【宅建士】
宅建業法入門①(開業に関するルール)


皆さんこんにちは。

今回から2回にわたって、宅建業法(宅地建物取引業法)の全体像をお話しします。
宅建業法は、全50問のうち20問を占めます。
例年、問われる分野は固定しており、「満点を取れる科目」です。合格者の多くは8~9割(16~18問)程度得点しています。
そのため、早いうちから、宅建業法のイメージをつかんでおくとよいでしょう。
宅建業法は、昭和27(1952)年6月1日に制定されました。戦後の住宅不足につけこんで暴利をむさぼる者がいたため、「一般消費者の利益の保護」を目的として、宅地建物の取引に関するルールを定めました。「開業に関するルール」・「実際の業務に関するルール」という2つの大きなルールがあります。
今回は、「開業に関するルール」をお話しします。
宅建業(不動産業)は、「今日から宅建業者だ」と言って始められるものではありません。
宅建業を始めるには、(1)宅建業の免許、(2)事務所の設置、(3)保証金の供託と届出が必要です。これら3つについて見ていきましょう。

(1)宅建業の免許を受ける
宅建業ですから、「業」として(不特定多数の人に反復継続して)行うことが必要です。その上で、①他人を代理して、あるいは、媒介(仲介)して、土地や建物の「売買」や「賃貸」を行う場合、または、②自己所有の物件の「売買」を行う場合に、免許が必要です。
賃貸アパートや月極駐車場の経営には免許が必要なのかな?と思った方もいらっしゃいますよね。でも、自己所有の物件を自分で貸す場合(大家や地主)は、「自ら貸借」として、免許不要です。
この免許は、「免許の基準」をクリアした人しかもらえません。不動産という高額な商品を扱いますので、犯罪に関係する人や財産管理ができない人など、宅建業者にふさわしくない人は、免許を受けることができません。

(2)事務所を設置する
「事務所」といえば、物件の広告が貼ってある店舗、あるいは、モデルルームや住宅フェアの会場を思い浮かべた方もいらっしゃると思います。これらすべてが事務所になるのでしょうか?
宅建業法にいう事務所とは、主に、①本店(主たる事務所)、②宅建業を営む支店(従たる事務所)を指します。そのため、店舗は、基本的には「事務所」になります。
では、本店で「建設業」を営み、支店で「宅建業」を営んでいるような多角経営の会社はどうなるのでしょうか?
これについては、その支店だけでなく、本店も事務所として扱われます。本店は、支店を手足のように動かす頭脳としての役割があるからです。
さらに、「事務所」には、事務所ごとに設置すべきものとして、①標識の掲示、②報酬額の掲示、③帳簿の備付け、④従業者名簿の備付け、⑤成年者である専任の宅建士の設置(業務従事者5名に1名以上の割合)が必要です。
ところで、モデルルームや住宅フェアの会場は事務所ではないのでしょうか?
これらは、事務所ではなく「案内所」という別物で、設置すべきものも異なります。

(3)保証金の供託と届出をする
免許を受け、事務所も設置したので、すぐにでも店舗をオープンしたいですよね。
でも、ちょっと待って!
開業前の締めくくりとして、保証金を供託し、免許権者に供託した旨を届け出なければなりません。
もし、お客さんが宅建業者との取引で損害を受けた場合、その宅建業者にお金がないと、その損害の穴埋めはされません。そこで、宅建業を営む前に、穴埋めに用いるお金を国が運営する供託所に預ける(供託する)こととしました。
この保証金の制度は、①営業保証金制度と②弁済業務保証金制度の2つがあります。どちらを利用するかは自由です。
①営業保証金は、本店につき1000万円、支店1か所につき500万円を一括で供託します。一方、②弁済業務保証金は、保証協会に、弁済業務保証金分担金として、本店につき60万円、支店1か所につき30万円を納付し、その後、保証協会が供託します。保証協会は、宅建業者が多数加入しており、助け合いの精神から分担金が低額になっています。
現在、はとマークの全国宅地建物取引業保証協会・うさぎマークの全日本保証協会の2つの団体が存在します(店舗の入口に貼ってあるシールをご覧になった方も多いと思います)。

さあ、いよいよ新規開店です!業務における注意点については、次回お話ししましょう。


【ある講義後のやりとり】

受講生Cさん 「事務所ごとに5つも設置すべきものがあるなんて、覚えるのが大変です。」

私(山口) 「事務所ごとだから5点セットと覚えましょう。それに、この5つは宅建業以外のお店にもありますよ。レストランであれば、看板が掲げられ、メニューには値段が示されていますよね。帳簿や名簿もあるでしょうし、専門のシェフもいるはずです。」    

受講生Cさん 「なるほど、お店には普通に置いてあるものですね。イメージが湧いてきました。」


※法律を理解するには、文字をビジュアル化する作業が必要です。ご自身では難しいと思われる方は、ぜひ講師からヒントをもらってくださいね。