【司法書士】現役司法書士 中山慶一のブログ~司法書士を楽しむ~
第68回「教えて偉い人!賃借権って、所有権のコトですよね?」



 こんにちは。司法書士の中山慶一です。

 今日は、建物への賃借権の設定の登記のお話。

 意外と賃借権の設定の登記の依頼はあるのですが、いつも“土地”への賃借権の設定の登記が多いので、“建物”への賃借権の設定の登記は、レアな感じがします。

 だって、普通、お部屋を貸すのに、賃借権の設定の登記はしないですよね~(笑)基礎講座でも、賃借権は債権なので、賃貸人さんが登記をすることに承諾をしたときに限って、借りている側は、賃借権の設定の登記を請求することができる、って習いますよね。

 ということで、今回は、「賃貸人さんが登記をすることに承諾をしたときに限って」のトコロからのスタート。つまり、賃貸人さんに、「賃借権の登記をしたいんですけど、いいですか~?」と聞くところから始まります(笑)

 ちょっと珍しいですよね(笑)なぜ、このようになったかというと、今回は社会福祉法人さんからのご依頼でした。

 社会福祉法人は、事業を長期的に安定して継続ができるよう、国や地方公共団体以外の者から不動産を借りる場合には、地上権や賃借権を設定して、登記をする必要があります。

 もちろん、賃借権の登記は債権的登記請求権ですから、賃貸人さんは登記に協力する義務はなく、また、社会福祉法人も事業が安定して継続できたらいいわけですから、賃貸借契約書の中で、安定した期間を契約すれば、必ずしも賃借権の設定の登記が必要、というわけではないですが…。

 ただ、今回のご依頼として、「建物に賃借権の設定の登記をすることが可能か、調査も含めてして欲しい。」ということで、現在、事業として使用されているすべての建物について、調査して、登記が可能な物件については賃借権の設定の登記の協力のお願いをする、ということになりました。

 建物と言っても、区分建物もあれば、そうでないものもありますし、一棟まるまる借りている建物もあれば、特定の階層だけ借りている建物、戸建ての建物に至るまで、さまざまです。

 賃借権の設定の登記にご協力いただける建物の洗い出し作業も終わり、登記費用のお見積りを作成して、依頼者に交付した後、ふと疑問が…。

 あれ?建物の賃借権の設定の登記は、非課税でよかったのかな?

 実は、登記費用のお見積りでは、登録免許税を“0円”、つまり非課税でご請求させて頂きました。

 社会福祉法人の借地権の設定の登記は、何回かやっているので、非課税証明書(登録免許税法別表第3の10の項の第3欄の第1号に規定する不動産に該当する旨の証明願)を取得すれば、非課税になるのは知っているのですが、建物はも同じ?(笑)

 当然のように非課税だと思い込んでいましたが、この点について、社会福祉法人で、過去、失敗したことがあります。

 実は、所有権の“仮”登記も非課税だと思っていたら、普通に、登録免許税がかかりました(汗)

 今回は、賃借権の設定の登記ですが、不動産が多いですし、ビルを丸ごと一棟借りるとなると、登録免許税の額も大きいです。非課税でお見積りを出してしまいましたが、登録免許税がかかるとなると…考えただけでも、オソロシイ…ゾッとします。

 ちなみに、社会福祉法人の登記は、登録免許税法第4条第2項の規定により登録免許税が非課税となりますが、その内容は、登録免許税法別表第3の10の項の第3欄の第1号にあります。

一 社会福祉法第2条第1項に規定する社会福祉事業の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該事業の用に供する土地の権利の取得登記


 これを読む限りは、社会福祉法人の場合、「建物の所有権の取得登記」と「土地の権利の取得登記」のケースで非課税になります。

 条文には、「建物は所有権」の取得、「土地は権利」の取得、って書かれています。

 土地は、権利の取得ですから、所有権、地上権、賃借権の取得が含まれるわけですが、“仮”登記も権利の取得なので、“仮”登記も非課税になると思ったのが過去の失敗。全然、違った(苦笑)

 そして今回はリベンジ、建物のケース。

 条文を読む限りは、「所有権」って書かれているのですが、賃借権も大丈夫ですよね?ヤバいですか?(苦笑)

 教えて偉い人!賃借権って、所有権のコトですよね?


☜第67回「相続放棄ができるのか?②」はこちら


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<ブログ筆者の紹介>

中山 慶一なかやま よしかず (司法書士・Wセミナー専任講師)
プロフィール
フルタイムで働きながら、2010年10月に司法書士試験に合格。堺市の個人事務所、大阪市内の司法書士法人で勤務して実務を学ぶ。合格して1年後の2011年10月に個人事務所を開業。以後、葬儀・墓地の相談を中心に、法人等の顧問として活躍。また、法務局の登記相談員として幅広く、登記の相談も受けている。Wセミナーでは、「基本を正確に、そして大切に」が合格への近道である、という自身の経験を基に、圧倒的な指導力で受講生を合格へと導く。
Wセミナーでは、初学者対象の「入門総合本科生」、中上級者対象の「上級総合本科生」等を担当している。