【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第66回「相続放棄ができるのか?①」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 先日、かなり難しい相続放棄のご依頼がありました。正直キツい…。

 まだ、この原稿を書いている段階では、家庭裁判所への申述をする前になるので、どうすればいいのか…結構、悩んでいます。

 ご相談内容は、事件を特定されない程度で書くと、20年以上前の相続の放棄。

 今まで、3年前や、4年前の相続の放棄は、よく扱っているので、慣れているのですが、今回は、相続開始から時間が経ち過ぎています。かなり特殊なケース。

 相続開始から時間が経っていても、その後、債権者からの請求があったり、借金が判明したりしたのであれば、その日を「相続の開始を知った日」として相続放棄の申述をすればなんとかなるケースが多いのですが、今回は全く違います(汗)

 当時から死亡の事実を知っていることはもちろん、その際、自分が第1順位の相続人になっていることもご存知です。

 20年以上経過した今、突然、債務が判明したわけでもなく、仮にあったとしても、消滅時効は完成しているわけで、特に債権者から請求が来ることもないでしょう。

 要するに、相続放棄の理由が「う~ん…」って感じ。

 もちろん、ご依頼があったわけですから、それなりに相続放棄の申立に至った動機はあるわけですが、僕としてはかなり弱い理由に感じています。

 かなり特殊なケースになると思うので、ここで理由は書けないですが、正直、「こんな理由で…!?」って感じで、悩んでいます。

 さらに追い打ちをかけるように、困った状態が…。

 相続放棄の申立は、亡くなった被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述するのですが、同居されていたので、最後の住所は分かっているのですが、それを証明するものがない…(苦笑)

 亡くなった人でも、5年間は、住民票の除票や、戸籍の附票が取得できるのですが、さすがに20年以上経過してしまうとかなり厳しい。

 住民票の除票は、市役所にたずねてみたところ、瞬殺で、「あるわけないでしょう。司法書士の先生ならご存知では?」みたいな感じで玉砕。

 こうなってしまうと、家庭裁判所で受付すらしてもらえない可能性が出てきそうな予感。とりあえず、お客様の方には、「間違いなくここ住所がありました。信じて下さい!」と「上申書」を作成するので、郵便物でもいいので、当時の住所が分かるものとかありませんか?と聞いてみたものの、予想通り、やっぱり何も残ってない…。

 家庭裁判所の管轄も証明できなければ、相続の開始から20年以上も経過して、さらに相続放棄の理由も弱い…なかなかな案件だと思いません?(汗)

 おそらく、この記事がアップされて、次回の記事の原稿として「相続放棄ができるのか?②」を書くころには何らかの結果、あるいは、方向性が出ているのでしょうが、今は、生きた心地がしません。

 もちろん、お客様には、難しい旨は伝えていますし、間違っても、「大丈夫です!安心してお待ち下さい!」みたいな対応はしていないのですが、やっぱり無理でした…という結論だけでは、なんか申し訳ない…。

 久しく、「相続放棄の照会書」を見ていませんが、今回は送られてくるかも…。僕に直接電話で確認してもらえると、それが一番ありがたいのですが…。

 まぁ、提出後の話は、今考えても仕方ない。とりあえず、家庭裁判所へ提出できるよう、住所を証明するものを探していこう。できるだけ立ちはだかる壁は減らしておきたい。

 そういえば、戸籍を見れば、「年月日○○市で死亡。△△市長から送付除籍」みたいな感じで書かれているはずだから、死亡時の住所もある程度、推察してもらえるかも。確か、死亡届の提出先は、①本籍地、②住所地、③死亡地のはずだから、「△△市長から送付」と書いてあれば、そこが住所地になる可能性が高いはずだから、家庭裁判所の管轄を確認できるような気もしますが…。

 と、こんなことを考えていたら、不思議なものです。ヒントがひらめきました!人間、一生懸命考えていると、いろいろなヒントが出てくるものです(笑)

 「確か、死亡届って、役所に提出された後、1か月ほど保管した後、本籍地の管轄の法務局で保管されているはず。大阪なら、27年保管なので、大阪以外でも20年以上保管されていてもおかしくないはず。でも確か、死亡届の写しを請求するには、要件が決まっていたはず。相続放棄申立を理由に取得ができるのだろうか…。」

 ヒントが出ても、結局、悩みはつきません(汗)

 ちなみに、この点については、すでに問い合わせしてみました。大阪の法務局にお話ができる職員さんがいるのでたずねてみたところ、「相続放棄の申立で“死亡届の写し”が取得できるか、知らない。担当部署で確認して。」と言われてしまいました。やっぱり、レアケースってところでしょうか。

 さて、どうなるやら?皆さんも、予想がつかないでしょ?そりゃあ、そうです。僕も予想がつかないですから(笑)

 気になる続きは、次回。

 首尾よく進みますように!もう神頼みになっちゃってるし…(苦笑)


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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働きながら、2010年10月に司法書士試験に合格。堺市の個人事務所、大阪市内の司法書士法人で勤務して実務を学ぶ。合格して1年後の2011年10月に個人事務所を開業。以後、葬儀・墓地の相談を中心に、法人等の顧問として活躍。また、法務局の登記相談員として幅広く、登記の相談も受けている。Wセミナーでは、「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の経験を基に、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。
Wセミナーでは、初学者対象の「入門総合本科生(旧 基礎総合コース)」、中上級者対象の「上級総合本科生」、「上級本科生」等を担当している。