【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第45回「最近増えてきた相談」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 今日は、「最近増えてきた相談」のお話です。合格した後、自分の得意とする分野にしておくと有利かもしれません。

 あっ、「相続登記の案件でしょ?だって、相続登記が義務化されることになったからね。その話は知っているよ。」と思った、そこのアナタ!違います(笑)

 最近、増えてきたのは、労働関係の案件。

 僕は専門で労働事件をやっているわけではないのですが、司法書士と言えば、「街の法律家」というイメージがあるためか、「とりあえず、司法書士に相談してみよう!」という感じで相談があります。

 なので、皆さんも、合格された後、労働事件の実務をいろいろ勉強してみると、ちょっとした強みになるかもしれません。

 よくある相談は、大きく分けて、2つ。

 1つは、パワハラ関係の相談。もう1つは、未払い給料の相談。

 このコロナ禍のご時世で、「会社が倒産して、未払い給料の相談もあるのだろうな。」というのは、想像に難くないと思います。

 ただ、僕の周りでは、なぜか、パワハラの相談の方が多いです。

 ただ、パワハラの相談って、デリケートな問題で、とにかく取り扱いが難しいです。

 人って、それぞれ感じ方が違うので、人によっては何でもないことが、ご本人にとっては、辛いコトである場合もあります。また、普段使っている何気ないひと言が、ある人にはパワハラと捉えられている可能性もあります。

 極端な話、職場では、嫌なコトや、ギスギスする人間関係、仲の良い人、仲の悪い人がいるのはよくあることで、一概にパワハラといっても、各々、感じ方が違うので、本当に難しい問題です。

 また、本当に、例えば上司からパワハラを受けているような場合に、司法書士等に相談に行ったコトがバレたら、さらにパワハラを受ける可能性もありますし、周りの目を気にして、かえって職場に居づらい環境になるかもしれません。

 なので、とりあえず、相談者のお話を伺って、気持ちに寄り添うことに重点を置いています。そして、相談者の方がどうしたいのか、探り探り、お話を伺います。

 お話を伺うだけで、気持ちがスッキリされるケースもあれば、会社に一言物申す的な気持ちが変わらない方もおられます。

 「一言物申す」的な場合には、労働基準監督署への相談をすすめています。

 全国の労働基準監督署に総合労働相談コーナーの窓口が設けられていて、女性の相談員の方も待機されているところも多いので、男性の方も、女性の方も相談しやすくなっています。どうしても、会社に一言、という方については、まず、そちらで相談をすることをすすめています。

 場合によっては、労働基準監督署から指導が入って解決するかもしれません。

 ただ、労働基準監督署が必ずしも、対応してくれるとも限りません。また、慰謝料請求に付き合ってくれるわけでもないので、いったん、総合労働相談コーナーで相談を受けて頂いて、その後、こちらでお手伝いできることがあれば、という形で相談にのることが多いです。

 また、お給料の未払い給料の相談も、労働基準監督署に行ってもらうコトが多いです。ただ、パワハラの相談とは異なって、こちらは「相談」ではなく、「申告」に行ってもらいます。要するに、「会社が、違法なコトしていますよ!」って「通報」してもらうわけです。

 そして、お給料の未払い給料の相談で気をつけないといけないのは、時効の問題です。

 これはお給料に限ったことではないですが、消滅時効には気をつけないと本当に見落としてしまうと大変なことになります。

 司法書士がのんびりしていたから、債権が消滅時効で消えてしまった。なんてことになると、司法書士が損害賠償されちゃいますよね。

 消滅時効といえば、民法で大きな改正がありましたよね。その影響を受けて、お給料等の請求権の消滅時効も改正されています。

 労働基準法という法律の115条に規定があります。

(時効)
第105条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。


 この改正によって、令和2年4月1日以降に支払期日が到来する賃金請求権については、消滅時効が5年になりました。

 とは言っても、令和2年3月31日以前に支払期日が到来している賃金については、旧労働基準法115条が、賃金請求権の消滅時効を2年(退職金請求権については5年)としていたため、2年から急に5年に消滅時効が延長されると、会社に与える影響も大きく、混乱し、紛争の早期解決が望めなくなるので、経過措置として、労働基準法143条が置かれ、その3項で、当分の間、賃金については3年の消滅時効(退職金請求権は現行通り5年を維持)とされました。

第143条
3 第105条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から3年間」とする。


 この当分の間については、附則3条で、令和2年4月1日から5年間とされています。

 なので、しばらくは、お給料であれば時効は3年間と考えておけばいいと思います。

 そして、消滅時効の完成が近いのであれば、内容証明郵便等で「催告」しておかないと、あとで大変なことになるのでご注意を。

 「催告」してから、会社との交渉になると思いますが、意外と、この交渉で終わることが多いです。

 労働審判や裁判になってくると、弁護士案件になってくると思うので、その場合には弁護士さんにお願いするしかないですね。

 ということで、今回は、最近、ご相談が多い「労働事件」について書いてみました。

 司法書士って、僕も含めて、労働事件に明るくないと思います。それでも、労働事件の相談がちょこちょこ来るのも事実です。

 できれば最低限の勉強はしておきたいものです。

 ちなみに、会社が倒産してしまった場合には、「未払賃金立替払制度」という制度があります。未払い給料や退職金の立替払いの制度があることは知っておいて、「確か、こんな制度があるはずですよ。」くらいの説明ができるようになっていたら、ご相談者も頼りにしてくれるかもしれません。

 合格してからも、いっぱい勉強できるので、楽しみにしておいて下さい。

 確か、この記事のアップは、6月22日だったはず。本試験の約10日前に、試験と全く関係のない範囲でゴメンナサイ(笑)

 もう少し、試験にも役立つ範囲の方が良かったですね(笑)


☜第44回「ハンコはどこまで減った?~試験対策も兼ねてみる」はこちら


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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働き、本試験直前まで仕事を続けながら合格。「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の合格した経験をもとに、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。「親身に、身近に、そして丁寧に」をモットーに講義を実施。
Wセミナーでは、初学者対象の「基礎総合コース」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。