【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第44回「ハンコはどこまで減った?
~試験対策も兼ねてみる」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 脱ハンコについては、このブログの中でも何回か書かせていただきました。

 一時期は、世の中からハンコがなくなりそうな勢いでしたが、その後、どうなっているのでしょうか?

 今回は、試験対策を兼ねながら、僕の周りで実際、ハンコや印鑑証明書の添付がどうなっているかをみてみましょう。あくまで、受験生の皆さんは、試験対策をメインに確認してみて下さい。

 まずは、不動産登記から。

 ①法人の印鑑証明書の添付省略(不動産登記規則48条、令2.3.30民二318号)

 不動産登記の申請をする場合に、会社法人等番号を申請書に書けば、法人の印鑑証明書はイラナイって改正ですね。

 申請書には、「印鑑証明書(会社法人等番号0000-00-000000)」のように記載します。

 決済の現場では、半々かなぁ…。省略するの…。もしかしたら、印鑑証明書を添付する方がちょっと多いかもしれません。

 やっぱり印影を現場で確認するのが司法書士のお仕事なので、「会社法人等番号を記載したから印鑑証明書は持ってきていません。」とは、すんなりならないような気がします。

 ②法定相続情報一覧図の写しの交付の申出の押印関係(不動産登記247条3項)

 法定相続情報一覧図の写しの交付の申出書に押印が要らなくなったのと、申出人の本人確認の書類への押印が不要になりました。

 こちらは、法務局から指摘されるので、ほぼ100%の運用ですね。

 この改正を知らない方も多いので、申請書に押印されて持って来られる方もおられますが、この部分については、そのうち、きれいに押印の世界がなくなる感じがします。


 では次に、商業登記を見てみましょう。

 ①印鑑提出の任意化(商業登記法の改正関係)

 法人が法務局に印鑑を提出することが任意化された大きな改正でしたが、僕の周りでは、何も影響が出ていない状態です(笑)

 会社の設立においても、普通に、印鑑を提出しているし、管轄外の本店移転の場合にも、印鑑届書を出しています。

 ちなみに、管轄外の本店移転の場合に、引き続き新所在地において印鑑を提出する場合には、商業登記法51条1項後段が削除されたため、同時経由を要しないことになりましたが、商業登記規則35条の2の規定が新設されたことにより、本人申請であれば書面で申請する場合、代理人による申請であれば書面の委任状を添付する場合には、印鑑の提出を同時経由することになります。

 それにしても、「印鑑の提出が任意になったんだよね?」という、お客さんからの相談やご質問を受けることもなく、何事もなかったかのように、お仕事をしています(笑)

 試験との関係では、この改正に伴って、登記の申請の却下事由に関する商業登記法24条7号が削除されています。また、商業登記法24条4号も改正されているので確認しておきましょう。

 また、商業登記法87条3項、商業登記法91条3項の規定も削除されているので、確認が必要です。過去問の正誤にも影響が出ています。

 ②押印規定の見直し(令2.1.29民商10号)

 法令上、押印又は印鑑証明書の添付を要する規定がない書面については、押印の有無について審査を要しないとされました。

 例えば、「株主リスト」、「資本金の額の計上に関する証明書」が通達で紹介されています。「株主リスト」については、試験との関係でも重要かもしれません。

 実は、「法令上、押印又は印鑑証明書の添付を要する規定がない書面」って多かったりします。

 「株主リスト」や「計上書面」以外にも、「発起人の同意書」、「総社員の同意書」、「取締役及び監査役の調査報告書」、「払込があったことを証する書面」、「募集株式の引き受けの申込みを証する書面」、「総数引受契約書」、「新株予約権の行使書面」、「吸収合併等の契約書」、「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面(株主名簿)」など、

 結構、たくさんあります。

 そして、審査対象にならないと分かっていながら、やっぱりハンコを押している自分がいます(笑)

 商業登記規則49条2項の原本還付において還付請求書に添付した還付請求書に当該書類と相違がない旨を記載した謄本の押印の有無や、商業登記規則61条7項の「本人確認証明書」として添付した証明書の謄本の押印についても審査されないことになりましたが、コピーにハンコを押さないと、気持ち悪いので、バンバン押しています(笑)

 訂正印や契印も、法令上の根拠がなければ、その有無は審査の対象ではないのですが、やっぱり気持ちの一言。

 このあたりは、「慣れ」だとは思うので、ダンダンと押印しなくなっていくのかもしれません。

 結局、不動産登記も商業登記も、僕の周りでは、あまり変わっていません(笑)

 ただ、試験対策としては、かなり変わっているので、ここに出てきた条文等を確認しつつ、万全の状態で試験に臨んで下さいね。

 本試験まで残り1か月を切りました。焦る気持ちもあると思いますが、1つ、1つの知識を丁寧に確認して知識の精度を高めて行って下さいね。

 

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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、初学者対象の「基礎総合コース」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。