【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第30回「司法書士試験は本当に難しいのか?」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 つい先日まで、「暑い!暑い!」と文句を言っていたかと思えば、もう、11月になると「寒い!寒い!」と文句をいう時期になってしまいました(笑)

 秋はどこに行ってしまったのでしょうか?

 秋と言えば、勉強の秋。これから、司法書士試験の勉強をスタートしてみようかな?という初学者向けの「20ヵ月本科生」が開講する時期でもあります。

 このブログをご覧の方の中には、「司法書士試験受けたいけど難しいのかなぁ…。自分にできるかなぁ…。」ってお悩みの方もおられると思います。

 今日は、そんなお悩みの皆さんに、「司法書士試験受けたいけど難しいのかなぁ…。自分にできるかなぁ…。」に対する一つの回答を示してみたいと思います。一人の講師の回答として、参考にしていただけたらと思います。

 では、いきなり回答です(笑)

 「司法書士試験は、めちゃくちゃ難しいです。でも、誰でもできる。」と、僕は、大真面目に思っています。

 まず、「司法書士試験は、めちゃくちゃ難しい」の部分ですが、本当に難しい試験です。


 今回は、過去5年の試験を参考にしながら、検討してみたいと思います。なお、この原稿を書いている時点では、令和2年度の本試験の筆記試験の基準点は発表されていないため、過去5年は、平成27年~平成31年(令和元年)で検討していきます。

 まずは、ベタですが、合格率を見てみましょう。

 出願者数ベースではなく、受験者数ベースで合格率を見てみると、法務省の最終結果の資料では、以下のようになっています。(小数第二位四捨五入)

 H27(3.9%)
 H28(3.9%)
 H29(4.1%)
 H30(4.3%)
 H31(4.4%)

 10年ほど前までは、合格率は約2.8%だったので、随分、合格率が上がったなぁ…というのが本音です(笑)

 それでも、約4%前後ってコトは、当たり前ですが、100人受験したら96人は涙をのむ、ということです。

 従って、めちゃくちゃ難しい試験であることが分かります。

 ただ、この点は逆に試験に対するやりがいとしてとらえて頂いたらいいと思います。誰でも簡単に受かるような試験だと、「ありがたみ」がなくなります。


 専門職として社会貢献できるのは、誰でも簡単に合格するような試験ではなく、難しい試験に合格しているからこそ、ってコトです。

 他人が知らない、難しいことを知っているからこそ、お仕事になるわけです。

 ということで、「司法書士試験は、めちゃくちゃ難しい」の部分については、これから司法書士試験を目指す、あるいは、もうすでに目指している皆さんにとっては、ありがたい話だと思って下さい。

 では、次に、「誰でもできる。」の部分の検討です。

 司法書士試験は、択一試験、記述試験、口述試験に分かれますが、合格の勝負どころとなるのは択一試験になります。

 なぜなら、午前と午後の択一試験を突破しないことには、記述試験の採点すらしてもらえないからです。


 例えば、平成31年の試験であれば、受験者数1万3683人に対して、択一試験(午前・午後)を突破している受験生は、わずか2006人です。

 択一試験(午前・午後)を突破して記述試験の採点をしてもらえている受験生の割合は、以下のようになっています。(小数第二位四捨五入)

 H27(12.6%)
 H28(13.6%)
 H29(14.1%)
 H30(14.8%)
 H31(14.7%)

 こちらも10年ほど前は、上位10%くらいが記述試験の採点の対象というイメージだったので、随分、ハードルが下がっているような気がします。

 それでも、受験生の上位15%程度には入らないと次のステップ(記述試験の採点)には進めないので、択一試験が本試験の勝負どころと、考えていいと思います。

 ちなみに、記述試験の採点がされれば、人並みに書ければ(記述の採点者の平均+1点レベル)記述試験の基準点は突破できます。

 よって、択一試験で上位15%に入ることができれば、合格の扉が見えてくることになります。

 「でもな…上位15%ってキツイんじゃ…。」って思った、そこのアナタ。

 確かに、「上位15%」って数字を見ると難しそうに見えるのですが、要するに、択一試験の午前と午後の基準点を突破すればいいわけですから、違う角度から数字を見ると意外と急所があることが分かります。

 それは、出題形式です。ただ、その前に択一試験の午前と午後の基準点を確認しておきます。(午前、午後とも35問中の基準点)

 H27(午前30問・午後24問)
 H28(午前25問・午後24問)
 H29(午前25問・午後24問)
 H30(午前26問・午後24問)
 H31(午前25問・午後22問)

 平成27年の午前の基準30問は高いですよね。35問中、30問を正解しないといけないわけですから、ケアレスミスが命取りになるレベルです。

 さて、ここで、出題形式の話をします。

 司法書士試験の択一試験の出題形式は、①組合せ問題、②単純正誤問題、③個数問題の3パターンに分かれます。

 ①の組み合わせ問題とは、5つの設問(ア~オ)の中から正しいもの(又は、誤っているもの)を2つ見つけて、正解肢の組み合わせを選ぶ問題です。

 例えば、

 1 アイ 2 アウ 3 イウ 4 イエ 5エオ

 のように、選択肢が示されていて、例えば、正しいものを選ぶ組合せ問題で、アとウが正しいのであれば、正解肢として「2」を選ぶような問題です。

 ②の単純正誤は、1~5までの設問の中で、正しい(又は、誤っている)ものを1つ選び出す問題です。

 そして、③の個数問題は、5つの設問(ア~オ)の中から正しいもの(又は、誤っているもの)がいくつあるか、個数をあてる問題です。

 ここで、過去5年間の①の組合せ問題の数を確認してみます。

 H27(午前33問・午後29問)
 H28(午前28問・午後33問)
 H29(午前30問・午後34問)
 H30(午前32問・午後35問)
 H31(午前31問・午後31問)

 さて、どうでしょうか?
 ん!?何が!?と思った方!基準点と比べてみて下さい。

 組合せ問題だけで、基準点は楽に突破できることが分かります。つまり、択一試験突破のカギは、組合せ問題を看破することにあります。

 そして、ここからが重要です。組合せ問題には急所があります。

 つまり、設問のア~オの全部が分からなくても、選択肢の組み合わせを見ることで正解にたどり着けてしまう、というラッキーな問題形式になります。

 運がよければ、ア~オの中で、知っている知識が2つあれば正解にたどり着けます。運がよくなくても、ア~オの中で、知っている知識が3つあれば、ほぼ正解にたどり着けます。

 重要なのは、この「知っている知識が3つあれば、ほぼ正解」という部分です。5つの設問中3つの設問の正誤を見抜けば、選択肢の関係で、ほぼ正解を出すことができるわけです。

 「5つの設問中3つの設問の正誤」ということですから、解く問題の60%が分かれば、選択肢の関係から、ほぼ正解にたどり着けて、しかもそれだけで、基準点が突破できるだけの問題数が準備されているわけです。

 どうでしょう?

 「上位15%」と聞くと身構えちゃった人も、「問題を解いて、書かれている内容の60%分かれば高確率で正解できますよ。」と聞くと、見え方も変わってくるのではないでしょうか?

 まとめます。

 司法書士試験は、本当に難しい試験だと思います。ただ、それは、受験を目指す皆さんにとっては、試験に合格した時のありがたみになるメリットしかありません。

 また、これから受験を目指される方にとって、あるいは、既に目指されている方にとって、「合格可能な試験ですか?」と問われたのであれば、試験の本質(組合せ問題だけで択一試験が突破でき、組合せ問題は、設問5肢中、3肢の判断ができれば90%ほどの確率で正解すること)が分かれば、意外と合格は身近に感じることができると思います。


 設問5肢中、全部の設問を正確に判断する試験だと思ってしまうと大変ですが、5肢中3個、10肢中6個、正確に判断できればよいだけです。

 「難しいから、できない。」とは思わないで下さい。「難しくても、できます。要はやり方の問題です。」それが僕の回答です。ご参考にしていただけたらと思います。


 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、初学者対象の「基礎総合コース」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。