【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第54回「商業登記の裏技」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 今日は、商業登記のお話。不動産登記がほぼメインをしめる司法書士の業務ですが、商業登記のご依頼も、ボチボチ処理しています。

 個人的には、商業登記の場合には、司法書士に依頼することなく、会社の従業員の方が事務的に、商業登記の登記をしてしまうことが多いような気がしています。

 とはいえ、商業登記のご依頼も、ボチボチ来るので、どのようなご依頼が来るのか、参考程度に知っておくと、日々の受験勉強の気合いが入るのではないでしょうか?(笑)

 合格した後の準備を兼ねながら、興味を持って、商業登記の記述の勉強をして行こう!というのが、本日の狙いです(笑)

 さて、商業登記の記述の試験のメインと言えば、「役員変更」の登記でしょう。

 試験勉強の中では、取締役が任期満了で退任するだけでなく、同じ会社の中で、役員が亡くなったり、辞任したり、欠格事由に該当したり、解任されたり、破産したりと、いわゆる「呪われた会社」状態になります。

 受験生の方は、役員のタイムチャートの作成に時間をかけて、申請が2回に分かれる場合には、役員の権利義務承継に注意をしながら、丁寧に役員の退任や就任を判断していきます。

 途中に、事業年度変更なんかが決議された日には、もう大変!苦手な受験生の方も多いと思います。

 実務では、当然ですが、そのような「呪われた会社」に出会うことはないです(笑)

 実際にご依頼を受けることが多いのは、普通の任期満了に伴う重任の登記が、ほぼ全て。

 しかも、ご依頼というよりも、会社の設立にかかわった会社の場合には、こちらから「そろそろ任期満了しますので、重任の登記が必要です。」と声をかける感じです。だから、こっちが任期を覚えておく必要があります。忘れたら、こっちの責任問題(笑)

 お客さんの中には、「次も、同じメンバーなんだから、役員の変更の登記はイラナイだろう?」って思っておられる方もおられて、意外と任期を知らなかったり、任期を満了したら重任の登記が必要となることを知らなかったりします。

 この前も、お客さんと「来年は役員変更の登記が必要ですよ。」って話をしていたら、たまたま「事業年度の変更したんですよ~。」って話になって、「それだと、年内に重任の登記をしないとダメですよ!なんで、事業年度の変更をしたら教えてくれないんですか!」って、ちょっと切れ気味に言っちゃいました(汗)

 まぁ、一度も「事業年度の変更をしたら連絡下さい。」とは言ったことはないんですが…(笑)

 このようなイレギュラーな場面もあったりもしますが、ほぼ役員変更は平和です。重任か、役員の追加か、死亡くらい。

 死亡の場合には、任期中の死亡なのか、任期満了後の死亡なのか、定款で任期を確認するのは、本試験と同じです(笑)

 役員変更のご依頼よりも多いのは、「設立」と「本店移転」の登記。

 どちらも多いです。

 本店移転の方が多いような気もしますが、どちらも、本当にご依頼が多いので、今のうちにしっかりと確認しておきましょう。

 実は、本店移転が多いということは、意外と多いのが、代表取締役の住所変更の登記。

 個人の自宅で会社を経営されているケースも多いので、「会社の引越=代表取締役の引越」になっていることも多いです。

 代表取締役の住所変更の登記も、特段、住民票等の添付書類が必要となるわけではないので、特に難しい登記ではないのですが、意外とドキッとするのが、代表取締役の重任の登記のケースで、代表取締役の住所が変わっている場合。

 例えば、「令和3年10月25日重任」の登記をする際、代表取締役の住所が、「実は1年くらい前に引っ越して変わっていました。」なんて場合はどうしましょうか?

 権利変動の過程を忠実に反映する不動産登記の感覚では、①代表取締役の住所の変更登記をしてから、②代表取締役の重任の登記をするという感じですが、実務上、新しい住所を記載して重任の登記をするだけです。

 ホントに、これでいいの?って、感じですね(笑)

 ただ、辞任等の退任場合には、①住所の変更をしてから、②辞任等の退任の登記をすることになりますが、例えば、辞任届に住所を書かなければ、問題なく登記されることになります。

 「裏技」というか、ホント大丈夫?って、レベルです。

 そういえば、先日、募集株式の発行の登記で、1人しかいない株主さんに、募集株式の発行をして、増資をしました。

 受験生の感覚では、「株主割当て」による募集株式の発行になるので、募集株式の発行の募集事項の決議から申込日まで2週間が確保できているかの確認が必要になります。

 ところが、今回は、決議の日から申込日まで2週間確保できていませんでした。しかも、増資を急いでおられる。

 ここもまた受験生の感覚としては、「期間短縮に関する全員の同意書」みたいなコトバが頭によぎると思います。

 でも、実務上は、ここも「裏技」が発動です。

 「株主割当て」ではなく、「第三者割当て」に変えちゃえばいい(笑)

 どうみても、内容は「株主割当て」なのですが、募集株式の発行の決議をした株主総会の議事録に、の「株主割当て」のところに二重線を引いて、「第三者割当て」って書いちゃう!

 これで、「第三者割当て」のできあがり!

 受験生の感覚としては、「間違ってるんじゃないの?」って思われると思います。個人的には、僕も間違っていると思います(笑)

 でも、この「裏技」、何の問題もなく登記が受理されます。

 実務上、よく使われていると思います。なので、僕の中では、募集株式の発行と言えば、「第三者割当て」“一択”です。「株主割当て」が存在していません(笑)

 答練や、模試で、「株主割当て」で、募集株式の発行の決議から申込日まで2週間ない場合には、実は、株主総会の議事録を「第三者割当て」に訂正したくなる気持ちを押さえながら、「この場合には期間短縮に関する全株主の同意書が必要ですね。」なんて説明している僕でした(笑)

 商業登記もいろいろと試験勉強とは違う面白さがあるので、皆さんも合格したら、ぜひ「裏技」を発見してみて下さいね!



☜第53回「亡くなった人が書いた委任状?」はこちら


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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働きながら、2010年10月に司法書士試験に合格。堺市の個人事務所、大阪市内の司法書士法人で勤務して実務を学ぶ。合格して1年後の2011年10月に個人事務所を開業。以後、葬儀・墓地の相談を中心に、法人等の顧問として活躍。また、法務局の登記相談員として幅広く、登記の相談も受けている。Wセミナーでは、「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の経験を基に、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。
Wセミナーでは、初学者対象の「入門総合本科生(旧 基礎総合コース)」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。