確認しておかないと…。ここからは、司法書士として基本的な作業です。しかし、登記記録を見て…うっ!

 何、これ?付記登記が入ってる?全然、大丈夫じゃない!(焦)

 どうやら、相続人全員が確定された場合には、付記で、登記の目的の欄に「長期相続登記等未了土地」と記録され、「権利者その他の事項」の欄に、「作成番号 第0000-0000-0000号 年月日登記」と職権で登記されるもよう。

 作成番号!?これか!って、なんか、分かってないのに、知識がちょっとつながった感じです。分からない知識と、分からない知識がつながって、分かった気になるという不思議な現象です(笑)

 ちなみに、所有者の一部が確定できなかった場合には、付記で、登記の目的の欄に「長期相続登記等未了土地」と記録され、「権利者その他の事項」の欄に、「作成番号 第0000-0000-0000号(相続人の全部(又は一部)不掲載) 年月日登記」と登記されるそうです。

 ここで、さらに分かってなかった知識が突然、つながり始めます(笑)

 個人的に、以前、分からずに、放置していた民事月報の知識です。

 法定相続人情報の作成番号を提供して相続登記をする場合には、添付情報に、登記原因証明情報(作成番号0000-0000-0000)、住所証明情報(作成番号0000-0000-0000)と記載する(民事月報平成30年11月p46)。

 これかぁ!意味がやっと分かった(笑)

 法務局が調査して職権で作成した資料が「法定相続人情報」で、その番号は登記され、その番号を提供すれば、戸籍等が省略できるんだ!

 分からない知識も、分からない知識だらけになると、分かるようになるんだ!と、妙に感動してしまいました(笑)

 もうこれで大丈夫!お客さんにも説明ができます。皆さんも説明してみましょう!さん、ハイ!

 この通知は、相続登記が放置されている土地の相続人を法務局が調べて、「法定相続人を調査しておいたから、相続登記してね~。」というお知らせです。

 この通知書に書いてある番号を書いておけば、戸籍等は添付する必要がないので、戸籍等を集める手間もないので、すぐに相続登記ができますよ!

 こんな説明でしょうか。

 ん!?これだったら、司法書士は、イラナイような…。

 だって、法務局で、戸籍等は調査済み、住所も調査済みで、添付書面としてつけなくていい、となると司法書士のやることがナイような…。

 さっきは、「相続登記をうながして、司法書士のお仕事を増やしてくれているのでは?法務局も親切だな~。」なんて思っていましたが、逆でした(笑)

 お客さんは、書類を集める必要がなく、通知書に書かれている番号を書けばいいだけなので、自分で簡単に相続登記できちゃうわけです。司法書士の仕事を減らしているじゃん!!

 まぁ、この番号だけだと、あくまで法定相続することが前提になるので、別途、遺産分割協議書を作成するのであれば、司法書士の仕事にもなりそうですが…。お客さんにとって、相続登記を司法書士に依頼する理由として、戸籍等を集めることがメンドクサイ!というのがあるわけで、法務局に法定相続人の情報を備え付けられてしまうと、戸籍等の添付が省略できてしまうので、わざわざ司法書士に頼まなくても…なんてなりそうです。

 でもまぁ、この通知のおかげで問い合わせが来たわけだし、通知書にも、「全国の司法書士会において相談の窓口を設けている」と記載してあるので、前向きに考えよう。通知書に、「これだったら、自分でもできますよ。」と記載されたら、本当に困りますよね(苦笑)

 ちなみに、「長期間相続登記等がなされていないことの通知」が届くと、法務局で「法定相続人情報の写し」が取得できます。手数料は、450円とのこと。

 あくまで相続登記を促すために職権で作成した資料なので、「法定相続情報一覧図」のように金融機関等の手続きで使えるものではないので注意が必要です。

 以上、分からない知識が多すぎると、分かるようになる、という不思議な話でした(笑)

 

☜第17回「株式会社と合同会社のどちらをつくればいいですか?~過去問会社法H19-28を手元にご準備下さい(笑)」はこちら

 

第19回「本当はこわい!?従たる権利」はこちら☞ 


<このブログを最初から読みたい方はこちら>

 

中山講師の個人ブログがスタート!「続 まらやの司法書士合格ブログ~宅建ネタも」こちらからぜひご覧ください!


<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートした「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。




<Wセミナー司法書士講座 初学者向けコース「基礎総合コース(2021年合格目標)」開講中!>

基礎総合コースの特長である3Phase Systemは、徹底した本試験分析に基づいて論点を高く網羅するとともに、合格を確実にするための効率の良い学習を両立させました。【基礎論点】→【基礎+応用論点】→【アウトプット+知識の整理】の3段階学習で、全体像と各論を意識しながら知識を定着・ステップアップできます。
当ブログを執筆している中山講師も、梅田校で当コースを担当しています。
2020年6月以降も随時開講します。ぜひご検討ください!

基礎総合コース 詳細はこちら
基礎総合コース 学習法の概要はこちら
基礎総合コース 体験講義動画はこちら

※中上級者向け「択一式対策講座【実践編】」も開講中!中山講師もなんば校にて担当しています。

択一式対策講座【実践編】 詳細はこちら
択一式対策講座【実践編】 体験講義動画はこちら

※直前期もWセミナーで対策は万全!「合格力完成答練」や「全国模試シリーズ」など多彩な講座をご用意しております。「全国模試シリーズ」は受験者のみ視聴可能な特典動画付きです!

「Wセミナー全国模試シリーズのススメ」動画はこちら
「ここだけの話!2020年本試験の大胆予想」動画はこちら

司法書士試験は働きながらだと難しい?中山講師の社会人向けセミナー動画はこちら