【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第55回「抵当権“一部”抹消の登記」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 今日は、「抵当権“一部抹消”の登記」のお話。

 司法書士の受験勉強が進んでいる皆さんであれば、「“一部”抹消の登記?あれ?授業で、不動産登記法には、“一部抹消の登記はありません。”って習ったんだけど…。」って、ツッコミが入るところですよね(笑)

 これから、受験勉強をスタートされる方は、不動産登記法には一部抹消なるものはありませんので、ご注意を。

 では、僕が今日、ご紹介しようとしている「抵当権“一部抹消”の登記」とは何か?かなりレアな登記です(笑)

 しっかりと勉強されている受験生の方なら、「“抵当権の及ぼさない変更の登記”のコトかな?」なんて思っているかもしれません。

 確かに、分譲地などで、順次、土地の区画を売却しながら、抵当権を一部はずしていく登記ですよね。でも、そのお話ではありません。

 ちょっと珍しいのですが、実務上、「抵当権“一部抹消”」と呼ばれているものがあります。正確には、「抵当権消滅」と呼ばれるもの。

 たまたま、先日、この事案に出会いました。ご依頼者さんの了解も得ているので、ちょっとご紹介しようと思います。

 今回、土地の売買があったわけですが、買主さんが買ったのは、隣接する土地の一部。

 つまり、「お隣の土地の一部だけを買おう!」という契約です。土地の一部を購入するためには、土地を分ける作業、分筆の登記というものが必要となります。

 分筆の登記は、司法書士のお仕事ではなく、土地家屋調査士さんのお仕事になります。

 そして、今回購入されるお隣の土地の一部ですが、お隣の土地には抵当権がついていました。

 抵当権がついている土地でも、分筆の登記は可能です。ただ、この場合、分筆されても、分筆して分けた両方の土地に抵当権が残ります。

 通常、このケースだと、分筆後、売買で購入する土地の抵当権を抹消してから、土地の所有権を移転することになるのですが、これだと登録免許税で1000円かかってしまいます。

 この1000円をケチれないか?というお話。

 ここからは、土地家屋調査士さんのお仕事になるのですが、土地の分筆の登記と同時に、一筆の抵当権を消滅させることができます。

 これが、「抵当権“一部”抹消」の登記。

 分筆の申請書に、「抵当権消滅承諾証明情報」を添付します。銀行等の抵当権者が、分筆した土地の一筆の抵当権が消滅することについて承諾をしたことを証する情報です。

 抵当権者にお願いして、「分割前の土地について抵当権が設定登記済みのところ、今般、分割する土地(別紙測量図の~)については、抵当権の消滅を承諾します。」と承諾書を出してもらうことになります。

 これによって、分筆と同時に抵当権が一部消滅して、抵当権が消滅した方の土地については、登記事項証明書に抵当権が転写されません。

 また、抵当権が残った土地については、抵当権に付記されるカタチで、「分筆後の⬤番の土地につき1番抵当権消滅」と職権で付記されます。

 分筆と同時に抵当権が一部消滅するのか、抵当権を残しながら分筆して、その後、抵当権を抹消するのかは、金融機関によると思います。おそらく、後者の方が多いと思いますが、前者のような“一部抹消の登記”という非常にレアな登記に出会えることもあるので、登記を楽しんで下さいね(笑)



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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働きながら、2010年10月に司法書士試験に合格。堺市の個人事務所、大阪市内の司法書士法人で勤務して実務を学ぶ。合格して1年後の2011年10月に個人事務所を開業。以後、葬儀・墓地の相談を中心に、法人等の顧問として活躍。また、法務局の登記相談員として幅広く、登記の相談も受けている。Wセミナーでは、「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の経験を基に、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。
Wセミナーでは、初学者対象の「入門総合本科生(旧 基礎総合コース)」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。