【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第21回「株式会社と一般社団法人のどちらをつくればいいですか?~過去問商業登記法H31-35を手元にご準備下さい(笑)」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 第17回の記事で「株式会社と合同会社の設立」について書かせてもらいました。今回の記事は、「一般社団法人の設立」を少し見てみましょう。

 実務的な目線になると、どうしても僕の偏見も入ってしまうので、そのあたりは軽く読み流して、楽しみながらお読み下さい(笑)

 昨年1年間で新設された法人の数では、株式会社、合同会社に次いで3番目に多いのが一般社団法人です。なので、皆さんが開業された後、一般社団法人の設立のご依頼が来ることもあると思います。

 僕が合同会社びいきなのは、第17回の記事を読んでいただけると分かるかと思います(笑)

 手間と、時間と、費用、どれをとっても、株式会社より合同会社をすすめてしまいます。

 では、一般社団法人はどうでしょうか?

 実は、僕が株式会社のよさが分かっていないのと同様、一般社団法人のよさが分かっていません(笑)

 まず、勉強の話から入りましょう。

 一般社団法人の勉強をするとき、「株式会社が分かっていれば大丈夫」とサラッと終わってしまうこともあると思います。

 実際、基金の話は別として、「取締役を理事」に、「監査役を監事」に置き換えてテキストを読むと、ほとんど株式会社の知識で足りることが分かります。

 結局、勉強の中心は株式会社の知識とは異なるところを押さえながら、株式会社の知識で置き換えられるところは、確認する程度で流して勉強するほうが効率もよくなると思います。

 例えば、一般社団法人の定款には公告方法の記載が必要です。株式会社の場合には、公告方法の記載がない場合には、官報になりますが、一般社団法人の場合には、公告方法は定款の絶対的記載事項になるので、記載がない場合には、無効になってしまいます。

 このように違いがあるので、H31-35-ウのように、試験で問われてくるわけですね。

 では、いい機会なので、一般社団法人の定款の絶対的記載事項を口で言ってみましょう!せ~のっ!

 ………(回答中)………

 どうでしょう?言えましたか?

 講義の中で、「定款の絶対的記載事項は、しっかり覚えましょう!」なんて言われるので、しっかり覚えている方も多いと思います。全部で7個ありますね。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の11条1項です。

 (定款の記載又は記録事項)
 第11条 一般社団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
 ① 目的
 ② 名称
 ③ 主たる事務所の所在地
 ④ 設立時社員の氏名又は名称及び住所
 ⑤ 社員の資格の得喪に関する規定
 ⑥ 公告方法
 ⑦ 事業年度

 株式会社の定款の絶対的記載事項と比べて特徴的なのは、⑤号~⑦号あたりですかね。しっかりと確認しておきましょう。

 では、このあたりから実務の話も織り交ぜながら、書いていきます。

 株式会社も、一般社団法人も、営利事業をすることが可能です。株式会社は当然の話ですが、一般社団法人も、儲けるために設立ができるわけで、その点では株式会社とは何の違いもありません。

 基金の話を置いておくと、株式会社と一般社団法人の違いは、「儲けたお金を配れるか?」という点になります。

 一般社団法人を学習済みの方は思い出して下さい。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の11条2項には、「社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。」と書かれていて、一般社団法人で儲けるのはいいけど、剰余金の配分はダメだと習ったと思います。

 ここから少し僕の偏見が入ります(笑)

 一般社団法人って、僕にとっては、同じ趣味を持った人の集まりです。サークルみたいなものです。その団体に法人格を与えているだけです。


 なので、必ずしもいい趣味を持った人が集まるわけではないので、一般社団法人が悪用されているニュースもよく見かけると思います。

 僕の中では、一般社団法人は株式会社の劣化版の位置づけなので、「それなら、株式会社の方がいいのでは?」と思ってしまいます。

 なんか、危ないことを書いていますか?(笑)これでも、ちょっと遠慮して書いているつもりです。最近もニュースになった、悪用されている一般社団法人の例を書こうと思ったのですが、政治的なことを予備校のブログで書くのは大問題だと思ったので、グッと我慢しました(笑)

 僕の偏見は、ここまでです。

 一般社団法人は人の集まりですから、「一般社団法人 TACで司法書士試験の勉強をする会」のようなものを設立してもいいですし、「一般社団法人 TACのテキストを読み込む会」のようなものを設立してもいいので、一般社団法人が悪い人の集まり、というわけではありません(笑)

 法人の設立のご依頼の中で、「株式会社と一般社団法人のどちらがいいですか?」と聞かれた場合、僕は、株式会社をすすめることが多いです。

 確かに、登録免許税は株式会社の方が高くなりますが、一般社団法人も定款の認証がいるので、意外と費用がかかります。

 司法書士が依頼を受けた場合には、定款の認証は、定款をPDF化して、司法書士がそこに代理人として電子署名して、電子定款で認証をもらうことになることが多いと思います。

 電子認証をすると印紙代がかかりませんが、それでも、株式会社と同じように、電子定款の認証で5万2000円~5万3000円くらいはかかってきます。

 株式会社と同じだけのお金を使って、定款の認証をもらうのであれば、株式会社でいいような気がします。

 また、株式会社の定款の認証の際、「暴力団やテロリストが設立する株式会社じゃないです!」って申告書(実質的支配者の申告書)を出すのですが、そのことは一般社団法人も同じです。司法書士が申告書をサラッと書いて、FAXやメールで送ることが多いと思います。

 要するに、一般社団法人も、設立の登記までの準備段階の費用と手間が結構かかるので、「同じ趣味の人が集まるのに、そこまで必要ありますか?」ってなってしまいます(笑)

 その点、合同会社は、定款認証の必要がないので、この時点でかかっている費用は、法人の実印や銀行印の費用くらいです。

 合同会社は、その後、組織変更で株式会社に変えることができますが、一般社団法人が、株式会社に変わることはできないですよね。

 法人設立後のランニングコストを考えても、株式会社は取締役の任期を10年に伸ばせば10年ごとに1万円の登録免許税が発生するのに対して、一般社団法人は、2年ごとに理事の変更登記のコストがかかります。合同会社は、業務執行社員や代表社員に変更がなければ、費用はかかりません。

 やはり、一般社団法人のよさが分かりません(笑)

 あえて、一般社団法人のよさを探してみると、「理事」って肩書は、なんかカッコいい!って、思うくらいです(笑)

 さて、それでも、どのような法人を設立するかは、お客さんのご希望次第です。お客さんが一般社団法人の設立をご希望されているのであれば、お手伝いさせて頂きましょう!一般社団法人の設立をする際の話として、最初に見た定款の話をもう少し書いてみます。

 もう一度、定款の絶対的記載事項を見てみて下さい。どうでしょう。全部イメージできますか?

 初めて、一般社団法人の定款を作成したときに悩んだのが「社員の資格の得喪に関する規定」の部分。講義では、同じ趣味を持った人の集まりなので、例えば、「一般社団法人 司法書士試験に合格しよう会」の資格は、「TACの講座の受講生」とか、「現在、司法書士の勉強をしている人」って、書いておけばいいと、口では簡単に伝えるのですが、いざ定款に書くとなると、資格や喪失については、どのように書いたらいいのか、結構悩ましいです(笑)

 上で書いた社員の資格がある場合、例えば、次のような方が、「一般社団法人 司法書士試験に合格しよう会」のメンバーに参加したい、となった場合、どうでしょうか?

 「まだ、司法書士試験の勉強するか、悩んでいるんですけど…」とか、

 「今の会社を辞めてから、司法書士試験の勉強をしたいと考えているんですけど…」とか、

 「彼女が司法書士試験の勉強を始めると言っているので、僕は勉強しないけど、一緒にメンバーに入って、僕も彼女のそばで応援したいんですけど…」とか、

 「TACの講座の受講生」、「現在、司法書士の勉強をしている人」の資格を満たしません。いろいろ個別の事情も出てきそうです。でも、全員参加させてあげたいですよね(笑)

 そんなことを考えていたら、「えっ?どうやって書くんだろう」って、最初悩みました。試験勉強で習ったことを、実際に、実務で書くとなると、意外と見えていない部分があることに気づきます。

 こんな場合は、「当法人の目的に賛同して入社した者」って書いておけばいいです。つまり、「一般社団法人 司法書士試験に合格しよう会って、いいねぇ~って気に入ってくれる人はウエルカム!」って書いておけばいいわけです。

 社員の資格の喪失については、退社とか、死亡、除名、会費を払わないとかが一般的ですが、最近は、「成年被後見人又は被保佐人になったとき」を入れるかどうかで悩むことが多いです。

 時代の流れですね(笑)

 皆さんが合格された後、株式会社、合同会社、一般社団法人、うまくメリット、デメリットを説明して、お客さんが満足されるようなアドバイスをしてあげて下さい。僕のように合同会社一択!にならないようにして下さいね(笑)

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、今年から新たにスタートした「基礎総合コース」の他、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。